50歳サラリーマンが4度目の正直でゲーテB2試験に合格するまで
皆様こんにちは。Hanasukeと申します。
2022年8月に受験したゲーテB2にようやく合格できましたので、その体験記を共有させていただきます。
目次
自己紹介とドイツ語を始めた理由
私は50歳、妻と子供が二人いるごく普通のサラリーマンです。
ドイツ語の勉強を始めたのは今から3年半ほど前の2019年4月、私が46歳の時でした。
理由は、仕事でも留学でもなく、単なる好奇心です。
子供二人も高校生になり手間がかからなくなった中で、休日にダラダラと過ごす時間が長くなったので、新しい言語でも勉強してみるかと考えたのです。
ドイツ語を選んだのは、昔から発音が武骨でなんとなく好きだったことと、大学で私が第二外国語に選んだ中国語は文法がシンプルだったので、英語より文法が複雑な言語を一度勉強してみたいと思っていたことでした。
ドイツ語は名詞に性があったり冠詞まで変わったりで随分面倒くさいらしい・・・というわけで、文法の複雑さで悪名高かった(?)ドイツ語を選んだのです。
ちょっとだけドイツ語の世界を覗いてみよう、その程度の気持ちでした。
完全初級〜独検二級まで
独学でのスタート
最初に選んだ参考書は、文法用にベレ出版『しっかり身につくドイツ語トレーニングブック』と、単語用に第三書房『新・独検合格 単語+熟語1800』の二冊です。
この二冊に、NHKラジオ講座「まいにちドイツ語」を加えました。
単語に関しては、1800とは別に、勉強する中で出てきた知らない単語は全てリストアップして後で覚えられるように単語帳を作りました(これは今でも続けています)。
独検三級に挑戦
そうやって勉強を始めたものの、目的も目標もなく、直後に仕事で異動があったこともあって文法の勉強は途切れ途切れでした。
まいにちドイツ語もたまに聞く程度、単語も真面目に覚えませんでした。
だらけたまま1年程経った2020年の夏のある日、これでは勉強を始めた意味がないな・・・と思い至り、約半年後の12月の独検三級を受けることにしました。
そこから文法を以前より真面目に勉強し、単語は計画的に覚え、三級用の問題集も買って練習しました。
聞き取りのためにまいにちドイツ語も通勤電車で聞く、という風に勉強のスタイルを立て直して、半年後の三級は無事合格しました。
ここまで来ると欲が出てきて次は二級を、となり、だとするともっときちんとした勉強が必要だし、ある程度話せるようにもなりたいと考えてドイツ語教室を探し始めました。
Vollmondでの学習を開始
よく名前を耳にする対面型の教室は単価が高い上に、最初にまとめて授業料を払う必要があるので、お小遣いから費用を払う私には厳しい選択です。
一方で、italkiなどの国際的にも名の知れているネット教室は、安いものの講師の質に不安がありました。
そこで、ネット教室で価格はリーズナブル、支払いも毎月単位、授業では日本語も使えて安心感のあるVollmondのお世話になることにしたのです。
「ドイツ語で日常に彩りを」というキャッチコピーが私に刺さったことも理由の一つです。
仕事や留学という必要があってドイツ語を始めたわけではない私には、「ドイツ語ってどんな言語なんだろう?」という呑気な好奇心が、勉強を進めるにつれて少しずつ満たされ始めた時期で、これがまさに私の生活にとっての彩りになりつつあったからです。
仕事との兼ね合いで時間には融通をきかせたかったのでプライベートコースを選択し、先生を決める際には代表のkomachi先生に有料面談をお願いしました。
今までの勉強のやり方やレベル、今後の希望をお伝えして、その時にご紹介いただいたネイティブのAlexandra先生には今もお世話になっています。
レッスンは、他の方と同様に一番の基本からスタートしました。
カードを使ってその絵を説明したり、ドイツ語で短い話を繋げていくゲームのようなことをしたりといった内容でした。
三級に合格したとはいえドイツ語を話すのは初めてだったので当然うまく話せず、様々なミスを一つ一つ丁寧に修正してもらっていきます。
独検二級に挑戦
並行して独検二級に向けた勉強もしていたので、その際にわからなかったことをレッスンで質問したりもしていました。
そして2021年6月に二級を受け、自己採点でどうやら合格できたと報告した日、次に受ける試験として先生が勧めて下さったのがゲーテのB2でした。
B2といえば独検で準一級に相当します。
長い間勉強していた英語でも持っていないレベルでしたので合格できるイメージは全くなかったのですが、先生のお勧めを鵜呑みにして挑戦することとしました。
B2への挑戦開始
B2対策レッスンの内容
B2に向けたレッスンで使った本は、先生から紹介して頂いた Mit Erfolg zum Goethe-Zertifikat B2 Testbuch passend zur neuen Prüfung です。
Lesen、Hören、Schreiben、Sprechenの4つのモジュールのうち、LesenとHörenは自分でできる部分が多いだろうということで、SchreibenとSprechenにほぼ全てのレッスン時間を割きました。
Schreiben
毎週B2の問題を想定した宿題を頂いて、レッスン前にSchreibenの宿題を提出しました。
毎回一時間のレッスンの前半はその添削、後半30分は宿題のテーマでSprechenの練習、というのが基本的な時間配分です。
- 文法・スペルや語順など基本の修正
- 各場面での最適な表現などのドイツ語のニュアンス
- Schreibenでよく使う決まり文句
を多く教えて頂きました。
例えばTeil2では、お詫びと事情説明をして相手の理解を求め、何らかのお願いをする問題が多く出ます。その時に使う敬語表現(例えば “Haben Sie bitte Verständnis dafür, dass…?”)を教えていただきました。
また、一定数以上の単語数を書かないといけないので、足りなかった時に不自然にならない範囲で単語数を確保するやり方などのテクニックもありました。
Sprechen
Teil1
Teil1では、
- あるテーマに関していくつかの選択肢を示す
- それぞれの長所と短所を述べて評価する
- そのうち1つに関して具体的に説明する
という流れが多いです。
時間は約4分なので、それぞれのパートの時間配分や、「評価する」というのはどのように話せばよいのか、「具体的に説明する」にはどうすればよいか、といったことを教えて頂きました。
私の場合、話す際に構造が複雑で長い文にしてしまう癖があって、そのために語順を間違えたり話の途中で詰まったりnichtを忘れる(致命的!)ことが多かったので、同じことを話すにしても文章を短く切ってシンプルに、そうすればミスも出にくくなるといった指導も頂いていました。
Teil2
SprechenのTeil2は、他の受験者の方とあるテーマでディスカッションをします。
- 相手と意見が同じだと議論が続きにくいので15分の準備時間内に賛成反対両方の準備をした方が良いこと
- ディスカッションの最初に相手の賛否を聞くのも一つの手
といったことを教わりました。
そして一方的なスピーチではなくディスカッションなので、
- きちんと相手の話を消化して反応すること
- こちらの話は1回30秒程度に留めて相手に話す機会も持たせて会話のキャッチボールをすること
といった、当然といえば当然ではあるものの、試験の場でドイツ語でやるとなると難しいことを、何度も何度も練習します。
相手がものすごく消極的で自分の意見をなかなか言わないとき、といったシミュレーションもありました。
B2に向けた自学のルーティン
B2に向けた私の自学ルーティン(B2の練習問題以外)を紹介します。
使用した参考書
前述した本にはLesenとHörenの問題も載っていますが、本が一冊だけだと練習できる数が限られるので、自学用として以下の二冊を別に買いました。
Fit fürs Goethe-Zertifikat B2 Übungsbuch mit Audios online
4つのモジュールそれぞれについて、解き方のヒントがついた問題と、実際の出題形式に沿った問題が二つずつあります。
解答はネットで取得する必要がありますが、Hörenのトランスクリプトは全てついています。
Projekt B2 neu – Übungsbuch: 15 Modelltests zur Vorbereitung auf das Goethe-Zertifikat B2
B2形式の問題がたっぷり15回分収録されています。解答はネットでダウンロードします。
Hörenのトランスクリプトは、別途このシリーズのLehrerbuchに掲載されています。二冊合わせると費用は増えますが、私はトランスクリプトが欲しかったので両方買いました。
Lesen
Lesen対策としては、毎日一つのネット記事を読むか、本の一つの章を読むのが基本でした。
使ったサイトは主に下の二つです。
ZDF logo!
B2対策として難易度もちょうど良いと、先生が勧めて下さったサイトです。
ドイツの子供向けのサイトで、その為難易度もボリュームも読みやすくなっています。
ドラマやアニメもありますが、私は専らこの中のNachrichtenを読んでいました。
Sumikai
日本のことを取り上げたドイツ語の記事が読めます。
一つの記事の長さもちょうどよく、難易度もB2に見合う水準だと思います。
テーマは日本のことなので、だいたい何が書いてあるかわかることも読みやすい理由です。
上二つのサイトを読んで、日本語訳がわからない時や読んだ後の確認には、Deep L翻訳を使っていました。
この他Lesen用の本として買ったのが、三修社『日本人が知りたいドイツ人の当たり前』です。
難易度的にもちょうどよく、またこちらはドイツの事情が題材なので、Goetheの試験問題を解く際にも参考材料になると考えました。
基本的に毎日、上二つのサイトの記事か『ドイツ人の当たり前』の一章のどれかを一つ読み、わからない単語は全て単語帳に載せて後で覚えられるようにしました。
Hören
Hören対策は、三修社『耳が喜ぶドイツ語』とIBCパブリッシング『音読JAPAN ドイツ語でニッポンを語ろう!』の二冊を使って、こちらも一日一章ずつ聞いていきました。
最初は聞いて聞き取れなかったところを目で確認するだけでしたが、それだと力が身についていないことを痛感したので、訓練の密度を上げるために、聞き取ったものを全て書いて、聞き取れなかったところを把握するようにしました。
仕事と勉強のバランス
これらLesenとHörenの対策を一日一つずつ、仕事が終わってから会社で自習することにしていました。
一日あたり約1時間半程度だったと思います。
そして家に帰ってからは、お風呂でJAT LLP社の携帯アプリ「ドイツ語中級単語」「ドイツ語上級語彙」を一日10個分こなすとともに、ドイツ語学習者用のコンテンツであるEasy Germanのパトロン(月12€)になって字幕付きのビデを教材を見たり、トランスクリプト付きのPodcastを聞いていました。
以上がB2受験を決めてからの基本的なルーティンですが、仕事が遅くなったり飲み会で出来なかった日は無理をせずにそのまま延期していましたので、平均して週に5つずつくらいこなしていたと思います。
そして試験が近づくと、上で紹介したB2問題集のLesen・Hörenの練習問題を解いていました。
B2の受験結果
4度目の正直でようやく合格
B2を最初に受けたのが2021年12月、次が2022年4月、6月と受け、最後に残ったHörenに合格できたのが4回目の2022年8月でした。
モジュール別の結果は以下の通りです。
2021年12月 | 2022年4月 | 6月 | 8月 | ||
Schreiben | 87 | 初回2021年12月に合格 | |||
Lesen | 53 | 60 | 2回目2022年4月に合格 | ||
Sprechen | 57 | 67 | 2回目2022年4月に合格 | ||
Hören | 57 | 57 | 47 | 70 | 4回目2022年8月にやっと合格 |
4月にSprechenとLesenに合格してからのレッスンはHören中心に進めてもらい、自分でもB2レベルの耳を身につけようと頑張ったのですが、自分で買った本の練習問題を解いてもなかなか合格点が出ない状態が続きました。
そうしているうちに苦手意識のようなものが出てきてしまい、気分が下がり気味の6月に受けた3回目のHörenは47点。鍛えているはずが、前2回よりも下がったのです。
これには流石に凹んでしまい、この先も合格できる気がしなくなりましたが、ここで放り出すと元の木阿弥。気持ちを立て直し、先生にお願いして「なぜ聞き取れないのか」をより細かく見て頂きました。
そこで先生が提案してくださったのが「基本に帰ること」でした。
例えば、練習中に”half”という単語が出てきた時に、全くわからなかったということがありました。
この単語はhelfenの過去形という基本中の基本ですが、普段過去形を見聞きする機会がほぼなかったので、全く反応できなかったのです。
そこで先生は、
- ゲーテが出しているA2レベルの単語リストを一から確認していくこと
- 基本的な単語でも動詞ならその活用まで押さえ、聞いた時に反応できるようになること
を意識して復習する事を勧めて下さいました。
そしてもう一つの提案が、ドイツ語の音声の映画やドラマを見ることです。
字幕はあってもなくても良く、ある場合は日本語でも英語でもドイツ語でも良いとのこと。
これを続けることで、徐々にHörenの力を身につけられるとのことでした。
「基本から、焦らず時間をかけて」ということだと理解した私は、自学教材でも基本に帰るため、その時使っていた『耳が喜ぶドイツ語』で、B1/B2レベル相当のStep3から、A2/B1レベルのStep2に戻りました。
聞き取った文章を全て書くのは以前からやっていましたが、少し視点を変えて、目で見ればわかるのに聞き取れなかった単語を重点的にチェックしました。
「何故知っているのに聞き取れなかったのか」を考え、文字を目にした際に自分の頭に浮かぶ発音と実際の発音のギャップを埋めることを意識し、次に出てきた時は必ず聞き取れるようになるイメージをするという練習を重ねていきました。
このように練習のやり方を変えて2ヶ月弱、次の8月に試験を受けた際は、新しい取組の効果をまだ少ししか感じていなかったので、8月はダメでも9月、11月と受けるつもりでいました。
しかし結果は8月に合格を頂き、「1年以内に同じ会場で全てのモジュールに合格する」というB2の条件を満たすことができました。
私がHörenに苦戦した理由
私がHörenに物理的にも心情的にも苦戦した理由は、二つあると思っています。
一つは、大学受験時の英語学習からの「読み書き偏重&会話・聞き取り軽視」のスタイルを、ドイツ語学習でも続けてしまったことです。
私が受験生だった頃は、聞き取り試験を受ける機会は殆どなく、実際に私も聞き取りを課さない大学を受けましたので、専ら読み書きに専念していました。
英語は一番の得意科目だったので、ドイツ語でも読み書きは苦痛なく勉強できる一方、聞き取りと会話の練習はどうしても気が向かないという状態でした。
それでもSprechenの練習はレッスンで何度も訓練して頂いたので何とか2回目で合格できたものの、自学中心だったHörenは最後まで必要な訓練が足りなかったのだと思います。
そしてもう一つは、ドイツ語学習の基礎を疎かにしていたことです。
受ける試験はB2なのだからそれに見合うレベルの問題をこなさねば、と思っていましたが、実力が追いついていないので得るものが少なかったのでしょう。
例えば単語では、ドイツ語に多いよく似た単語の意味(bewahrenとbewährenなど)をきっちり区別して覚えていないために、聞き取りはできても「この単語意味なんだったっけ?」と迷う間に話に置いていかれるといったことが多くありました。
知らない単語が出てきた時に載せる単語帳は学習開始の時から作り続けていたものの、それをきちんと覚えていなかったのです(このことは、自分では得意だと思っていたLesenで最初に不合格になり、2回目は通ったもののギリギリの60点に留まったところにも現れていると思います)。
Hörenの最初の2回が両方とも57点というギリギリ不合格の点数だったので、このままのやり方で勉強し続ければ良い、ひょっとして運が良ければ60点は取れる・・・と考えていたことや、先に書いた通り1年以内に全てのモジュールに合格することが必要なので、焦りから「とにかくB2レベルの問題をできるだけこなさねば!」という精神状態になっていたことも良くなかったのだと思います。
こうした姿勢を先生のアドバイスで見直して基本に立ち返ったことで、足りない部分が補われたことが、合格できた要因だと思います。
精神的にも、Hörenに対する苦手意識や焦りから開放され、落ち着いた気持ちで勉強し、試験を受けることができました。
最後に
このように、なりふり構わず何度も受けて合格という、スマートな合格から程遠い姿ではありますが、ここまで引っ張って下さったVollmondと先生に心から感謝をしています。
もし1回目や2回目で合格していれば、Hörenに限らず色々な面で基礎が疎かなままでしたから、一旦躓いて自分の勉強スタイルを見直す環境を整えて頂いたことは、今後更に上を目指す上で大きなプラスになりました。
次のC1は、ドイツで暮らしたこともその予定もない私には更にハードルが高く、今の時点で合格時期の目標を決めるのは難しいです。しかし、合格は無理と決め付けずにこの先も勉強を続け、受験すると決めたら勉強の密度を上げて挑むつもりでいます。
以上、読んで下さって有難うございました。
50歳という年齢といい、ごく普通のサラリーマンという属性やドイツ語学習を始めた理由まで、かなり珍しいケースだと思いますが、少しでも参考になれば嬉しく思います。
Hanasukeさん、vielen Dank♩
次はC1に向けて、これからも一緒に勉強を続けていこう!
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