はじめまして!ヨシタカと申します。
Vollmondでドイツ語の講師を始めてから早くも半年が経とうとしています。
私は高校3年生のころドイツに1年間ほど滞在しました。
本格的な移住などではなく、現地のホストファミリーのもとでお世話になりつつ交換留学生として近所の学校に通うという、いわゆる高校留学プログラムを利用した滞在です。
というわけで、今回はドイツのギムナジウムの様子について書きたいと思います。
当時私が住んでいたのはドルトムント近郊の小さな町で、この町にあるギムナジウム(日本の中学高校に相当)に通っていました。在籍していたのはQ1と呼ばれる上級の学年で、これは日本でいう高校2年生ぐらいにあたります。
Vollmondにも「現地校に通うことになって不安で…」とレッスンを受けてくれてる中学・高校生の方がいるので、ヨシタカ先生にお願いして体験談を書いてもらうことになったよ!
もう5年ほど前の話ですが、がんばって思い出しながら書いてみようと思います。
「学校の雰囲気」「学校での授業」「現地でのドイツ語の勉強」の3点から紹介しますね!
▼ドイツの教育システムが気になる方はこちらの記事もぜひ参考にしてください。
目次
2015.8 〜 2016.7 | ドイツ・ドルトムント近郊の町のギムナジウムで高校留学 |
2017.10 | ゲーテC1取得 |
2018.8 〜 2019.8 | ドイツ・ハレ=ヴィッテンベルク大学で交換留学 |
2019.9 | ゲーテC2(筆記試験のみ)取得 |
2020.1 | ドイツ語検定1級取得(2019年度試験1位成績) |
2020 〜 | Vollmondドイツ語講師 |
まずドイツのギムナジウムの雰囲気ですが、日本の中学校・高校のそれとはぜんぜん違います。
自分の受けた印象では、日本の学校と比べると色々とゆるいところが多かったです。
なによりギムナジウムは校則とか規律とかがまったく厳しくなかったんです。
たとえば、制服。
ドイツではそもそも制服を採用している学校はかなり稀なようで、私のいたギムナジウムも制服がありませんでした。
みんな思い思いの格好をして学校にやってくるので、校内は色彩が豊かで、厳しい雰囲気はありません。
先生たちも服装は自由だったようで、Tシャツにジーンズといった簡単な格好で授業をしている先生たちもいました。
服装に関しての規定がないほかに、買い食いだったり休み時間中の学校の出入りだったりも自由で、授業時間外の生活態度に関してとやかく指導を受けることはなかったと思います。
もうひとつギムナジウムに特徴的な点は、学校で勉強している学年の幅が広いことだと思います。
日本の中学校・高校はそれぞれ3学年ずつありますよね。
これがドイツのギムナジウムでは、だいたい8学年ぐらいあるんです(地域によって若干の差はあります)。
ギムナジウムの生徒は10~18歳ぐらいの年頃なので、日本でいう小学校5年生から高校3年生ぐらいまでの生徒が同じ校舎で授業を受けているような感覚です。
普段は基本的に他学年とそれほど接点がないのですが、昼休みの時間となると生徒は中庭などに出てきて、学年関係なく入り混じってみんな思い思いに時間を過ごしていました。
大人っぽいたたずまいの高学年の生徒たちがおしゃべりをしているわきで、低学年の子たちが夢中で走り回っていたり、あどけない顔つきの小さな生徒が高校生のような見た目の生徒にぎこちなく話しかけていたりと、眺めていて面白い光景でした。
しかしこれほど学年に幅があっても、みんな学年の差はそれほど気にしていなかったようで、おなじ生徒同士では du「君(きみ)」で呼び合うのが普通でした。
中学校あたりから上下関係が厳しくなる日本の学校とは対照的ですよね。
ギムナジウムの雰囲気はそれほど厳しくないという話をしたところですが、授業になると打って変わってしっかりやります。
教室では生徒も真面目に授業を受けていますし、たいていの事は大目に見てくれる先生たちも私語や居眠りには厳しく対処します。
授業中に寝ることに関しては、むしろ日本の学校でそれをするより与える印象が悪かったようです(机に突っ伏して寝るのは完全にアウトです)。
授業の形式ですが、ギムナジウムでは生徒にディスカッションをさせたり、前で発表させたりすることが多かったです。
日本の学校のように、先生が黒板に書いて説明するのを聞きながら黙々とノートをとるのではなく、むしろ先生と生徒が対話によって授業を作りあげているような印象を受けました。
授業中は先生と生徒とのあいだで質問なりディスカッションなりが交わされていることが大半だったので、「静かな授業」というのはドイツの学校では好まれないのかもしれません。
授業の科目に関しては、日本の学校とほとんど似たり寄ったりです。
日本の高校2年生にあたる学年に在籍していた私が受けていたのは、「国語」(Deutsch)、「英語」(Englisch)、「歴史」(Geschichte)、「地理」(Erdkunde)「哲学」(Philosophie)、「数学」(Mathematik)、「物理」(Physik)、「化学」(Chemie)、「生物」(Biologie)、「体育」(PE)、「美術」(Kunst)といった科目でした。
日本の高校ではおなじみの科目ですよね。
国語や歴史とかであれば、もちろんドイツのものを学ぶことになりますが、数学や物理になると教科書の内容までほとんど同じです(全部ドイツ語ですが…)。
日本の学校にも似たようなシステムがあるかもしれませんが、これらの科目にはさらに「通常コース」と「発展コース」の二種類のタイプの授業が用意されていました。
生徒それぞれが興味や自信度に応じて選択できるようになっていたようで、授業の難しさもどちらを選ぶかで多少異なっていたようです。
たとえば「体育」の「発展コース」では、人体のつくりやバレーボールの戦略などをかなり詳しく扱っていました。
余談ですが、私はこれらの科目のほかに「文学」(Literatur)という授業をとっていました。
国語となにが違うの?と思いますよね。この授業でやっていたのは、ドイツ語の文学を読むことではなく、ドイツ語の戯曲を実演することだったんです。
つまり演劇の練習のようなもので、これには当時まだドイツ語がそれほど出来なかった私も参加させてもらっていました。
何かしらの劇で、セリフがたった一言しかない体操選手の役で出させてもらっていたのを覚えています。(笑)
ここまでドイツのギムナジウムの雰囲気や授業について説明してきました。
最後に、実際にドイツの学校に通うことになったときドイツ語をどのように勉強したらよいか、個人的な見解ながら書いてみようと思います。
ギムナジウムでの授業に参加してみて私が感じたのは、やはり授業を受けるうえではドイツ語で読み書きできることがとても重要になってくるということです。
もちろん授業中の発言も重要視されるのですが、そもそも配布される資料や教科書が読めないと授業中の話についていくことさえも大変でした。
また文章が書けないと宿題も出せませんし、テストを受けるのも一苦労です。
さらに学年が上がれば課題図書をまるまる一冊読まされたり、学年末試験でまっさらの紙にひたすら文章を書かされたりすることもありました。
とにかくドイツの学校では読解力、文章力が厳しく見られるので、実際に現地の学校に通うとなれば、日常会話だけでなくドイツ語の文章の読み書きの練習をしておくことが欠かせません。
それでは読み書きはどのように勉強すればいいのか、ということになりますが、とりあえずドイツ語にまだ触れたことがない方は、基礎的な文法と語彙の学習から始めてみましょう。
そして基礎がひと通り身についたら、読めそうなドイツ語のテキストを探して辞書を使いながら読むようにしてみるとよいと思います。
絵本でもいいと思いますし、小説やニュース記事に挑戦してみてもいいかもしれません。
どちらにせよギムナジウムではかなりのテキストを読ませられることになるので、日頃から新しい単語に触れつつ、文章を読むことに慣れていくことが重要です。
もちろんインプットばかりではいつか飽きがくるので、新しく知ったことばを日記やエッセイといった形でアウトプットしてみるのもいいですね。
習った文法の知識もうまく活用しながら自分で文章を作る練習をしておけば、ライティングだけでなくスピーキングのときにも役に立つと思います。
中級ぐらいの実力がついたら、分からない単語は独独辞典を使って調べるようにして、ドイツ語でドイツ語を学ぶようにするのが個人的なおすすめです。
独独辞典を使うことで目に入るドイツ語の量が一気に増えるので、ドイツ語そのものに慣れていくうえでよい練習になります。
またドイツの学校生活では分からないことを学校の先生や友達にたずねる場面がよくあると思いますが、ドイツ語で返されることがほとんどのはずです。
そうするとドイツ語の説明だけで物事を理解できることが重要になってきますが、日頃から独独辞典を使って勉強していればこの点いくらか有利になってくると思います。
もちろん読み書きに限らずリスニングやスピーキングも無視できませんが、これらは現地で生活するうちに徐々に慣れてくる面もあると思います。
日常的にドイツ語を聴いていれば耳も次第に慣れてきますし、友達や現地の人たちとはドイツ語を使って会話するように心がければかなりスピーキングの練習になるはずです。
なので渡航前でまだ日本にいる間や、現地でもひとりで勉強するようなときは、重点的に読み書きを鍛えておくのが一番効率的かもしれません。
こうして見てみると、やはりドイツ語の勉強は地道でハードなものになってくる感じがしますよね...。
読む・聞く・話す・書くの4つのどれもなおざりにできないので、勉強もそれに応じて大変になってくるのは事実です。
ですが現地で日常的にドイツ語に触れていると吸収力も上がってきますし、なによりドイツ語母語者の友達がいるだけでもドイツ語学習にはプラスになるはずです。
現地でドイツ語を学べるということはとても恵まれたことでもあると思うので、もしドイツの学校に通い始めるという方がいれば、その機会を存分に使ってドイツ語を学習してみるのが一番だと思います。
ヨシタカ先生の他に、Tomoya先生も一年間ドイツで高校留学をしていました。
Vollmondのポッドキャスト「ココロ踊るドイツ語講座」で留学についてたくさん話してくれているので、他の留学経験者の声も聞きたい方はぜひ!
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執筆:ヨシタカ(Vollmondドイツ語講師)