Deutsche Welleを活用してドイツ語のリスニングトレーニング!〜中級者向け〜

目次
Deutsche Welleを使おう
みなさんの中に、こんな悩みをお持ちの方はいませんか?
書店などを見ていても、ドイツ語のリスニング教材はあまりありません。文法やリーディングの勉強が進み、初級者からステップアップする一方で、リスニングについてはトレーニング方法がわからない。このような悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか(筆者はそうでした)。
Deutsche Welle
Deutsche Welleはドイツでラジオ、テレビ、インターネットでの放送事業を国際的に行なっている団体です。Deutsche Welleのウェブサイトではドイツ語学習者用のコンテンツが豊富に用意されており、ドイツ語を学ぶのにとても便利です。ドイツ語のサイトですから、初級者の方には扱いづらいかもしれません。
筆者はドイツに留学して初めてDeutsche Welleの存在を知り、こんな便利なサイトがあるのか、と感動しました。同時に、日本にいた時から知っていればドイツに来る前にもっと準備ができたのに、とも悔しい思いをしました。今勉強されているみなさんに同じ思いをさせないためにも、ここで共有しておきたいと思います。
このウェブサイトでは、多様なレベルのドイツ語学習者に向けて、様々なコンテンツが用意されています。その中でも、DEUTSCH AKUTUELLというコンテンツでは、ドイツの時事問題をテーマにしたリスニング教材が大量に提供されています。ドイツ語が聴けるだけでなく、内容や単語の確認問題、リスニングのスクリプト、ドイツ語での説明がついた単語リストなど、便利なものが揃い踏みです。
DEUTSCH AKTUELLではB1向けのコンテンツと、B2・C1向けのコンテンツが用意されていますが、独検2級や準1級を目指す方は、差し当たりB1向けのTop-Themaを試してみるとよいと思います。本記事でもこれを扱います。
Deutsche Welleのリスニング教材
- 時事問題をテーマにしたリスニング
- 内容の確認問題
- 単語の確認問題
- 単語リスト(ドイツ語での説明つき)
聴解トレーニングのメニュー例
それでは、Deutsche Welleを使って具体的にどのようにリスニングのトレーニングを行えばよいか、順を追ってみていきましょう。前の章の最後でも述べたように、B1向けのTop-Themaを使って説明していきます。
その前に、トレーニングの目的を共有しておきましょう。独検などの検定試験を考えた時、内容の正誤問題に対応できるようになることが大きな目標になるでしょうから、この記事では「聞いた文章全体の大まかな流れを把握し、趣旨を理解する練習をすること」と、その中で「語彙を増やすこと」を目的に設定します。
1. 興味のあるLEKTIONを選ぶ
サイトを開くと、LEKTIONがたくさんあることがわかると思います。
左側には最新の、右下にはそれ以前のLEKTIONがずらりと並んでいます。画像には写っていませんが、さらに下に行くと2007年分までのアーカイブがありますから、選ぶ分には選り取り見取りです。
この中から自分が『興味』を持ったものを選びましょう。「全部やらなきゃ!」と意気込む必要はありません。せっかくですから、リスニングトレーニングが終わってから聞いてよかったなあとか、面白い話だったなあと思えるそうなものを選ばないと損です。こうしたことがモチベーションにつながる大事なことだと私は思います。大変なことはやりがいや楽しみがないとなかなか続けられませんからね。
重要
- 全部こなすつもりで臨まなくても大丈夫
- まずは興味のあるLEKTIONを選ぶ
2. 聴く前にすること
興味のあるLEKTIONを選んだ後、すぐにリスニングを始めるのはあまりオススメしません。自分の現在の実力をテストするときにはその方が良いと思いますが、トレーニングをするときには、リスニング前の準備をした方が良いです。
これは私たちの母語である日本語であっても同じことで、馴染みのないテーマの話や、自分が知らない言葉がたくさん出てくる話は基本的には聞いてもよくわかりません。学校などでも難しい授業を受けて、「結局なんだかよく分からなかった」で終わってしまうことを避けたい時、私たちは予習をしますよね。外国語のリスニングのトレーニングでもそれは同じです。準備をすることでよりよく学ぶことができます。焦らずに取り組みましょう。
Achtung
- すぐに聴き始めない!
- 「予習」が大事!
タイトルと要約文をよく読む
まずは、タイトルとその下にある要約文を落ち着いて読みましょう。これから聞く文章の核になる情報が記されているはずです。
GLOSSAR (単語リスト)に目を通す
どのような単語が鍵になっているのか、GLOSSARの単語リストとそれぞれのドイツ語の説明に目を通して確認しましょう。
日本語の辞書を使っても構いません。全ての単語をきっちりと端から端まで理解する必要もないと思います。ここでエネルギーを使いすぎて、やる気をなくしてしまうくらいならば、ほどほどにして次に進みましょう。
ÜBUNGENのWas steht im Text?に目を通す
次に、ÜBUNGENの内容把握問題に目を通しておきましょう。大事なのは、これから聞くことがどういう内容なのか、ふんわりとしたイメージを掴み、リスニングをより良いものにすることです。
3. 実際に聴いてみる
これまでの準備を踏まえた上で、実際に聴いてみましょう。ここで、一言一句を正確に聴き取ろうとしなくても構いません。一つの単語を聞き取れなかった時にそれを気にして引きずってしまうと、そのあとのことが頭に全く入ってきませんから、むしろ逆効果です。
内容把握で必要なのは、聞き取れなかったことをあまり気にせず、事前にチェックしたタイトルやキーワード(単語)から全体の流れや要旨を把握しようと努めることです。これには結構な慣れが必要ですから、練習していきましょう。
4. 聴いた後にすること
聴き終わったら、自分がどれくらい理解できていたかをチェックし、よく分からなかった部分を確認しましょう。
ÜBUNGENのWas steht im Text?を解く
内容をきちんと理解できていたか、先ほど目を通しておいた練習問題で確認してみましょう。間違ってしまったら、もう一度答えに関係がありそうなところだけ聞いてみるなどして、確認してみましょう。
MANUSKRIPTを確認する
リスニング作業が終わったら、スクリプトに目を通しましょう。その際、隅から隅まできっちりと確認する必要はないと思います。
うまく聞き取れなかった部分や、確認しておきたいと思った部分を重点的に見るだけでも構いません。ここで自分が「何を聞き取れていなかったのか」だけはしっかりとチェックし、自分の弱点として記録しておきましょう。これが次につながります。
新しく学んだことを振り返る
最後に、そのLEKTIONで学んだ表現や単語、判明した自分の弱点をまとめるなどして振り返りができれば理想的です。
その際に全てをかき集める必要はありません。スマートフォンやタブレットで作業されるならGLOSSARやMANUSKRIPTのスクリーンショットを撮ったり、メモのアプリに軽く記録しておいて次の日にみてみるくらいでも構いません。
あれもこれも、というやり方は、人にもよりますが、長続きしないことが多いです。記録する単語の最大数などをあらかじめ決めておくなどして、気分良く、長続きできる範囲で取り組みましょう。
まとめ:Zusammenfassung
- 聴く前に「予習」する(タイトル・要約文・単語・内容把握問題などで)
- 聴く時は一語一語よりも全体像を理解するつもりで
- 聴いた後は理解できたか確認する
- 最後に、新しく学んだことを振り返る
- 何よりも楽しく続けられる範囲で取り組むことが大事
最後に
今回は、Deutsche Welleのドイツ語学習用コンテンツの紹介と、それを使って聴解のトレーニングをする方法をお伝えしました。紙幅の都合上、限られたことしかお伝えできませんでしたが、この記事がみなさんのステップアップに役立てばと思います。
何よりもみなさんにお伝えしたかったのは、楽しんでドイツ語を学んでほしいということです。「継続は力なり」と言うように、続けることはとても大切です。しかし、継続するためには何よりも楽しみややりがいが不可欠です。みなさんがご自身のペースで、実りあるドイツ語ライフを送れることを心から願います。
それではまた別の記事でお会いしましょう。Auf Wiedersehen und Viel Spaß!
リスニング勉強におすすめの本
Deutsche Welleのコンテンツが少し難しかった、という方は、三修社から出版されている『耳が喜ぶドイツ語』(2019年)をご購入されると良いと思います。スピードは結構速いですが、100以上ものコンテンツが収録されていますし、日本語訳も付いています。また、最初の方のコンテンツは文量も少ないため、とっつきやすいかと思います。本記事の内容がこの本を使ったトレーニングにそのまま転用できるわけではありませんが、参考にしていただければと思います。
独学もいいけど続かない、先生と一緒に勉強していきたいという人はぜひVollmondで一緒にドイツ語を勉強しましょう(^^)!
この記事を書いた人
Konischi
大阪の大学院生(修士)。ドイツの国語科の教科書について研究中。
Twitter (@y_konischi)で役に立ちそうなドイツ語情報を投稿したりしていなかったりします。お力になれることがあればぜひお声がけください。