不思議で便利なドイツ語”doch”をマスター【Ja/Nein/Dochから接続詞まで】

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昨日クッキー焼いたんだ!食べる?

うーん、後にしようかな…

え?おなか空いてないの?

「Doch!」今歯が痛くて、甘いもの食べられないんだ…

ん?それは結局おなかが空いてるってこと?空いてないってこと?

確かに日本語にはない表現だね。今回はdochの使い方をマスターしよう!

ドイツ語独特の表現「doch」とは?

理解できそうでなんとなく理解しにくい言葉「doch」ですが、ドイツ語での会話の中にはよく出てくる表現の一つです。

日本語にはない感覚の言葉ですし、ネイティブの会話の中でもかなり感覚として使われている印象があり、使い方や言い回しもたくさんあるので勉強していても頭が混乱してしまうドイツ語の一つではないでしょうか?

たとえば、上記のネコさんと男の子の会話のように、dochは質問に対する返答として使われることがあります。

しかし質問に答える時以外にも、接続詞(だが、しかし)としてや副詞(だが、やはり)としても本当に幅広く使われます。

一見難しそうですが、マスターしてしまえば、よりネイティブに近いスムーズなドイツ語に近づける単語です。

今回は、そんな「doch」の使い方を詳しく説明していきます。

疑問文に対する返答としての「doch」

Hast du keinen Hunger?
(おなか空いてないの?)

Doch! Ich habe Hunger
Aber ich habe Zahnschmerzen, deshalb kann ich keine Süßigkeiten essen.
(いやいや!おなかは空いているけど歯が痛くて甘いものが食べられないんだ) 

上記のような場合に、dochは否定を含んだ質問に対して否定で答える際に使われます。

◆否定を含まない質問の場合(質問文にnicht/keinが含まれない)

Sprichst du Deutsch?(きみはドイツ語を話す?)

– Ja, Ich spreche Deutsch.
はい、私はドイツ語を話します。

Nein, Ich spreche kein Deutsch.
いいえ、私はドイツ語を話しません。

質問文に否定の言葉(nicht/kein)が含まれない場合、「はい」や「いいえ」は「Ja/Nein」で答えます。

◆否定が含まれる質問の場合(質問文にnicht/keinが含まれている)

Sprichst du kein Deutsch?(君はドイツ語を話さないの?)

Doch, Ich spreche Deutsch.
いいえ、ドイツ語を話します

Nein, Ich spreche kein Deutsch.
はい、ドイツ語は話しません

Willst du nicht allein reisen?
(一人で旅行したくないの?)

– Doch, Ich will allein reisen.
ううん、したいよ。

– Nein, Ich will nicht allein reisen.
うん、一人旅はしたくないんだ。

質問文にnichtやkeinなどの否定の言葉が含まれている場合、「はい」や「いいえ」は「Doch/Nein」を使って答えます。

このように「doch」は「~しないの?/~じゃないの?」という質問に対して、「いやいや、そうではなくて…」などと、その内容をさらに否定するときに使うと覚えておくといいでしょう。

注意すべき点は、質問の内容を肯定する場合には「Nein」を使うころです。

日本語で考えてしまうと、「宿題やってないの?」「はい、やっていません」となり、返答には「はい」を使うことになるので、ドイツ語でもうっかり「Ja」と答えてしまいそうになります。

しかしドイツ語では、質問の内容を否定する場合は「Doch」を使うことに注意しておきましょう。

覚えよう!
否定の言葉を含まない質問:「Ja」または「Nein」で返答
否定の言葉を含む場合:「Doch」または「Nein」で返答

文の内容を否定?肯定?….瞬時にパッと出てこない人は、「Neinの後に続く文は否定」と覚えておくのがおすすめです◎

“Ich habe keine Zeit.”, “Ich komme heute nicht.”のように後に続く文(答えたい文)が否定なら答えもNeinです。(→Nein, ich habe keine Zeit./Nein, ich komme heute nicht.)

逆に”Ich habe Zeit.”, “Ich komme heute.”と答えたい文が否定ではないなら答えはJaまたはDochになります。

受け答えをするときに”Ja/Nein/Doch”のみで答える癖が付いている人は多いですが、その後に続くはずの答えの文を言うようにするのは、相手との誤解を防ぐ1つの方法です◎

参考:keinとnichtの使い分け

VollmondのHonoka先生による動画解説もぜひ参考にしてください(^^)

練習問題

さっそく「doch」を使ったドイツ語の質問文への答え方を練習してみましょう!

Ja・Nein・Dochの中から、()に当てはまるものを選んでみてください。(解答はこの記事の最後にあります。)

① Trinkst du kein Bier?
– ( ), ich trinke Bier.

ビールは飲まないの?
– 飲みます。

② Spielt Sabrina Klavier?
– ( ), sie spielt Klavier.

サブリナはピアノを弾くの?
– 弾きます。

③ Arbeitest du heute nicht?
– ( ), ich arbeite heute nicht.

今日は仕事休み?
– 今日は休みです。

④ Ist diese Blume teuer?
– ( ), diese Blume ist sehr günstig.

この花は高いですか?
– とても安いです。

⑤ Warst du noch nicht in München?
– ( ), ich war schon da.

ミュンヘンに行ったことないの?
– 行ったことありますよ。

⑥ Isst du kein Gemüse?
– ( ), Gemüse esse ich nicht.

野菜食べないの?
– 食べません。

接続詞としての「doch」

「doch」は接続詞としても使われます。意味は「aber」と同じように「だが、しかし」です。

Er musste heute die Küche putzen, doch er hat nichts gemacht.
彼は今日キッチンの掃除をしなければならなかった、しかし彼は何もしなかった

この場合の「doch」はaberやoderなどの接続詞と同じように並列の接続詞となるため、「doch」のあとの文章の語順は基本的に変わりません。

参考:ドイツ語の接続詞、種類別まとめ

副詞としての「doch」

さらに副詞としても「doch」は話し手の微妙なニュアンスを表す便利な言葉として、よく使われます。

意味は「だが、しかし」「それにもかかわらず」「やっぱり」などと日本語にすると多様です。

①「だが、しかし」

– Ich bin müde, doch muss ich noch meine Hausaufgaben machen.
私はすごく疲れている、宿題をしなくてはいけない。

先ほどの接続詞としてのdochと意味は同じですが、「副詞」なので文の語順が接続詞の時とは違っていることに注意してください◎

②「それにもかかわらず」

– Sie lernt seit einem Jahr Deutsch. Dafür spricht sie doch sehr gut Deutsch
彼女は1年前からドイツ語を勉強している。彼女はそれにしてもとても上手にドイツ語を話す。

③「やはり、やっぱり」

– Du hast doch Recht.
やはり君は正しいよ。

– Wien ist doch eine schöne Stadt, obwohl es regnet.
雨が降っているが、それでもやはりウィーンは美しい街だ。

上記の例文はいずれも「doch」を使わなくても表現することができます。

しかし、「doch」を使うことによって、話し手が強調したい部分をより際立たせることができるようになります。

④確認をあらわす表現

A: Ich mache eine Pause.
B: Aber wir müssen doch diese Aufgabe bis morgen erledigen. Wie kannst du jetzt eine Pause machen?

A: 私、休憩するね。
B: でもわたしたちはこの課題を明日までに終わらせなきゃいけないんだよね? よくも今休もうなんてできるよね。

⑤願望を表す表現

– Wenn ich doch fliegen könnte!
(空を飛ぶことができたらなあ!

「doch」を使って願望を表すこともできます。

ただしこの場合、ほぼ実現不可能な、非現実的な願望の表現になります。接続法2式の文の中でよく使われます。

参考:【接続法Ⅱ式】ドイツ語の重要文法をマスターしよう!

⑥命令を表す表現「頼むから、いい加減に」

– Sei doch ruhig!
頼むから静かにしてくれ!

– Pass doch auf!
頼むから気をつけて!

この場合も「doch」はなくても文章として通じるのですが、「doch」をつけることでより「頼むから…してくれ」、「いい加減に・・・してくれ」といったような切実さがニュアンスとして伝わる文章になります。

まとめ

一言に「doch」といっても、意味合いや使い方は本当にたくさんあります。

よく耳を傾けてみると、本当にいろんな場面で「doch」が使われていることに気づくはずです。

「doch」を使うことで話したいことのニュアンスがより伝わりやすくなり、スムーズな会話に近づくことができます。ぜひ使いこなしてみましょう!

練習問題の解答

① Doch
② Ja
③ Nein
④ Nein
⑤ Doch
⑥ Nein

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この記事を書いた人:Haluka

ドイツで奮闘中のフローリストのたまごです:)

編集:komachi(Vollmondドイツ語講師)
内容・表現チェック:nico(Vollmondドイツ語講師)

ドイツ語文法