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ドイツで理学療法士として働くには?現地で感じたやりがいと苦労【体験談】

こんにちは!Vollmondで以前ドイツ語講師をしていた下川翔大です。
僕は10年前にドイツに移住し、現地の学校で学んで国家資格を取得。5年前からドイツで理学療法士(Physiotherapeut)として働いています。

以前の記事では、資格を取るまでのAusbildung(職業訓練)生活についてお話ししました。今回はその続編として、就職活動や実際に働き始めてからの生活、やりがいや大変なことをお伝えできればと思います。

ドイツでの理学療法士としての経歴

現在はフルタイムで働きながら、ケルン体育大学院でスポーツ理学療法を学んでいます。

理学療法士を目指したきっかけは、スポーツトレーナーとしてスポーツの世界で働きたいという思いでしたが、この5年間の中でその夢は仕事として形になりました。

ここでは、現在の職場に至るまでの勤務経歴と、これまで関わってきたスポーツチームの歩みをご紹介します。

2年半:最初の診療所(Becker Plus)

  • 最初の1年間はアメフトチームでバイト
  • その後1年半は男子サッカー五部チームでバイト

8カ月:次の診療所(Fusion5 Performance)

  • ここで女子サッカーブンデスリーガチームへ入る。
  • 8カ月後に診療所が倒産

6カ月:次の診療所(Fusion5 Physiotherapie)

  • 倒産後、グループ会社に強制的に転職
  • 女子サッカーチームでの仕事は幸い継続

1年2ヶ月:次の診療所(Daniel Philipp Physiotherapie)

  • パートナー診療所の急な変更により転職(女子サッカーでの仕事を続けるために、僕も転職)

現在:Plus D Sport

  • 女子サッカーチームを離れるも、スポーツに関わりたい思いから転職
  • 男子サッカー4部(プロ)チームのサポートも開始

関わってきたスポーツチーム

複数のチームを同時に担当していた時期もありますが、女子チームのみフル帯同しました。

就活:Ausbildung卒業から理学療法士として働くまで

ドイツの理学療法士の就職事情

僕の場合、Ausbildungを終えた時には、実は就職先は決まっていました。
通っていた学校は、病院での研修が中心ですが、2週間だけ自分の好きな(卒業後に働きたい)診療所に自分で申し込み、インターンシップをすることが義務付けられていました。

そして、そのインターン先の診療所でオファーを頂き、そのまま契約書にサインをして、国家試験に臨みました。
クラスメートの半分以上が、この形で仕事を決めていました。

この診療所は、オーナーが凄腕の理学療法士で、彼のところに来る患者さんがどんどんよくなっていくのを目の当たりにしました。
最初はこの人のもとで勉強したいと思い、就職を決めました。

働き始めてからは、空いてる時間は常にオーナーに同行させてもらい、ずっと質問をしたり、患者さんを一緒に見たりしていました。

主な就職先

理学療法士の就職先は、大きく分けて以下の3つです。

ただし、以前は病院やリハビリセンターの方が給与等の待遇がよかったことと、福利厚生面でメリットがあるため、中々応募枠が空きません。
そのため、まずは個人の診療所に就職するのが一般的だと思います。

ドイツの理学療法士は開業権がある為、町中に理学療法士の診療所があります。
診療所は人手不足な場所が多く、色々な診療所が新しい理学療法士を募集していますので、診療所に入ること自体は難しくないです。

就職後のキャリア

Ausbildungの同級生を見ていると、大体8割は理学療法士を続けているように思いますが、途中で職種が変わる方も少なくありません。

同期の中にはダンスの先生になったり、パーソナルトレーナーになった同期もいます。
あとは、身体を動かすような職に就くという方も多いです。

就活・面接のポイントと質問例

就活する時は日本と同じで、自分がしたいことを軸にするか、待遇を軸とするかで大きく変わってくると思います。

正直僕が働いている今の診療所より、待遇面でいい場所はたくさんあります。
ただ、僕自身は成長できることと、やりたいことができる場所で選んでいるので、全く問題はありません。

待遇で選びたい人は、SNSでよく宣伝を打っている診療所は待遇もいい場所も多いのでInstagram等を通して探すことをお勧めします。

面接で聞かれることはどこでも、そんなに大きく変わりません。

よく対策で眼にする、強みや弱み(長所・短所)等は聞かれたことがありません。

給料の目安

待遇面で言えば、州や分野によっても違っているのですが、新卒フルタイム3000€(手取り2000ユーロくらい)で考えているといいかなと思います。

職場選びの決め手と重視したポイント

僕は今、ケルン体育大学院でスポーツ理学療法の修士課程に身を置いています。

直近2年間、女子サッカー・ブンデスリーガ1部でメディカルリーダーを務めた経験から、「スポーツに特化した職場で働きたい」という思いが強くありました。
そこで、スポーツを専門にしてる診療所を家の近くで探し、偶然条件にピッタリ合ってる場所を見つけてすぐに応募しました。

現在はフルタイム40時間(診療所32時間、男子サッカープロチーム8時間)という形で働いています。

特に大事にした条件は、こちらです。

ちなみに、知り合いの日本人の理学療法士も、スポーツを専門としている方が多いです。
男子サッカー3部(プロ)でフルタイムで働いている方や、僕と同じように、診療所とスポーツチームで働いている方がいます。

仕事内容:1日の流れと業務内容

実際の1日のタイムスケジュール

診療所で40時間働いていると、シフト制になります。
ほぼ全ての診療所が7時から20時まで空いていて、その中で1週間のシフトが組まれます。

朝7時~16時(休憩30分、8時間)働く日もあれば、11時半~20時まで働く日もある形ですが、残業はほぼありません。
最後の患者さんが終わったら、すぐに帰れます。

以前に勤めていた診療所では主に女子ブンデスリーガチームで働いていたので、計40時間(チーム帯同30時間+診療所10時間)という風に働いていました。

勤務先によって、色々な働き方ができると思います。
スポーツメインで働きたい人は、こうやって働ける診療所を見つけて応募するのも面白いと思います。

理学療法の単位数は日本と同じで、1単位20分になります。
もちろん処方箋にもよりますが、大体1の患者さんに対して20分の予約になりますので、8時間勤務の時は最大24人の患者さんを見ることになります。

僕の診療所では、1人の患者さんに対してより多くの時間をあてられるように1単位で1人30分の予約になってます。(もちろんその分儲けは減りますが、患者さんのことを考えてとのオーナーの思いからです。)

職場・チームの雰囲気

チームではすごく多くのコミュニケーションを取ります。
患者さんのことや業務のことはもちろん、日常の事まで含めてお互いすごく仲が良く、上司・先輩・後輩関係なく皆フラットな関係で、お互いが働きやすい環境にしてます。

チーム内は皆Du(親称)で話しますし、患者さんにも基本的にDuで話す理学療法士が多いです。
ただ、僕はオーナーへの尊敬と尊厳を持っていて欲しいという願いから、オーナーへはわざとSie(敬称)を使ってます。

あとは患者さんに対しても、いきなりDuだと嫌な患者さんがいるかなと思い、20歳以下の患者さんには最初からDu、21歳以上はSieと明確に決めています。

長期休暇の取り方

長期休暇(Urlaub)はだいたい思い通りに取れます。
取り方は人それぞれですが、僕は日本に帰る時に取るので、クリスマス休暇と合わせて3週間は休みにしてます。

オーナーも今3週間休んでますし、2週間ずつ取ってる人もいます。
日程関係なく取れるし、何も言われません。

資格セミナーで休む際もプラスで有給が使えたり、資格によっては授業料を負担してもらえたり、すごく働きやすい環境にあると思います。

外国人として働く上で大変なこと

ドイツ語(言語)の壁

Ausbildungを終えた後はドイツ語ができるつもりでいました。
しかし、その後患者さんと対面で8時間働くようになり、やっぱり話せないなと思うことが多くありました

また、スポーツチームに入ってからは、医者・監督・コーチ・選手と、色々な役割の人と話さないといけないので、どういった言葉遣いをしようか等、悩むことも多いです。
ニュアンスが伝わらなくて、もやもやすることもいっぱいあります。

結局、自分じゃ上手く伝えられなかったと思うことも日常茶飯事で、今でもひたすら落ち込む日々です。
言語勉強は、他の知識の勉強と同じで終わりはないのかなと思います。

僕自身は、自分のドイツ語力に全く納得も満足もしていないので、今は専門分野のポッドキャストを聞いたり、これまでは生理学や解剖学は1度日本語で知識を入れてから翻訳していたけど、最初から全てドイツ語で聞くようにしてます。
また、今でも一人で車の中でドイツ語仮想会話を続けてます。

翔大さんのドイツ語勉強法は、Vollmondのポッドキャスト過去配信「絶対にドイツ語を上達させるためのおすすめ勉強法15選」で紹介しているので、よければ聴いてみてください♩

大学院ではもっともっと専門的な内容を聞くし、レポートをドイツ語で書かないといけないし、ずっとディスカッションをしないといけないので、本当にずっとドイツ語の勉強です。

そのおかげか、今では診療所や患者さんと話すときに言語の壁を感じることはあまりありません
ただ、若い選手達の話している若者言葉が分からず話についていけないことはあります。

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働きづらさを感じた出来事

お医者さんで少し癖のある方が多く、チームドクターとの話に苦戦した経験があります。
あちらは、僕がドイツ語を完璧に理解していないという先入観をずっと持って話してきたので、すごくやりづらかったです。

僕の方が選手に近く、よく見ていたので、僕の言ってることが全部合っていてドクターが間違えているのに、こちらのせいにされたり、それを上に報告されたりして、正直最後はチームのあり方を見限った形で辞める運びとなりました。

明確に差別めいたものを感じたのはこの1件だけで、他に働きにくさを感じたことはあまりありません。

文化や価値観の違いによる難しさ

よく言われるように日本人は勤勉で働き者です。
誤解を恐れずに言うとドイツの人は無駄に働くのが嫌いです。

なので、日本人らしく真面目に丁寧に働いていたら、すごく評価されます。
一方で、主張をしないとAusnutzen(無駄使い)されることが多々あるので、しっかりと主張することが大切です。

例えば、他の理学療法士より仕事量が多いのに待遇が上がらなかったり、自分だけ無駄に仕事を押し付けられるようになったり…。
これは僕が元いたチームの話ですが、現在は自分の後釜として、自分より経験も浅く資格も少なく、そしてチームでの勤務時間も短い理学療法士が入りましたが、当時の僕よりも500€給与が高いらしいです。
そんな時に、自分があれだけやってたのは何だったんだろうと、心にズンとくるものがあります。

自分に最終的にメリットがあることならやる、無駄使いされてるなと感じたことにはしっかりとNein(ノー)を言う
これに怒るドイツの人もあまりいませんし、もし何か言われたら辞めたらいいと思いながら仕事をしてます。(ドイツ生活10年目なので、かなり慣れましたが、最初は難しいと思います。)

5年間働いて感じること

理学療法士になって早5年弱が経ちますが、あっという間で怒涛の日々を過ごしていたので、正直そんなに大変だったかは覚えてないですが、この道を選んでよかったと心から言えます

大変だったこと・苦労した場面

これまで色々な大変なことを経験しました(笑)

まず、働いていた診療所が倒産しました。
元々、経営がいい加減なオーナーで、給与も時間通りに払われたことがありませんでした。

それに加えコロナの影響等もあり、診療所の家賃やNebenkosten(付帯費用)の急上昇もあり、払えなくなっていました。

そしてオーナーがずっと嘘をついていて、倒産前日にArbeitslosengeld(失業手当金)に登録しろと言われ、みんな散り散りになりました。
後になって蓋を開けてみると、Sozialversicherung(社会保険)にすら登録されておらず、支払われてなかったことから、弁護士に相談する事態までなりました(笑)
今では、これ以下はないだろうと、強くなった気がします。

他には、いきなり所属チームのパートナー診療所が変わり、転職を余儀なくされたこともありました。
選択肢がこの場合2つあり、診療所に残りチームを辞めるか、診療所を移りチームに残るかです。

基本的にチームに派遣される理学療法士は、パートナー診療所にいないとチームに残ることはできません。
これは選手が怪我した際のリハビリ場所や、処方箋を切る場所(財政面)等に起因しています。

これらの経験のように、自分の思い通りにいかないもどかしさもありましたが、全て自分で選択したことなので何の悔いもなく、今は楽しく働いています。

やりがいを感じる瞬間

Ausbildungをしている時から、実習の時間も長いので働き始めはその延長で働けるのですが、どんどん経験を重ねていくごとに分からないこと、(今の自分では)手に負えない症状なども出てきて、その度にワクワクしますし、絶対にこの患者さんの為に何とかしたいと思うので、経験が増えていく毎に楽しくなっていく職業だと実感してます。

スポーツチームでも、診療所でも変わりなく、患者さん・アスリートのケガ/病気の状態が回復し、プレーできるようになった時、今までできなかった動きができるようになった時に、笑顔で感謝していただけるのが、何より嬉しいです。

小さい成功体験を積み重ねながら成長していると思う一方、失敗の方が多いと思うくらい、毎日反省します。具体的な成功体験はあまり覚えてないですし、今の経験で言うのはおこがましいとも思っています。

「あの時、選手や患者さんにこんな言葉をかけたらよかった」「こうすればもっとよかった」と思わない日はないです。
その悔しさから、毎日調べたり論文を読んだりしています。

明確な失敗体験で言うと、自分に迷いがある状態で選手を復帰させてしまい、痛みを悪化させてしまったことがありました。
未熟さと申し訳なさでしばらく寝れない日々でした。

これから理学療法士を目指す人へのアドバイス

よく、「是非理学療法士をドイツで目指しましょう」という言葉を見かけます。

けれど、ドイツ(海外)で資格を取ること、もしくは資格を書き換えること、仕事をすることは思ってる以上に何倍も大変で、しんどくて、キラキラしてることばかりでは全然ないです。
なので、僕は手放しにおすすめはしません。

手続きに時間はかかるし、理不尽なことを言われることもあるし、不安な日々を長く過ごすことはざらにあります。

ただ、それを乗り越えて、ある程度自由に仕事を選べて、人との繋がりもできてきたら、努力に見合うような働き方はできると思います。
開業権もあるし、スポーツの世界では、日本よりもチャンスは大きいと思います。

大学院に入ったらスポーツ理学療法の研究ができます。
卒業後はもっと大きな道がひらけるかもしれないという可能性に、今はすごくワクワクしています。

僕もそうなのですが、周りの外国人でドイツでキャリアを積んでいる人を見ていると、行動することをためらわない人が多いです。
リスクはもちろん考えるのですが、誰かに会いに行く、自分を売りに行くなどをする時に、ためらわず行動できる人が多いです。
後、何があっても諦めないことが大切ですし、みんな諦め悪いです。

私が翔大さんと出会ったのも、ドイツに短期滞在していたときに「今いるところまで行くので会いたいです!」とご連絡いただき、本当にすぐに会いに来てくれたのがきっかけでした^^
あの時の行動力のおかげで、今もこうやって縁があると思うと、とても嬉しいですしありがたいです。

ほんの少しの道標でも見つけて楽しめる方は、ぜひ挑戦してみてください。
全力で応援します!

連絡先はこちら:
X: https://x.com/shota_s418
Instagram: https://www.instagram.com/shimokawashota/

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