子ども向けドイツ語レッスンの経験があまりなくて、どうレッスンを進めたら良いか、不安になるなあ…
そんな先生たちのために、子どものドイツ語レッスン経験豊富なYuna先生が、レッスンの進め方や教材についてアドバイスをくれたよ!
ドイツ語講師として4年間仕事をしていますが、その中で10名ほどの子ども(幼稚園生~中学生)にレッスンを行い、その経験を元にレッスンの進め方・教材等についてまとめました。
これから子ども向けレッスンを担当される方に参考にしていただければと思います。
生徒の層は大きく4つに分けられます。
どの生徒にも共通して重要なのが、目的を確認した上でレッスンを行うことだと思います。
その子の必要とするものを養う・補うレッスンが提供できるように、初回レッスンでは、学習の目的、もしもあればドイツ語の学習歴や在学している学校の種類、また興味・関心に合わせたレッスンができるよう好きなもの等について、丁寧にヒアリングを行います。
ヒアリングができたらいよいよレッスンに入ります。
ドイツ語に初めて触れるという生徒の場合(特に1・2の生徒の場合)、まずはアルファベットとドイツ語の単語の読みに慣れてもらいました。
まずは、アルファベットの文字・名前・音を一通り学習して、
ようになることを目指します。
こちらの後に続いて繰り返して発音してもらうことを何度か行い、音と文字の認識が一通りできるようになったら、クイズ形式やかるた形式で演習を行うのもおすすめです。
文字と音の結びつきが強固なものになったら、単語の読みに入ります。
まずはアルファベットの基本の読み方が分かれば読める単語から始めて、徐々に特殊なもの(sch や ei など)も入れていきます。
慣れてきたら、単語を文字ごと・音節ごとに区切って徐々に写真・イラストを見せながら、その単語の読み方と意味するものを当ててもらうクイズを行ったりするのも良いかと思います。
《イメージ図↓》
単語にも慣れてきたら、あるいは単語の読み等に関してはすでに学習を終えている場合には、本格的な学習に入ります。
ここからは1~4の生徒を分けず、目的に合ったレッスンを行うことが重要になるかと思います。
以下、目的に合わせて使用可能と思われる教材や手法を共有します。
様々なテーマに基づいた2~3分程度の動画とワークシートが公開されています。右下の UT と言う箇所をクリックすると字幕もつけられます。
5~8歳向けとされており、動画は小学校低学年までだと特に夢中で見てくれました。
タイトル通り遊びながら語彙・表現を身につけられる教材です。
就学前~小学校1, 2年生向けとされています。
1冊が薄く、ターゲットに合わせて様々な種類が出ていますが、主に語彙や文法などの習得に特化したもののようです(1冊しか使用したことがありません)。
英会話用の教材であるため、ドイツ語用に作り替える必要がありますが、参考になると思います。
3~7歳用の教材、8~14歳向けの教材が公開されています。
テキストを使用するのが良いかと思います。
私が使用したことのある2冊について特徴をまとめますが、実を言うと「これ!」といった1冊にはまだ出会えていません。
ゆっくり丁寧に進めていけるテキストです。
内容は小学校8歳~11歳向けと書いてありますが、1~4年生ぐらいまでが適していると思われます(小学校高学年以上の子ども向けには Planet というテキストがあります)。
基本的にはこれだけで足りるものの、一式揃えるとなかなかの値段になるのが難点です。
また、アップデートされていないため、語彙やイラストが少し古めかしい印象を受けます。
受講時間数の少ない生徒向けのテキストで、内容は10歳以上が対象です。
Lehrbuch と Arbeitsbuch が1冊になっていて、CDもついていますが、これだけでは理解・定着が難しいと思われ、適宜補助教材を用意する必要があります。
なお、改訂版で Wir alle という教材も出ているようです。
また、Klett 社からは6歳以上の児童向けに Hallo Anna、8歳以上の児童向けに Die Deutschprofisというテキストなども出版されています。
一説には文法を理解できるのは10歳頃からと言われており、それまでは文法だけに重きを置いて、文法を完璧に習得させるようなレッスンは難しいかもしれません。
私が使用したことのある数冊について、特徴をまとめます。
大人向けのテキストで、語彙がところどころ大人向け(職場でのことなど)ですが、文法を体系的に学習するのに適した1冊だと感じています。
普段子どもが使わない・聞いたことのないような語彙に関しては補足の説明をしてあげれば問題はありませんでした。
Wortebene と Satzebene があり、ベースはどちらも同じです。
Leseübungen となっていますが、読解・語彙学習だけでなく、文法や作文の練習にも使用可能です。
現地の学校に通っている場合には滞在歴が1年未満の小学1年生でも Satzebene で問題ありませんでした。
Wortebene は単語学習にフォーカスしたい場合に適したテキストに思われます。
1/2年生用と3/4年生用が出版されています。
同じ内容で難易度を分けた課題が用意されているため、生徒の実力に合わせて使用したり、繰り返し学習したりするのにも適しています。
3/4年生用を A1レベルの現地ギムナジウムに通う中学1年生のレッスンで使用したことがありますが、内容がやや子ども向けであるものの、難易度はちょうど良いように感じました。
教材を事前に送ってもらい、一緒に進めていきます。
こちらが全てを教えるのではなく、なるべく生徒が考えられるようにヒントを少しずつ出すようなサポートをすると良いかと思います。
神経衰弱が作れるウェブページ(英語)です。
絵と絵(あるいは写真と写真)、絵(あるいは写真)と単語、単語と単語のマッチングができます。
クロスワードパズル、ワードサーチパズル、ビンゴなどが作れるウェブページです(英語)。
クロスワードやワードサーチなどは文字だけでは難しい場合には、ヒントで絵・写真を添えてあげると難易度が下がって取り組みやすくなります。
なお、クロスワードやワードサーチは “○○(←テーマ) Kreuzworträtsel“ や “○○(←テーマ) Buchstabengitter“と検索するとどなたかが既に作られて公開されているものを見つけることができます。
童謡を一緒に歌ったり、子ども向け番組を見せたりするのに使用できます。
生徒の様子を見ながら柔軟に進めますが、意識しているのは、1コマを3つに区切ることです。
基本的には、前の課の復習・宿題の答え合わせ⇒新出事項の学習⇒演習・まとめ、というように組んでいます。
新出事項の学習に関して「ドイツ語会話」では、テーマの導入⇒語彙の学習⇒表現の学習⇒演習、という流れで行っています。
また、特段の希望が生徒・保護者からない場合には、レッスン時は基本的にはドイツ語で話し、複雑な部分(文法の説明など)は適宜日本語で行います。
といったこと以外には、基本的に重要なことは大人のレッスンと変わらないと考えています。
最も大事なことは、様子を観察し、個々に合わせたスピード・内容で学習を進めることだと言えるでしょう。
ドイツ語が好きな生徒にはもっと楽しんでもらえるような、苦手意識を抱いている生徒は不安を取り除いてあげて少しでも自信をもって付き合ってもらえるようなレッスンができると良いのではないかと思います。
この記事がこれから子どものドイツ語レッスンを担当する方の一助になれば幸いです。