ドイツで理学療法士になった私のAusbildung体験記

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初めまして、Vollmondで過去に講師をしていた下川翔大と申します。

ドイツのNRW州にある Bochum(ボーフム)という小さな街で、理学療法士(Physiotherapeut)の Ausbildung をしておりました。

> Ausbildung とは?ドイツの教育システムと学校の名称を徹底解説!

そして先日、3年間の Ausbidung を終え、国家試験に合格し、正式にドイツで理学療法士となりました

自己紹介

日本では、幼少期からラグビーばかりしていて、高校では花園に出場し、大学2年生まではラグビーに没頭していました。

大学4年次に初めてドイツの Bochum に交換留学で来て、色々な友達と出会い、本当にドイツが大好きになりました。

大学卒業後は大阪のプリンターメーカーで営業をしておりましたが、1年半で辞めて、ドイツに来て理学療法士になることを決め渡独しました。

ドイツで理学療法士になろうと思った理由

ドイツを選んだ理由

幼少期から、トゥレット症候群(意思に関係なく声が出たり、身体が動いてしまう神経疾患)という難病を患っており、日本で生き辛さを感じていました。

声がうるさい目ざわりだという理由で、日常生活において公共の場で、心無い言葉や、暴力を振るわれることも多々ありました。

特に社会人になってからは一層酷くなり、心を病んでしまいました。

そんな中、大学4年生の時にドイツに交換留学をしたことが大きな意味を持ち始めます。

ドイツでは、病気について言われる事はほぼほぼ無く、皆がこの病気を知っていて助けてくれたり、優しい言葉を掛けてくれたりしました。

そんな経験が今までなく、“何て生きやすい国なんだ“と感じました。

病気の事で疲弊しきった時にふと、ドイツに戻って、気兼ねなく自分らしく生きたいと強く願うようになり、ドイツに戻ってくることを決意しました。

理学療法士を選んだ理由

理学療法士を選んだ理由は、病気を持っていて痛い思いをしてきた自分だから、ラグビーでケガをたくさんしてきた自分だから、患者さんに寄り添えるはずだと思ったことが大きなきっかけです。

特にスポーツの世界で働きたいと思っていた時に、色々調べていると、ドイツは凄く夢を追うのに適した国だなと感じるようになりました。

ドイツでの所謂スポーツトレーナーという立場の仕事は、医療資格である理学療法士の資格は原則必須なので、理学療法士になれば道が拓けることが分かり、これだ!と思いそれしか頭になくなりました笑

入学までの経緯

学校への申込み

学校は語学学校に通いながら同時進行で探しました。

基本的にインターネット上にあるサイトを片っ端から見て、応募という形でした。

ホームページに必要書類が書いてあるので、それをきっちりそろえて郵送します。

必要なドイツ語力

正直厳しい言い方になりますが、この時点でサイトに書いてあることが分からないのなら、Ausbildung を恐らく最後までやり遂げられないので、もう少しドイツ語やりこんでからの方が良いと思います。

しかし、理学療法士の学校は基本大学ではなく、Ausbildung(職業訓練)なので、ドイツ語能力に関する明確な規定はありません。

学校に願書を送り続けていた際、私のドイツ語能力は B2 でした。

最終的に入学許可が出たころには、語学学校の試験で C1 に受かっていましたが、 Telc や Test DaF などの試験を受けたことはありません。

理学療法士の Ausbildung では語学の証明書は必要ないので、基本的に面接である程度出来ると判断されれば、入学可能でした。(他のAusbildungは分かりません。)

合格までの道のり

理学療法士の Ausbildung の場合、まず日本での高校卒業証明等の各種必要書類と、履歴書、モチベーションレターを学校に郵送します。

そこで面接への招待があり、面接及び入学試験がある学校は、試験を合格したら入学となります。

入学試験は、患者さんの症状を説明されて、リハビリメニューのアイディアをディスカッションしたりと、ケーススタディのようなものが多かったです。

自分は、病気の関係もあり10校以上の学校から不合格通知をもらいましたが、最後の最後で恩師となる先生に出会い、今の学校に出会い入学できました。

Ausbildungで印象に残っていること

語学(ドイツ語・ラテン語)の難しさ

入学前は、ドイツ語に対して根拠のない自信が凄くありましたが、最初の授業で見事に打ち砕かれました笑

当たり前ですが、先生、同僚は 95%がドイツ人です。

話すスピード、内容が全く聞き取れませんでしたし、授業内容もほぼ何を言っているか分からないなんてことも、ざらにありました。

それでも毎日の授業や、2年目からは実習の中で患者さんや、医師、看護師たちと話してるうちに、ドイツ語もどんどん上達するので、段々楽しくなっていったの覚えています。

また医療系の Ausbildung なので、筋骨格、神経、血管の名称等はすべてラテン語で覚えないといけないので、最初は大分しんどいです。

そしていざ全部覚えたけど、患者さんと話すときはラテン語は使わないので、専門用語を分かりやすくドイツ語で説明するというのが、一番難しかったです。

多様な勉強内容

理学療法士のAusbildungでは、本当に様々な分野を勉強します。

Orthopädie(整形外科)、Chirurgie(外科)、Gynäkologie(産婦人科)、Pädiatrie(小児科)、Geriatrie(老人医学)、Neurologie(神経科)、Rheumatologie(リウマチ科)、Dermatologie(皮膚科)、Gefäßchirurgie(血管外科)、Innere Medizin(内科)、Sportmedizin(スポーツ)、Psychiatrie(精神科)など

幅広い知識が必要になるのも凄く面白かったです。

大変だったこと①クラス

大変だったことの一つは、自分が26歳でAusbildungを始めたのですが、一番若いクラスメートは17歳と若いクラスだったので、ノリが合わず友達も出来ず苦労しました笑

けれど、ずっと黙々と頑張っていると、皆が認めてくれるようになり仲良くなれたので、楽しい時間を過ごすことが出来ました。

大変だったこと②試験

一番大変だったことは、やはり試験です。

学校によって異なるのですが、自分の学校では毎年進級試験があり、毎回追試を含め受けられるチャンスは2回まで、2回落ちると退学になるという重圧の中で勉強をしていくことになります。

30人で始まったクラスが、国家試験まで辿り着いたのは、18人でした。

そして国家試験は1か月間かけて、筆記、口頭、実習の計17個の試験をこなしていくことになります。

国家試験途中に辞めてしまう子もいるし、追試を受けるクラスメートも6人程度いて、一発合格は11人だけという感じでした。

その分合格した際の喜びは、本当に大きかったですが、色々な方の支えが無かったら出来なかったとつくづく実感します。

渡独前の人にアドバイス

しておいてよかったこと

大切なことは、渡独の目標をはっきりさせておくことだと思います。

友達としっかりドイツ語だけで話せるようになる、C1まで取る、好きなことをドイツ語でプレゼンできるようになる、とか何でも良いので、目標を持ってドイツに来ることをお勧めします。

そうするとしんどい時でも、モチベーションになります。

医療系の Ausbildung や医師になる為の大学に入りたい方は、本当に強い意志を持って来るのをお勧めします。

しておけばよかったこと

渡独前にしておけばよかったことと今考えると、もっと語彙力を増やしたり、アウトプットの時間を増やしたりしておけば良かったかなと思うので、是非Vollmondのドイツ語レッスンのような利用できるチャンスは活かしてほしいです。

(自分の渡独前は気軽にドイツ語学べるような場所は無かったので笑)

Ausbildungを通じて感じたこと

強く思ってることは行動に出るし、行動したら叶うことも多いことを、この留学を通して学びました。

これから、ドイツに来る方は、楽しいこともしんどいことも絶対にあります。

ドイツ語は凄く難しいので笑、諦めたいこともあると思います。

なので、ドイツ語が少しでも出来ることに自信を持ってほしいし、その上でドイツ語を勉強する時は、これだけ話せるようになりたいって姿を強く思いながら勉強してほしいです。誰でも、絶対に話せるようになります。

自分はこれからドイツで働き、ドイツで自分の診療所を建てるつもりなので、頑張ります。

授業の時間でもいいですし、もし何か聞きたいこと等があれば聞いてください。

皆さんがドイツ語を、ドイツを好きになってくれて、いつかドイツのどこかでお会いできるようなことがあれば、幸いです。

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編集:komachi(Vollmondドイツ語講師)

ドイツ語圏留学