今日は色に関する語彙・表現を見ていこう。
前半は色自体に関する語彙・表現、後半は色を使った慣用表現に着目するよ~!
目次
まず、「色」はドイツ語で die Farbe, -n です。
まずはよく使われる色を見てみましょう。
色味 | 形容詞 | 名詞 |
---|---|---|
● | schwarz(黒い) | das Schwarz(黒色) |
〇 | weiß (白い) | das Weiß(白色) |
● | blau(青い) | das Blau(青色) |
● | gelb(黄色い) | das Gelb(黄色) |
● | lila / violett(紫色の) | das Lila / das Violett(紫色) |
● | grau(灰色の) | das Grau(灰色) |
● | grün(緑色の) | das Grün(緑色) |
● | braun(茶色の) | das Braun(茶色) |
● | rot(赤い) | das Rot(赤色) |
● | rosa(ピンク色の) | das Rosa(ピンク色) |
● | orange(オレンジ色の) | das Orange(オレンジ色) |
● | golden(金色の) | das Gold(金色) |
● | silbern(銀色の) | das Silber(銀色) |
色を名詞で表す際にはどれも中性名詞になります。
多くの単語では形容詞と名詞で同じ単語を使いますが、金色および銀色では形容詞の語末が名詞のそれと異なります。
lila と violett は実際は別の色を表します。
lila はライラック、violett はスミレが名前の由来になっており、前者は薄い紫(●)、後者は濃い紫(●)を差します。
また、「ピンク色」というと pink が思い浮かぶ方もいると思いますが、ドイツ語の pink は濃いピンク(●)を表し、日本で一般的にイメージされるようなピンク色は rosa と表します。
加えて、「オレンジ色」を表す orange は発音に注意が必要です( ⇒ 発音記号 [oˈrɑ̃ːʃ] [oˈraŋʃ])。
orangeやrosaなどの色は、名詞の前では語尾変化をさせないことになっている半面、口語では-nをつけて形容詞語尾をつけることもあるよ。
例)Er fährt ein orangenes Auto.
(彼はオレンジ色の車に乗っている。)
ぜひ一緒に声に出して発音練習をしてみてください。
「深い○○」「濃い○○」と表現したい場合には「暗い」を意味する dunkel を、「淡い○○」「薄い○○」と表現したい場合にはそれぞれ「明るい」を意味する hell を各色の前につけます。
例えば、深緑であれば dunkelgrün / das Dunkelgrün、濃いグレーであれば dunkelgrau / das Dunkelgrau、ライトブルーであれば hellblau / das Hellblau、薄茶であれば hellbraun / das Hellbraun といったように表します。
また、「~色っぽい」と表現する際には lich を各色の後ろにつけます。
例えば「白っぽい」と表す場合には weißlich、「緑っぽい」は grünlich となります。
中にはウムラウトするものもあるため気をつけましょう。
schwarz, blau, grau, braun はそれぞれ a が ä に変わり schwärzlich, bläulich, gräulich, bräunlich, rot では o が ö に変化して rötlich となります。
上の表にはないものの、日常で使われる頻度の高い色を表にします。
色味 | 形容詞 | 名詞 |
---|---|---|
● | creme(クリーム色の) | die Cremefarbe(クリーム色) |
● | beige(ベージュの) | das Beige(ベージュ色) |
● | gelbgrün(黄緑の) | das Gelbgrün(黄緑色) |
● | himmelblau(空色の) | das Himmelblau(空色) |
● | türkis / grünblau(青緑の) | das Türkis / das Grünblau(青緑色) |
● | oliv(カーキの) | das Oliv(カーキ色) |
● | weinrot(えんじ色の) | das Weinrot(えんじ色) |
黄緑は gelbgrün と日本語と同じ語順になるのに対し、青緑は grünblau とひっくり返っていますね。
creme はクリーム(die Creme)、oliv は オリーブ(die Olive)、türkis はトルコ石(der Türkis;石その物と色とでは冠詞が変わります)は、物に色が由来しています。
物に例えた色は単語の後ろに farben あるいは farbig をつけて作ることもできます。
辞書を引くと farben / farbig で終わる様々な色が載っており、中には erdbeerfarbig(イチゴ色の)といったかわいらしい色もあれば、feuerfarbig(炎のような色をした)といった形容詞も載っています。
コピーやプリントアウトするときに使う表現の「白黒」はドイツ語では schwarzweiß、「カラー」は farbig と表現します。
「白黒」は日本語とドイツ語では色の順番が入れ替わるのが面白いですね。
カラーは「色」を意味する die Farbe を形容詞にして使います。
「カラフルな」様子は bunt、「色褪せた」様子は ausgeblichen を用いて表します。
最後に、Vollmondで作成したオンライン単語帳で何度も繰り返してしっかり覚えていきましょう!
ここからは色を使った様々な慣用表現を見ていきましょう。
表現 | 意味 |
---|---|
ins Schwarze treffen | 命中する・命中させる、図星を指す |
schwarzfahren | 不正・無賃乗車する、無免許運転する |
(für etw./jmdn.) schwarzsehen | (…に関して)悲観的である |
etw. durch eine rosa/rote Brille sehen | …を楽観的に見る |
rotsehen | かっとなる・腹を立てる |
der rote Faden | 話の本題 |
eine weiße Weste haben | 潔白である |
weiße Mäuse sehen | 幻覚・妄想を抱く、酔っぱらっている |
blau sein | 酔っぱらっている |
blaumachen | なまける、さぼる |
※ schwarzfahren, schwarzsehen, rotsehen, blaumachen は分離動詞ですが、それぞれの色を副詞として使い、schwarz fahren, schwarz sehen, rot sehen, blau machen とすることもあります。
ins Schwarze treffen は多くの弓矢の的の中心が黒いことに由来します。
schwarzfahren の schwarz は悪を象徴しており、(für etw./jmdn.) schwarzsehen においては不幸や悲しみを象徴しています。
他にも schwarz には Da kannst du warten, bis du schwarz wirst. 「(日焼けするまでそこで)いくらでも待つがいいさ、どうせ無駄だよ。」といった慣用表現もあります。
また、「かんかんに怒る」 ということを schwarz を用いて、sich schwarz ärgern (あるいは sich grün und blau ärgern や sich gelb und grün ärgern)と 表現することもできます。
etw. durch eine rosa/rote Brille sehen は rosa か rote のどちらかを取ることもあれば、両方を取って etw. durch eine rosarote Brille sehen とすることもしばしばあります。
ピンクや赤い色の眼鏡を通して見ることですべてがバラ色に見える、というのは理解しやすいのではないでしょうか。
Brille(メガネ)と色を組み合わせた表現は上の表に載せた慣用句の他に etw. durch schwarze Brille sehen 「~を悲観的に見る」、etw. durch eine gefärbte Brille sehen 「~を色眼鏡で見る、~を偏見を持って見る」があります。
gefärbt は「色のついた」という意味ですから、後者は日本語の表現と全く同じですね。
なお、sehen は betrachten に置き換えることもできます。
rotsehen は闘牛が赤い布を見ると興奮することから表現が生まれました。
der rote Faden に関しては、そもそも「糸」を意味する Faden 自体が「話の脈絡」をも表します。
der rote Faden で「話の主題」を意味するようになった起源に関しては2つの説があり、1つはゲーテの小説 “Die Wahlverwandtschaften” 、もう1つはギリシャ神話に見られるという主張があります。
eine weiße Weste haben は weiß が「潔白」を象徴しています。
日本語の「潔白」で「白」が使われるのと同じですね。
潔いのベストを着ている様子から、潔白であることを表しています。
関連するものとして、jmdn. weißwaschen「~の潔白を証明する、~の嫌疑を晴らす」という表現もあります。
また、日本語の「蒼白」で「白」が使われるのと同様に、weiß で「蒼白」を表すこともできます。
Kreide(チョーク)を例に出して weiß wie Kreide sein(直訳:チョークの様に白い) 「蒼白である」と言うこともあります。
weiße Mäuse sehen は印欧の神話にその背景を見ることができ、物陰に隠れるネズミの習性から鬼や悪魔が連想されたこと、隠れるネズミを全ての人が見るわけではないことから妄想と結びつけられました
。また、そのことから精神障害や飲酒癖のある人に対してネズミの脳や糞などが民間療法の治療薬として使われるようになったことにも由来しています。
blau には口語で「酒に酔った」という意味があり、そのため blau sein で「酔っぱらっている」となります。
日本語や英語では「ブルー(blue)」と聞くと「憂鬱である」ことを差しますが、ドイツ語では「酔っぱらっている」状態を指すのが面白いですね。
残念ながら、blaumachenの由来に関しては明らかになっていません。
それでは最後に、色を使った慣用表現の例文を見てみましょう。
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この記事を書いた人:Yuna
東京外国語大学でドイツ語を専攻、在学中にエアランゲン大学に交換留学する。大学卒業後は教員として働き、ドイツに生活拠点を移した際にオンライン講師業を開始。現在は0歳児を育てながら、記事執筆や添削業務を行う。
皆さんの知識を整理したり、語彙を増やしたりして、使える表現を増やすお手伝いができれば幸いです(^^)
内容・表現チェック:nico(Vollmondドイツ語講師)