独検準一級、一次試験には受かったんだけど、二次試験のスピーキング試験が不安だなあ
どんな試験内容か、知ってる?
うーん。独検のホームページには「描写能力」が審査されるって書いてあるけど、どういうことだろう?
それは「ドイツ語で写真や絵の内容を説明する力」のことだよ。この記事では二次試験に合格するために役立つ情報をシェアするね!
目次
まずは、独検公式HPを確認してみましょう!
・ドイツ語圏の国々における生活に対応できる標準的なドイツ語を十分に身につけている。
引用元: https://www.dokken.or.jp/about/level.html
・新聞などの比較的複雑な記事や論述文などを読むことができる。
・自分の体験などについて詳しく話し,社会的・実用的なテーマについて口頭で自分の考えを述べることができる。
・比較的長い文章の要点を聞き取り,短いドイツ語の文章を正しく書くことができる。
・対象は,ドイツ語の授業を数年以上にわたって継続的に受講し,各自の活動領域においてドイツ語に習熟しているか,これと同じ程度の能力のある人。
・語彙5000語
3番目に書いてある「自分の体験などについて詳しく話し,社会的・実用的なテーマについて口頭で自分の考えを述べることができる」が二次試験ではかなり重要になってきそうなポイントです。
こちらもまずは、形式を独検公式HPで確認してみましょう。
二次試験: ドイツ語を母語とする人および日本人による口述試験
形式 会話形式(写真素材使用)
引用元: https://www.dokken.or.jp/about/level.html
時間 約8分
審査対象 発音とイントネーション,文章構成能力,描写能力,コミュニケーション能力
試験時間は約8分と、比較的短いよ!
これまでにVollmondで試験対策レッスンを受け実際に合格した生徒さんからの報告では、試験官は2名いるそうです。
ネイティブスピーカーと日本人がいて、ドイツ語でのやり取りはネイティブの試験官とのみ行います。
独検準一級の二次試験でやることは大きく分けて次の二つです。
自己紹介では「名前」や「出身」、「職業」や「趣味」などの基本的な質問の他に「ドイツ語をいつから勉強しているのか」「なぜドイツ語を勉強しているのか」「ドイツ語を将来仕事に活かしたいと思っているか」など「あなたとドイツ語の関係」についても質問されます。
ここは事前によく考えて準備しておけば大丈夫そう!
そうだね。理由を説明することが多くなるだろうから、weilやdeshalb/deswegenなんかを使って文章を作る練習をしておくのがおすすめだよ!
写真の説明では、裏向きに置かれた三枚の写真から一枚選び、それを説明(beschreiben)するように言われます。
写真の説明って言われても何から言えばいいかわからなくて詰まっちゃいそう・・・
コツと必要な表現を確認して練習すれば大丈夫!今日はこれに絞って見ていこう
写真の説明では、まず、ざっくりと „Das ist ein Bild von …(3格)“(これは〜の写真です)と述べるところから始めましょう。
この写真で考えてみます。これは「カーニバル」(der Karneval/der Fasching)の写真です。
もしこれがカーニバルだとわからなかったら、「仮装している人々の写真です」でも大丈夫でしょう。
(例)
▷ Das ist ein Bild vom Karneval.
▶︎ これはカーニバルの写真です。
▷ Das ist ein Bild von verkleideten Leuten.
▶︎ これは仮装している人々の写真です。
※複数3格の場合、最後に n が入ることに注意しましょう(Leute→Leuten)
ポイント①
まずは「これは〜の写真です。」とざっくり述べるところから
過去に実際に試験を受けた方から「実際の写真は写りが悪く、判別しにくい、漠然とした写真だった」という感想がいくつかありました。
詳細が分からなくても焦らず、「わかること」を伝えることを意識してみましょう!
例えば上の写真であれば、Das ist ein Bild vom Fest.(お祭りの写真です)など。
お祭りであることも分からなければ、Das ist ein Bild von einer Veranstaltung.(何かのイベントの写真です)でもいいかもしれませんね!
次に写真の構成しているものを大まかに説明します。
上の写真では「楽器を弾いている仮装した人々」が目立つので、それから説明しましょう。
ここでよく使うのが、Es gibt+人/物(4格)(〜がある、〜がいる)という表現です。
▷ Es gibt verkleidete Leute, die Musikinstrumente spielen.
▶︎ 楽器を弾いている仮装した人がいます。
Es gibtの他に、sehen(見る)を使う事もできます。
▷ Ich sehe verkleidete Leute, die Musikinstrumente spielen.
▶︎楽器を弾いている仮装した人が(私には)見えます。
主語をIch(私)ではなく、man(男の人のMannではありません!)にすることもできます。
こうすると、説明が客観的になります。ちょっとスマートな感じがしますね。
▷ Man sieht verkleidete Leute, die Musikinstrumente spielen.
▶︎ 楽器を弾いている仮装した人が見えます。
Es gibt だけだとダメ?
同じ表現を連続して使うよりも、テストでは色々な表現を使う方がおすすめだよ
ポイント②
Es gibt…(〜がある、いる)
Ich sehe/Man sieht… (〜が見える)
を使って何が見えるか述べる
次に「写真のどこにそれが見えるか」についての情報を付け加えましょう。
写真の中の位置を考える時にまず役立つのが、前景(Vordergrund)と背景(Hintergrund)です。
先ほどから例に挙げている「楽器を弾いている仮装した人」は写真の前景(Vordergrund)にいますから、次のように表すことができます。
▷ Im Vordergrund gibt es verkleidete Leute, die Musikinstrumente spielen.
▶︎ 前景には楽器を弾いている人がいます。
次に背景(Hintergrund)に目を移してみると、建物が三軒ほど並んでいるのが見えますね。それを表すには・・・
▷ Im Hintergrund sieht man ein paar Gebäude.
▶︎ 背景には二、三軒の建物が見えます。
ちなみに、これはそれぞれ vorne(前に)と hinten(後ろに)で言い換えられます。
▷ Vorne gibt es verkleidete Leute, die Musikinstrumente spielen.
▷ Hinten sieht man ein paar Gebäude.
これに加えて、写真によっては「右上の」「真ん中の」「左下の」など「上下左右」を伝える表現が必要になるでしょう。
今回は先ほどの写真を9分割にして、まとめてみました。
このように、上下(oben/unten)左右(links/rechts)、そして真ん中(in der Mitte)を組み合わせることで写真の中の位置を説明できます。
例えばこんな感じです。
▷Oben links gibt es Bäume und zwei gelbe Gebäude.
▶︎左上に木々と黄色い建物が二軒あります。
inをつけるのはMitteの時だけでいいのかな?
そうだね。Mitteだけはinをつけて「〜に」の意味をつけてあげないとダメなんだ。
上下左右を表す oben/unten/links/rechts は全て副詞と呼ばれる言葉で、すでに「〜に」という意味を持っています。 しかし、真ん中を意味する die Mitte は名詞で、それだけでは「〜に」という意味を持ちません。
ですから、真ん中だけ「〜に」の意味をもつ前置詞 in をつける必要があります。
ポイント③
前景(Vordergrund/vorne) 背景(Hintergrund/hinten)
上(oben) 下(unten) 左(links) 右(rechts) 中(in der Mitte)
で位置を伝える
写真が不鮮明で、どこに何があるかがよく分からない場合は、以下のような表現を付け足すといいかもしれません。
Ich bin mir nicht sicher, aber vielleicht … (例: gibt es oben links zwei Gebäude.)
Ich bin mir nicht sicher, aber ich glaube, … (例: es gibt oben links zwei Gebäude.)
訳:自信はないですが、おそらく…だと思います。
写真の大まかな説明ができたら、次にその写真に抱いた印象や感想を簡潔に述べましょう。
これで写真の説明の基本的な部分ができたことになります。
今回は4つほど役に立ちそうな表現、フレーズを紹介します。
▷ finden A B
▶︎AをBだと思う
▷Ich finde (A) die Verkleidung (B) sehr lustig.
▶︎仮装をとても面白いと思います。
▷halten A für B
▶︎AをBと思う
▷Ich halte(A) dieses Bild für (B) schön, weil ich lila mag.
▶︎紫色が好きなので、この写真を美しいと思います。
▷A gefallen mir (nicht)
▶︎Aが自分にとって気に入る(気に入らない)
▷(A) Dieses Bild gefällt mir nicht so, weil ich vor der Verkleidung Angst habe.
▶︎仮装が怖いので、この写真はあまり気に入りません。
▷ einen Eindruck erhalten
▶︎ 印象を受ける
▷ Ich habe einen guten/schlechten Eindruck erhalten, weil …
▶︎・・・なので、良い/悪い印象を受けました。
特に上の三つは使いやすいから、練習してみてね!
独検準一級では、通常写真描写をもとに会話が展開されていくので、写真描写で終わりではないことに注意しましょう!
例えば本記事で扱ったカーニバルの写真であれば、「カーニバルに行ったことはありますか?」「日本にもカーニバルはありますか?」、自転車の写真であれば、「普段自転車は使いますか?」「どのような交通機関を使いますか?」などの質問がくることが想定できます。
また、質問には Ja/Nein だけ、または焦って単語を並べただけなどで答えるのはおすすめできません。
これはあくまでもスピーキング試験であり、皆さんの発したドイツ語をもとに試験官が「この受験者は準一級程度のドイツ語を話せるか」判定するためです。
一次試験を突破した皆さんにはきっと、相応の基礎力はついているはずです。
あとはその基礎力を話す場でもしっかり示すことができるよう、たくさん練習していきましょう。
Vollmondのドイツ語コースでも、二次試験対策レッスンを受け付けています♩(自信のない方はプライベートコース、自信のある方は会話コースをぜひご検討ください)
私はVollmondの会話コースを利用したり、同じく二次試験を控えていた友人と対策しました。
実際の試験の流れに沿って、過去に出題された写真や初見の写真を題材に練習をしたので、何度か取り組むうちに試験形式に慣れることができました。
当日の様子についてはkomachi先生のPodcastのエピソードも参考になりました。
試験自体は待機時間が長かった分とても短く感じたのを覚えています。
私が選んだ写真がパン屋さんの店内の写真だったため、ひと通りの描写の後はパンや食事に関する話が続き、普段の朝食のことなど日常生活のことを多く聞かれました。
写真によっては一見描写しにくいものもあると思うのですが、想像力も交えながら「とにかく話せることを話す」というのを意識しました。
人の様子(「幸せそう」など)や季節などを想像すると話せることが広がるので、Ich bin mir nicht sicher, aber… や Ich vermute… といった、推測するときに使うフレーズはよく使っていました。
試験官の方はフレンドリーな雰囲気で、多少私が言葉に詰まったり言い間違えたことがあってもこちらの発言を待ってくれていたと思います。
口頭試験ということで緊張される方も多いかと思いますが、深呼吸をして、落ち着いて会話をすればきっと上手くいくはずです。
皆様の合格をお祈りしています!
同じくVollmondの会話コース受講生の方で、2021年に口頭試験に挑戦された方が経験談をシェアしてくれました。
惜しくも合格には一歩届かずでしたが、その後Goethe B1試験を受験しSprechenに無事合格できたとのことでした。
写真は、どこかのHauptbahnhofの写真らしく、さまざまなお店が並んでいる場面でした。
「どのようなお店が入っているか?」という質問から始まりました。
ところが、その写真は、とても写りが悪く、判別しにくいものでしたので、そのように申し上げると、では一緒に話しましょうとなりました。
ドイツに行ったことがありますか?どんなところに行きましたか?という内容から、自分が鉄道を利用したことを話すと、なぜそれを選んだのかなど、旅行を中心とする話題に広がって行きました。(ここで私は、reisenの現在完了形をうっかりhabenにしたことに気づかず2回やってしまったことが致命傷だったのかなと思います。)
今思い返すと、自分が間違えた時、試験官は似たような質問をしていました。
つまり、受験者に訂正のチャンスを与えてくれたのだと後から思いました。
私はそこで訂正できずに再びやってしまったので、不合格だったのかなと思います。
後に受験したB1のSprechenと比較すると、準1級の2次の方がより答えやすい内容であったと記憶します。
今回は独検準一級の二次試験の流れや、その中で出題される、「写真の説明」課題について解説しました。
写真の描写というのはそれ自体がいいドイツ語勉強の練習になります。
自分に何が表現できて、何がまだ表現できないのか、それがよくわかるからです。
また、それに対して自分が抱いた感想を言葉にできるかどうかも重要です。
準一級くらいのレベルになると、あなたの底力が試されるようになります。この記事を通じて少しでも皆さんのドイツ語学習を手助けできればな、と思います。
それではまた別の記事でお会いしましょう。Auf Wiederschauen und viel Spaß!
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ドイツ語学習で悩んだら、ぜひVollmondへご相談ください!
ゼロからドイツ語を習得した日本人講師、日本語勉強中のネイティブ講師が、Vollmondにはたくさんいます。
豊富なレッスン経験と自身の学習経験をもとに、あなたの勉強法・学習計画へのアドバイスも可能◎
目標に向かって、ぜひ一緒に進んでいきましょう!
この記事を書いた人:Konishi
大阪の大学院生(修士)。ドイツの国語科の教科書について研究中。
Twitter (@y_konischi)で役に立ちそうなドイツ語情報を投稿したりしていなかったりします。お力になれることがあればぜひお声がけください。
編集・追記:komachi(Vollmondドイツ語講師)
内容・表現チェック:nico(Vollmondドイツ語講師)