今回はレッスン中にもよく聞く間違えやすいドイツ語について紹介していくよ!
主に初級〜中級レベルの学習者がつまずきやすいものを取り上げているけれど、全レベルの人に一度目を通してほしい内容だから、ぜひチェックしてみてね。
この記事ではドイツ語学習者がつまずきやすいドイツ語について例文を交えながら解説を加えていきます。
自分では無意識のうちに間違えてしまっている方もたくさんいるので、これを機にぜひ一緒におさらいしましょう!
目次
ドイツ語学習者なら真っ先におさえたい Deutsch という単語。
しかし意外と使い方がややこしいため、発音も混乱してしまう人が多いようです。
一度次の例文を音読して、自分の発音を確認してみましょう。
Ich lerne Deutsch.
私はドイツ語を学んでいる。
さて、この中に「ドイチェ」と発音した方はいませんか?
ですが実際には、「ドイチュ」という発音が正解です。
Deutsch: ドイツ語
Deutsche: ドイツ人
「ドイチェ」と発音してしまうと、「ドイツ人」という意味になってしまうよ。
「ドイツ人」と表現するだけでも少しややこしいのがドイツ語。
Ich bin Deutscher.
私はドイツ人(男性)である。
Ich bin Deutsche.
私はドイツ人(女性)である。
このように女性・男性と性によって語尾が変わる上に、格変化もします。
初心者の方は仕組みについては一旦置いておいて、混乱する前にまずは丸暗記してしまいましょう。
格変化についておさらいしたい人へ:ドイツ語形容詞の格変化まとめと覚え方のコツ
Deutsch は「ドイツ語」という意味ですが、「ドイツ(国)」と言いたい場合にも Deutsch を使ってしまう人もいます。
正しくは Deutschland です。
Ich wohne in Deutschland.
(× Ich wohne in Deutsch.)
ここでも発音に気をつけましょう。「ドイチェラント」ではなく「ドイチュラント」です。
最後の d は濁りませんので、「ド」と発音しないようにしましょう。
Deutschland: ドイツ
「興味深い」という意味を表す形容詞である interessant 。
かなり使う機会の多い単語だと思います。
まずは次の例文を使って自分の発音をチェックしてみましょう。
Ich finde es sehr interessant.
それについてとても興味深く思います。
この時「インテレザント」と発音してしまった方は、ぜひもう一度「インテレサント」と発音しなおしてみましょう。
というのも、ドイツ語の場合 s は一つのとき濁るという発音ルールがありますが、s が二つつながるときは、音は濁らないのです。
interessant: おもしろい
最後に dreißig の発音を確認しましょう。
Sie ist dreißig Jahre alt.
彼女は三十歳だ。
これも「ドライツィヒ」と発音してしまう方が多いのですが、正しくは「ドライスィヒ」です。
他の10の倍数の数詞である zwanzig や vierzig の z の発音につられてしまいがちですが、ここでは ß の発音ですので、しっかりと違いを音にしましょう。
dreißig: 30
まとめ
まずは例題。下の日本語をドイツ語にします。
「私は今日一人の女友達の家に行きます。」
より自然な表現はどちらでしょうか。
家に行く場合って、ハッキリ「家」っていうべき?
「友達」という Freund/in の冠詞として mein を使うと「彼女」という意味合いが出てくるので、特別な意味合いがないときは ein または der などの不定冠詞・冠詞を使うのが普通です。
正解は②の Haus を使っていない方の表現になります。
ドイツ語ではわざわざ家という単語を使わずとも、 zu+3格(人)で「〇〇の家に行く」という自然な表現になります。
Möchtest du heute zu mir kommen?
今日私のとこ来る?
このように、日本語でも「”友達のとこ”行く」など、わざわざ家と言わないこともありますよね。
基本的に Haus という単語を使うのは zu Hause, nach Hause といった表現で「自分(主語)の家」と言いたい時だけです。
これを応用した表現としては、「病院へ行く」が挙げられます。
ドイツ語では「病院へ行く=医者のところへ行く」と表現されます。
Ich gehe heute zum Arzt.
私は今日病院に行きます(お医者さんへ行きます)。
また、「美容院へ行く」も「美容師さんのところへ行く」と表現します。
Ich gehe heute zum Friseur.
私は今日美容院へ行きます。
zu +3格の場合と同様に「〇〇の家で」と言いたい場合に in Haus +2格などとは表現しません。
この場合には bei +3格を使います。下に例文を挙げておきますので、一度確認してみてください。
Ich koche heute bei einer Freundin.
私は今日、女友達の家で料理します。
Bleibst du bei ihm über Nacht?
彼のところに一晩泊まるの?
bei には「〜のそばで」というイメージがあるね。
まとめ
「〜の家へ・〜の家で」を表す場合は zu +3格と bei +3格で十分。
Haus と言わなくてよい。
初級〜中級くらいで登場するのがこの obwohl と trotzdem の二つの単語。
一見意味が似ているのですが、実は使い方には明確な違いがあります。
最初に次の例文を確認しましょう。
Obwohl es sonnig ist, bleiben wir heute zu Hause.
天気は晴れだったにもかかわらず、私たちは今日家で過ごす。
Es ist sonnig, trotzdem bleiben wir heute zu Hause.
天気は晴れだった、それにもかかわらず私たちは今日家で過ごす。
この二つを見比べて気づいたことはありますか?
両方とも「にもかかわらず」という表現なのですが、くっついている文が違いますね。
以下、もう少し詳しく説明して行きます。
obwohl は「〜にもかかわらず」と前提条件を表します。
副文を取る従属接続詞なので、副文をしっかり理解していることが大事です。
参考:絶対間違えない!「副文」の仕組み
obwohl で始まる副文の後に、カンマが打たれ、その後に事象・結果を表す通常の文が続くのが一つのパターンです。
この時、カンマの後に動詞がいきなり続いており、「動詞二番目の法則は?」と疑問に思われた方もいるかもしれません。
この場合、「obwohl …,」までの副文ひとまとまりが、主文中の一つの要素と見なされるため、主文の中では動詞が二番目に来ている、と考えます。
trotzdem を用いる場合には、「それ」を指す理由・出来事が先に語られ、その後に trotzdem を含んだ結果を付け足す文が続きます。
文法的なことを置いておけば、意味的には aber(しかし)に近いです。
この時 trotzdem は、文法的には接続詞というよりは副詞です。
つまり、先ほどの obwohl と違い、文頭に必ず置かなければならないわけではありませんし、副文ではなく、動詞が二番目に置かれる普通の文構造を用います。
Es ist sonnig, wir bleiben heute zu Hause trotzdem.
でも文法的には問題ありません。
違いを頭で理解したら、口に出していっぱい練習するしかないね!
まとめ
obwohl は「前提条件」、 trotzdem は「結果」を表す文に置かれる。
前者の場合には副文、後者の場合には普通の文構造を用いる。
次に解説をするのは、一般的に未来形と呼ばれている werden です。
しかし werden の用法は、一般的にイメージされている「未来形の用法」とはズレが大きいというのが正直なところです。
以下、説明していきます。
未来形とは、 werden +動詞の原形で表現できます。
この時、動詞の原形は必ず文末に来ます。
例文を用意しましたので、確認してみてください。
Es wird morgen sonnig sein.
明日は晴れるでしょう。
確かにこの文では「明日の天気」と未来について言及しています。
しかし、ただ未来のことをドイツ語で言いたい場合、実は現在形で表しても十分なのです。
どういうことなのか、さらに詳しくみてみましょう。
では、次の二つの例文を比べてみましょう。
ドイツ語の場合、単に未来のことを表したい場合は、①の文のように、現在形に加えて、未来の時を表す副詞(morgen, nächste Woche)などを組み合わせて表すので十分で、むしろスタンダードに使われる表現となります。
日本語でも未来の予定に対して一々「〜だろう」など言わないことと同じです。
では werden を組み合わせる意味とは一体なんなのでしょうか。
②の文の訳を見ると、未来というよりも話し手の推量の意図が強く押し出ているのが分かります。
このように、 werden が加わる場合、推量、意志など、他のニュアンスが隠れている場合が多いです。
これを使うと、話し手の意図をより豊かに伝えることができるね。
では、次の例文でニュアンスの違いを感じられるかをいま一度チェックしましょう。
前者は「私は来年の夏にドイツへ行きます」で、ただ未来の予定を表したいのならこちらで十分です。
後者だと「推量」や「意志」のニュアンスが加わりますので「私は来年の夏にドイツに行くだろう」または「私は来年の夏にドイツへ行くのだ」と訳せるでしょう。
werden には大きく3つの用法があるとされています。
①推量、②意志、③命令の3つです。
その中でも今回は、使われる頻度の高い①②について取り上げます。
まずは推量の werden について説明します。
会話ではもちろんですが、こちらはニュース・新聞・本などでも多出する表現ですので、ぜひ押さえていただきたいポイントです。
この werden は話し手の推量を表すのですが、実は未来のことだけでなく、今のことでも使えます。
例えば、
Sie wird jetzt zu Hause arbeiten.
彼女は今自宅で仕事をしているだろう。
このように、自分にとって不確かなことを推量する表現ですから、ich(話し手)が主語に来ることはほとんどなく、モノ・事象・第三者が主語に来ることが大多数です。
意志の werden は話し手の断定的・確固たる意志を表します。
また話し手の意志を表すため、主語としては ich または wir が使われることが大半で、会話や演説などでよく使われる表現になりますので、要チェックです。
しかしこの用法はかなり日本語に訳しにくいニュアンスですので、できるだけ丁寧に解説を加えていきます。
Ich werde nächstes Jahr in Deutschland Jura studieren.
私は来年ドイツで法学を勉強します。
例えば上のように表現した場合、「入学手続きなどを終え、することは確実に決まっている状態なのだろう」と聞こえます。
このように、少なくとも話し手としては「100%確実に起こる・行う」という確信があるけれども、例えば外部的要因や状況次第で変わる可能性がある(と本人も考えている)ことを表すときに使われる傾向にあります。
このような意志の werden を表す場合、「〜つもり」と訳されることが多いです。
間違いではないのですが、これだと本来の意味よりも幅広いニュアンスを表してしまうことにもなります。
意志の werden は「〜なのだ」という中でも特に強い確信を持った意志を表すことに注意しましょう。
まとめ
未来のことを表したいときは基本的には現在形で十分。
未来形の werden は未来を表すために用いられるのではなく、話し手の推量・意志を表すために用いられる。
今回は様々なよく見られる間違いについてまとめました。
もう一度要点をおさらいしましょう。
覚えよう!
発音編:
文法編:
ここで新たな間違いを見つけられた人はラッキーです。
言語学習において間違うことは全く悪いことではありません。
これから日々意識して直すように気をつけるチャンスを得たと思いましょう。
また「全部正しく使えていた!」という方は、他の方にも「なぜ?」を説明できるほどマスターして頂けたらいいなと思います。
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執筆:komachi(Vollmondドイツ語講師)
執筆協力:Aozumi
編集:kosuzu(Vollmondドイツ語講師)
内容・表現チェック:nico(Vollmondドイツ語講師)