ドイツ語不定代名詞の種類と使い方まとめ!(練習問題付き)

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ドイツ語で「誰か」「何か」と表現したいときは、どのような言葉を使えばいいんだろう?

そんな時は、ぜひ「不定代名詞」を使ってみよう!

不定代名詞(Indefinitpronomen)とは、その名の通り不特定の人や物を示す代名詞のことです。この記事では、代表的な不定代名詞とその使い方を、例文と一緒に紹介していきます!

不定代名詞の種類

では早速、代表的なものを見ていくことにしましょう。

不定代名詞の種類には、以下のようなものがあります。

不定代名詞の種類
「人」man
「誰か」jemand
「誰も…ない」niemand
「何か」etwas
「何も…ない」nichts
「ひとり・ひとつ」einer, eine, ein[e]s
「誰(何)も…ない」keiner, keine, kein[e]s
「どの人<物>もみんな、それぞれの」jeder, jede, jedes
「いくつかの、かなりの数の人・物」mancher, manche, manches; manche
「何人か」「いくつか」welcher

それでは、個々の不定代名詞について、より詳しく見ていくことにしましょう!

今回は上記の不定代名詞を、

①不特定の「ひと」や「もの」を表すもの
dieser 型の変化をするもの

の大きく2種類に分けて紹介していきます。

不特定の「ひと」や「もの」を表すもの

➀ man 「ひと」

man は、文の主語として不特定の人を示すために使うもので、英語では one が対応します。

注意すべきはその用法で、性別を問わずに用いられます。
どういうことか、実際に例文を見て確認してみましょう!

(人は)病気になったなら、自宅で療養するのがよい。
Wenn man krank wird, sollte man sich zu Hause ausruhen.

ここでは男性や女性などの区別なく、「不特定の『ひと』」を表して man が使われています。
「人々」のように複数人を指す場合でも、man を用いて表現することができます。

man が主語の場合、動詞の人称変化はいつも er/sie/es の人称変化と同じです。
動詞の人称変化について確認したい方は、以下の記事をご覧ください◎
【まとめ】ドイツ語動詞の現在形活用をマスターしよう!

また、上記例文のように文章の中で man を置いたあと、2回目に「彼」を表す er を使いたくなってしまいますが、基本的には man を繰り返すようにします。
Wenn man krank wird, sollte er…とはならないので注意しましょう!

そして、man に対応する所有冠詞は sein です。

外国にいると、家族のことを考えるものだ。
Im Ausland denkt man an seine Familie.

実は man には格による形の変化があり、4格と3格では以下の形を使用します。あわせて覚えておきましょう◎

1格man
4格einen
3格einem

② jemand「誰かある人」・niemand「誰も…ない」

jemand は man とは異なり、格によって形が異なります。下に変化形をまとめてみたので、確認しておきましょう。

3格と4格の場合では、語尾が省略されることがあるので注意が必要です。

1格jemandniemand
4格jemand(en)niemand(en)
3格jemand(em)niemand(em)
2格jemand(e)sniemand(e)s

誰か私の留守の間にきましたか? – いいえ、誰も来ませんでした。
Ist jemand während meiner Abwesenheit hierhergekommen? – Nein, niemand ist gekommen.

関係代名詞や指示代名詞を用いる時は、jemand と niemand は男性と見なし、 der を用いてください。

私のことを理解してくれる人を知っていますか?
Kennen Sie jemanden, der mich verstehen würde?

③ etwas 「何かあるもの」/ nichts「何もない」

etwas は特定されていない事柄を指します。格によって形が変化することはありません。

君、さっき何か言った?残念だけど、理解できなかったんだ。
Hast du vorhin etwas gesagt? Leider konnte ich es nicht verstehen.

会話などで用いる時は、短縮形である was を使います。

君の両親について何か説明してくれる?
Kannst du was von deinen Eltern erzählen?

etwas の前に irgend- をつけることで、語の不特定性を高めることができます。

そのとき、彼女は何かを僕に言おうとした。
Damals wollte sie mir irgendetwas sagen.

nichts も etwas と同様に無変化で単数形のみを使います。

特にすることがなかったので一日家にいた。
Ich war den ganzen Tag zu Hause, weil ich nichts zu tun hatte.

この例にあるように、不特定のものを指す etwas や、「何もない」ことを表す nichts は後ろに zu 不定詞を用いることができます。

さらに、etwas と nichts に中性名詞化された形容詞を続けることで、「何か~なこと」や「~なことは何も」といった意味にすることができます。

何かいいことがあったのですか?– いいえ、特別なことは何もありませんでした。
Ist etwas Gutes passiert? – Nein, nichts Besonderes.

etwas に対して関係代名詞を用いる場合は、was を用います。

私は昨日、自分にとって大切な何かを聞いたのです。
Ich habe gestern etwas gehört, was für mich wichtig ist.

dieser 型の変化をするもの

➀ einer, eine, ein[e]s「ひとり・ひとつ」

名詞の前に付く冠詞としてではなく、ein +語尾自体を名詞的に用いる時には、dieser のような変化をします。

注意すべきポイントは、中性1格・4格の場合に eins となりうる点と、複数形がないため welche で代用される点です。参考までに、下の表にまとめてみました。

男性女性中性複数
1格einereineein[e]s(welche)
4格eineneineein[e]s(welche)
3格einemeinereinem(welchen)
2格eineseinereines(welcher)

変化の仕方を確認したあとは、具体的な3つの使用例を見ていきましょう。まずは、会話の中などで既に出てきた名詞を受けて用いられる例を紹介します。

今おもちゃを持ってる? – うん、持ってるよ!
Hast du jetzt ein Spielzeug? – Ja, ich habe ein[e]s!

既出の名詞を受けず、単独で用いられるケースも見てみましょう。男性の場合では einer、女性の場合では eine が用いられます。

私たちのうちのどちらかが買い物に行かなくてはならない。
Einer (eine) von uns beiden muss einkaufen gehen.

さらに、定冠詞を伴って die eine …die andere… とし、「一方では…、他方では…。」の意味で用いられることもあります。

私には二人の妹がいます。一人は優しいですが、もう一人は少し怒りっぽいです。
Ich habe zwei Schwestern. Die eine ist nett, aber die andere ist ein bisschen cholerisch.

② keiner, keine, kein[e]s「誰(何)も…ない」

einer の否定形であり、これと同様の語形変化をします。

中性の場合、「一つも…ない」というように、事物を指して用いられます。

男性女性中性複数
1格keinerkeinekein[e]skeine
4格keinenkeinekein[e]skeine
3格keinemkeinerkeinemkeinen
2格keineskeinerkeineskeiner

僕らの誰も、車を運転することができなかった。
Keiner von uns konnte Auto fahren.

まだお金持ってるかい? – 残念だけどもう持ってないや。
Hast du noch Geld? – Leider habe ich keins mehr.

➂ jeder, jede, jedes 「どの人<物>もみんな、それぞれの」

dieser 型の変化をしますが、単数形でのみ用いられます。

この語を名詞的に使う場合を見てみましょう。

僕らのうち、誰もが一人暮らしをしている。
Jeder von uns wohnt allein.

序数と共に用いられることで、「…ごとに」という表現になります。

彼は2ヶ月ごとに髪型を変える。
Er ändert jeden zweiten Monat seine Frisur.

jeder やこの次に紹介する mancher は定冠詞類の一部で、付加語的に=名詞の前に付く冠詞としても用いることができます。

冠詞としての使い方を詳しく知りたい方は、次の記事をご覧ください◎

ドイツ語定冠詞類 der, dieser, welcher の活用はこう覚える【総まとめ】

➃ mancher, manche, manches; manche 「いくつかの、かなりの数の人・物」

こちらも dieser 型の変化をしますが、jeder と異なり単数でも複数でも用いられます。

課題は全部終わらせたかい?-全部じゃないけど、もうほとんど終わらせたよ。
Hast du alle Aufgaben erledigt? - Nicht alle, aber manche habe ich schon erledigt.

「かなりの…」という意味で付加語的に(=名詞の前にくっついて)用いられた場合、その量のイメージは「多くの」を意味する viel よりも少なくなります。

日本ではかなりの数の若者が英語を流暢に話すことができない。
Manche jungen Leute in Japan können nicht fließend Englisch sprechen. 

⑤ welcher 「何人か」「いくつか」

welcher は会話の中などで既に出てきた名詞を受けて、「何人か」「いくつか」というように不特定の数量を指して使われます。

男性女性中性
1格welcherwelchewelches
4格welchenwelchewelches
3格welchemwelcherwelchem

カフェで仕事するのが好きな人もいる。
Es gibt welche, die gern im Café arbeiten.

ケーキ全部食べちゃった?– まだ冷蔵庫の中にいくつか入ってるよ。
Hast du den ganzen Kuchen aufgegessen? – Im Kühlschrank ist noch welcher.

まとめ

この記事では代表的な不定代名詞の種類と使い方を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

最後に大事なポイントをもう一度おさらいしておきましょう!

  • 不定代名詞は大きくわけて不特定の「ひと」や「もの」を表すものと、定冠詞類に属する dieser と同じ変化をするタイプのものがある。
  • 不定代名詞はすべて名詞的に用いることができるうえ、中には jeder や manche のように付加語的に使用することが可能なものもある。

練習問題

以下の空欄に、語を適切な形を用いて埋めましょう。

➀ 母になると、多くの準備をしなくてはならない。
  Wenn man Mutter wird, muss ( ) sich viel vorbereiten.

② 旅行に行くときは、誰かと一緒に行きたい。
  Wenn ich reise, möchte ich mit ( ) zusammen reisen.

➂ 誰もその事故が起きた時にその場にいなかった。
  ( ) war da, αls der Unfall passiert ist.

④ 今晩は何か美味しいものが食べたい。
  Heute Abend möchte ich ( ) Leckeres essen.

⑤ 彼の無実を証明するものは何もなかった。
  Es gab da ( ), was seine Unschuld beweist.
 
⑥ 生き残ったものが何人かいるはずだ。
  Es sollte noch ( ) geben, die überlebt haben.

⑦ 参加者のうち誰も、フランス語ができない。
  ( ) von den Teilnehmern kann Französisch.

⑧ 友人の一人が僕の家に宿題を届けてくれた。
  ( ) von meinen Freunden hat mir die Hausaufgabe nach Hause gebracht.

⑨ 誰もが健康に気をつけている。
  ( ) achtet auf seine Gesundheit.

⑩ この町ではかなり多くの人がこの美術館を訪れる。
  In dieser Stadt besuchen ( ) dieses Museum.

練習問題の答え

➀ man
② jemandem
➂ Niemand
④ etwas
⑤ nichts
⑥ welche
⑦ Keiner
⑧ Einer
⑨ Jeder
⑩ manche

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執筆:Yu(Vollmondドイツ語講師)
編集:kosuzu(Vollmondドイツ語講師)
内容・表現チェック:nico(Vollmondドイツ語講師)

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