受講生のタイプ別: レッスン計画の立て方

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講師経験がまだ浅くて、自分のレッスンスタイルに自信が持てないなあ
今までにドイツ語レッスンを約3700コマ、オンラインで提供してきたあるベテラン先生の授業方法を、受講生のレベル別に教えてもらったよ!

私がドイツ語を教える際に基礎となっているのは自分が学んできて効果のあった方法を採用しているということです。今まで5年ほど教えていますが、始めた当初はテーマも決めず、行き当たりばったりで、生徒の質問に答えるレッスンや日常会話のみをやっていたような気がします。

しかし、日常会話だと話すテーマがいつも同じになってしまいますし、生徒全員が常に具体的な質問を持っているわけではありません。そこで考えたのが自分はどのように学習してきたかということを思い出しながら、下記のレッスン方法に落ち着きました。

生徒の今までの学習歴と希望がわかったら、どのような勉強方法がいいかを考えます(学習プラン)。生徒タイプは今までの経験から、おおよそ4タイプに分けれらると思います。それぞれのタイプ別にどのように進めているかを解説します。

ドイツ語を初めて学習する生徒

ドイツ語知識がほとんどない生徒には教科書を使ったレッスンを採用しています。私の意見ですが、教科書はドイツの語学学校で使われているものがいいと思います。

例えばSchritte, Menschen, PluspunktDeutsch など。ドイツで使われている教科書はそれぞれレベルごとに学習するべき項目、単語、表現が決まっているので、そのレベルに必要な最低限の知識が学べます。生徒には教科書の表現は必須なので、全部覚えるのが目標だと伝えています。

Vollmondでは受講生との合意のもと参考書など教材を購入してもらい(強制はできません)、それに沿った形でレッスンを進めることが可能です。講師の手元にある参考書を購入してもらうとスムーズですね。

具体的な進め方

レッスン前に当日学ぶページを決め、どのように進めるのかを考えます。ドイツの教科書は短い表現の学習から始まるものが多いのですが、日本人にはまずはテーマになっている文法について説明してから、表現に入った方が良い印象です。

表現の学習が一通り終わったら、今度は同じような文を自分で作ってもらうようにします。どんな文を作っていいかわからない人には、こちらから「~を日本語にしてください」とこちらから提案します。

次のレッスンでは、前回レッスンで勉強した表現を5分から10分間復習します。ある程度学習が進むと本題に入る前に、“Wie war dein Wochenende?/ Was gibt es Neues?“ などの質問をして、ウォーミングアップをします。

注意点

教科書を読むだけのレッスンは避け、生徒が自分で表現の練習ができる時間を必ず作るようにします。

ある程度話せるので語彙表現力をつけいた生徒(B1レベルの学習を終えている)

「文法の学習は一通り終えたけれど、語彙をどうやって増やしたらいいかわからない」生徒にはドイツ語で書かれた短い記事を使ってレッスンをしています。

ドイツ語ネイティブが読む記事は難しいので、ドイツ語学習者向けに書かれた記事がおすすめです。例)DWなど

具体的な進め方

レッスン前に記事を読み、自身が全文の文法と意味が解説できるかを確認します。レッスン開始後、まず生徒が理解できない箇所の解説をし、全文の意味と文法がわかるようにします。

その後、生徒には記事の要約(ドイツ語で、ただし最初から難しい場合はまず日本語で)をしてもらい、それから記事内容に関する質問をします(もちろんドイツ語で)。

次のレッスンでは、記事の中で使われている重要表現の復習をします。まずは日本語単語をドイツ語単語にしてもらい、その単語で文を作ってもらいます。

注意点

生徒が考えすぎて、沈黙の時間が長くなるのを避けてください。生徒が答えに困ったら、助け舟を出します。例えば、「Was ist das Hauptthema vom Text?」「In den ersten Zeilen steht ….., was bedeutet das?」など。

一度学習したが、もう一度やり直したい生徒

ドイツ語の学習を再度基礎からやり直したい生徒には教科書Begegnungenのシリーズを使ってレッスンをしています。特に語学試験の受験を考慮に入れている学習者にはお勧めです。

具体的な進め方

このレッスンを受ける生徒の実力と目的は様々なので、学習者にあったやり方で進める必要があります。例えば、文法の練習問題が続くページがあるのですが、このよう課題は文法が理解できれば個人で取り組めるので、宿題にして後でメールなどで提出してもらってもいいです。

生徒によっては「レッスン以外では学習しにくいので、レッスン中にやりたい」という人もいるので様子を見て生徒と話し合いながら決めていきます。

注意点

「ドイツ語を初めて学習する生徒」向けレッスンでも述べたように、教科書に忠実すぎるレッスンは避けて、学習者が自分で文を作って発言できる時間を作ってください。例えば受動態がテーマの場合は「お気に入りの料理のレシピを受動態で言ってもらう」。分離動詞がテーマなら「ankommenを使って文を作ってください。主語はmein Vaterで」などです。

試験対策がしたい生徒

試験対策を希望する学習者は、それまでに充分な学習ができていることが前提なので、私は面接の模擬試験と作文の添削のみを行っています。試験対策はVollmondの会話コースでも多くの講師が既に担当されており、良い結果を残されているようですので、詳しいレッスンの進め方については割愛させていただきます。

最後に

以上、4つのレッスンパターンについて書きましたが、それ以外にも「文法中心に勉強したい」「ドイツ語文を翻訳したい」など様々な希望があるので、その都度できるだけ希望に沿うレッスンをするようにしています。

いずれの授業でも私が意識していることは学習するのは生徒で、講師はサポートするのみの存在だという事です。授業中に生徒と講師の発言率が最低でも5:5になるのが理想だと思います。初級者の場合は「講師が読んだドイツ語文を真似て発音」でも充分練習になります。

上記の方法はあくまでも私のやり方ですので、参考にする程度にしてご自身と生徒にあったやり方を見つけてください。

4タイプに分かれるのは今まで気付かなかった視点だったな〜!
レベルに合った、かつ長期的に着実に目標をクリアできるようなレッスン計画を立てれたらいいね
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