問題です!
Das Wetter ist heute( )gut.(今日は天気が良くない)という文で、( )の中に入れるのは何でしょう?
えっと、nicht かな!いや、待って… kein かもしれない!どっちだっけ…
ここでの正解は nicht だよ!
nicht と kein はよく分からなくなるよね〜。ポイントを抑えれば難しくはないから、おさらいしよう!
今回は、ドイツ語の「否定」の言葉であるnicht と kein の使い分けを解説します。
作文や会話中にこんがらがってしまう人も多いかもしれませんが、実はそんなに複雑なルールはありません。
以下で nicht と kein それぞれの意味・使い方をまとめましたので、例文と一緒にサクッと理解してしまいましょう♩
目次
nicht と kein の使い分けを一言で表してみます。
kein:名詞の否定
nicht:それ以外(動詞、形容詞等)の否定
とっても大雑把に言ってしまえば、これだけです。
nicht は英語の not 、kein は英語の no に似ているよ。
確かに I have no money.(+名詞)は言うけど、I like you no.(正: I don’t like you.)は言わないもんね!
以下で、それぞれ深掘りしていきます。
まず、nicht を使う場面について解説します。
nicht は、たとえば次のような単語を否定するときに用います。
nicht は基本的には否定したい言葉の前に置きます。
これから例文をたくさん紹介するので、nicht の位置にも着目してみてください。
ただし「動詞は2番目ルール」の影響で、①動詞を否定する場合は nicht は文末にきていることが多いです。
▼ nicht の位置についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
《肯定文》
Ich tanze.
私はダンスをする。
《nichtを使った否定文》
Ich tanze nicht.
私はダンスをしない。
《肯定文》
Ich rauche.
私はタバコを吸う。
《nichtを使った否定文》
Ich rauche nicht.
私はタバコを吸わない。
《肯定文》
Das Wetter ist heute gut.
今日は天気が良い。
《nichtを使った否定文》
Das Wetter ist heute nicht gut.
今日は天気が良くない。
《肯定文》
Ich bin glücklich.
私は幸せだ。
《nichtを使った否定文》
Ich bin nicht glücklich.
私は幸せではない。
定冠詞類(der, dieser 等)や所有冠詞(mein, dein 等)の前に nicht を置いて、部分否定の役割をすることも多いです。
《肯定文》
Ich kenne die Katze.
私はその猫を知っている。
《nichtを使った否定文》
Ich kenne nicht die Katze.
私はその猫を知らない。
《肯定文》
Das ist mein Handy.
それは私の携帯だ。
《nichtを使った否定文》
Das ist nicht mein Handy.
それは私の携帯じゃない。
《肯定文》
Ist das dein Buch? – Ja, das ist mein Buch.
この本は君の?- そう、私の本だよ。
《nichtを使った否定文》
Ist das dein Buch? – Nein, das ist nicht mein Buch.
この本は君の?- いや、私の本じゃないよ。
否定冠詞 kein は、特定されていない名詞を否定します。
正確に言うと、
を主に否定します。
《肯定文》
Ich habe einen Bruder.
私には1人の兄(弟)がいる。
《kein を使った否定文》
Ich habe keinen Bruder.
私には1人も兄弟がいない。
《肯定文》
Ich habe eine Katze.
私は1匹の猫を飼っている。
《kein を使った否定文》
Ich habe keine Katze.
私は猫を飼っていない。
《肯定文》
Ich habe Geld.
私はお金がある。
《kein を使った否定文》
Ich habe kein Geld.
私はお金がない。
《肯定文》
Ich trinke Bier.
私はビールを飲む。
《kein を使った否定文》
Ich trinke kein Bier.
私はビールを飲まない。
このように、何らかの名詞の数量がゼロであることを表すのが、kein の主な役割です
いわゆる全否定の役割です。
上のような例文でも「nicht」を使って別のニュアンスを表すことができるんだけど、それについてはあとで説明するね!
kein は、不定冠詞 ein や、所有冠詞の mein, dein などと同じ「不定冠詞類」に属し、以下のように活用します。
格 | 男性 | 中性 | 女性 | 複数 |
---|---|---|---|---|
1/ N | kein | kein | keine | keine |
4/ A | keinen | kein | keine | keine |
3/ D | keinem | keinem | keiner | keinen |
2/ G | keines | keines | keiner | keiner |
▼不定冠詞類の格変化を復習したい方はこちらの記事がおすすめです。
以上のように、基本的には単純なルールで使い分けられるのが nicht と kein です。
使い分けによってどのような差が生じるのでしょうか?
たとえば、
これらの文は、どれも「私はビールを飲まない」という意味を表していますが、以下のような違いがあります。
1. Ich trinke kein Bier.
→ 1番普通かつ自然な表現です。
元の文章は Ich trinke Bier. と無冠詞の名詞を否定したいので、kein を使うのでしたよね!
2. Ich trinke nicht Bier.
→ 不自然で違和感があります。
ただし、Ich trinke nicht Bier, sondern Wein.(ビールではなくてワインを飲みます)のような場合は言うことができます。
しかし、この場合もより正確にいうと Ich trinke kein Bier, sondern Wein. の方がいいです。
覚えよう!
nicht A, sondern B:AではなくB
3. Ich trinke Bier nicht.
→ 自然とはいえませんが、言うことができます。
「ビールは飲まないと言ってるじゃないか!(Ich trinke Bier NICHT!)」など、強調したい場合に使えます。
ただし強調したい言葉(=Bier)があるのであれば、それは1番はじめに置く方が自然です: Bier trinke ich nicht.
というわけで、2, 3も通じるとはいえ、1番自然なのはやはり 1. Ich trinke kein Bier. です。
慣れるまでは最低限、名詞否定=kein / それ以外=nicht と覚えておいてください。
以下 1 – 12 の文を nicht または kein を使って完成させてください。
日本語での意味も考えてくださいね♩
答えを見る
Vollmondで作成したオンライン単語帳もぜひご活用ください。
今回は、否定語 kein と nicht の使い分けについての解説でした!
例文を覚えたり会話で使ったりしながら、サクッと身につけちゃいましょう〜!
覚えよう!
kein:特定されていない名詞(不定冠詞がつくor 冠詞がつかない名詞)
nicht:それ以外(動詞、形容詞、特定された名詞)
VollmondのPodcast「ココロ踊るドイツ語講座」でもnichtとkeinの違いを解説しています。
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この記事を書いた人:凡さんす
「勉強」や「学問」頑張る人向けに文章書いてる大学4年生のブロガー・ライターです。来年秋から、英国エセックス大学の修士課程で紛争解決学の研究をしてきます。趣味でドイツ語を学び、勉強開始から3ヶ月で独検4級取得。
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