【接続法Ⅱ式】ドイツ語の重要文法をマスターしよう!

目次
接続法って何?いつ使うの?
はじめに接続法(Konjunktiv)とは何か、どのような場面で使うのかを説明します。接続法は、直接法や命令法とならぶ、動詞の語形変化体系の一つです。接続法の基本形は2種類あり、不定詞語幹から作られるものを接続法Ⅰ式、過去基本型から作られるものを接続法Ⅱ式と呼びます。
今回は日常で見聞きすることが多い「接続法Ⅱ式(Konjunktiv Ⅱ)」に焦点を当てて解説をしていきます!
接続法Ⅱ式は非現実を表現します。「もし〜だったら、〜なのになあ」といったような非現実を想定する仮定的な意味合いになります。さらに日常では婉曲(より丁寧にものを言う)的に使われることが多いです。
- 非現実(例:もし1億円あったら…)
- 婉曲(例:君がパーティーに来てくれたら嬉しいなあ)
接続法Ⅱ式は先ほども述べたように、過去基本形から作られます。ルールを覚えてしまえばそこまで難しくはありませんが、慣れるまでは複雑ですよね。
しかし接続法Ⅱ式で使われる動詞はほぼ4つに限られているんです!それさえ抑えておけば、会話もスムーズになります!今回はその動詞と活用形も紹介します^^
接続法Ⅱ式の動詞の活用形
作り方
はじめに、接続法Ⅱ式はどのようにつくるのかを説明します。
① 規則動詞は過去基本形をそのまま用います。
例) kaufen → kaufte (過去形かつ接続法Ⅱ式)
② 強変化動詞は過去基本形に接続法語尾-e を付けます。過去基本形の幹母音(語幹のなかにある母音)がa,o,u の時はウムラウトになります。
例)
原形 | 過去形 | 接続法Ⅱ式 |
gehen | ging | ginge |
sehen | sah | sähe |
③ 混合変化動詞は過去基本形の幹母音がウムラウトになります。ただし、kennen型の動詞では幹母音aがeに変化します。
例)
原形 | 過去形 | 接続法Ⅱ式 |
bringen | brachte | brächte |
wissen | wusste | wüsste |
kennen | kannte | kennte |
wenden | wandte | wendete |
brennen | brannte | brennte |
重要!必ず覚える4つの動詞
説明を聞くと少しややこしいですね。しかし実際、接続法Ⅱ式で使われる動詞はほぼ次のものに限られています!なので次の動詞は絶対覚えておくようにしましょう^^
- wäre (sein)
- hätte (haben)
- würde (werden)
- 助動詞
「えっじゃあ普通の動詞(kaufen, kommen..)を言いたい時はどうするの!?」となった方もいるのではないでしょうか。
そういうときは接続法Ⅱ式自体には werden または助動詞を使い、動詞の原形を文末に置くことがほとんどです。詳しくは下で説明しています。
人称変化活用
seinの接続法Ⅱ式
ich | wäre | wir | wären |
du | wär(e)st | ihr | wär(e)t |
er/sie | wäre | Sie | wären |
habenの接続法Ⅱ式
ich | hätte | wir | hätten |
du | hättest | ihr | hättet |
er/sie | hätte | Sie | hätten |
werdenの接続法Ⅱ式
ich | würde | wir | würden |
du | würdest | ihr | würdet |
er/sie | würde | Sie | würden |
注意:ichとer/sieの活用は同じ(=接続法Ⅱ式基本形)
各助動詞に関しては接続法Ⅱ式基本形のみ書いておくので、ぜひ自分で表を書いてみてくださいね◎
原形 | 接続法Ⅱ式 |
können | könnte |
dürfen | dürfte |
müssen | müsste |
wollen | wollte |
sollen | sollte |
mögen | möchte |
※möchtenは厳密にいうとmögenの接続法Ⅱ式なので、過去形もそれに伴う接続法Ⅱ式もありません。
使い方① 非現実
接続法Ⅱ式の活用形がわかったところで、次は基本的な使い方の解説をしていきます。
この日本語をドイツ語に訳すと、
のようになります。
基本的な形は、「Wenn + 主語 + 目的語 + 接続法Ⅱ式, 接続法Ⅱ式 + 主語 +目的語 + 動詞の不定形」で、日本語では「もし〜だったら、〜なのになあ」という訳になります。英語のif 構文にあたります。
注意して欲しいのが、「もし〜だったら」と言いたいときは wenn を使うということです。
wenn は副文を取る従属接続詞でしたね。なのでwenn副文が①となり、後半の文章(主文)のはじめに接続法Ⅱ式がきます。※主文と副文は逆でも大丈夫です。
(参考)絶対間違えない!「副文」の仕組み
練習問題
少し複雑な構造かもしれませんが、何回も練習すれば慣れます^^
下の例文を参考にしながら、自分でも文章を作ってみましょう!
もしこの本が興味深いのであれば、僕はこれを読むのになあ。
- Wenn das Buch interessant wäre, läse ich es.
- Wenn das Buch interessant wäre, würde ich es lesen.
*lesen→las(過去形)→läse(接続法Ⅱ式)
*①と②のどちらでも合っていますが、①は書き言葉で使われることが多いです。口語では基本的に②のような表現をします。
押さえよう!sein, haben以外の動詞を接続法Ⅱ式を使って現在時制で表現したい場合、基本的にはwürdeまたは助動詞(könnte, sollte, müsste..)+文末に動詞の原形を使う
Wenn ich Flügel hätte, würde ich sofort zu dir fliegen.
もし翼があれば、すぐに君のもとに飛んでいくのに。
Wenn der Weg zum Bahnhof nicht so weit wäre, könnten wir zu Fuß gehen.
もし駅までの道がそんなに遠くなければ、私達は歩いて行けるのになあ。
時制を過去に
過去時制を表現する際は、現在完了形を思い出しましょう。haben/sein+過去分詞でしたよね。としたら、そのhaben/sein部分を接続法Ⅱ式に変えてあげるといいですね!
Wenn ich vor 5 Jahren viel Geld gehabt hätte, hätte ich ein teures Auto gekauft.
もし5年前にお金をたくさん持っていたら、高い車を買えたのになあ。
Wenn ich damals viel Zeit gehabt hätte, wäre ich ins Kino gegangen.
もし当時時間がたくさんあったら、映画館に行ったのになあ。
使い方② 婉曲表現
使い方①では非現実の仮定的な意味を説明しましたが、接続法Ⅱ式には婉曲の意味もあります。レストランでの会話や人にお願いする際など、より丁寧に表現したい時によく使われます。例文を見ながら確認してみましょう!
- ひとつ提案があります。
Ich habe einen Vorschlag. - ひとつ提案があるのですが。
Ich hätte einen Vorschlag.
- 窓を閉めてもいいですか?
Darf ich das Fenster zumachen? - 窓を閉めてもよろしいでしょうか?
Dürfte ich das Fenster zumachen?
- 手伝ってくれませんか?
Können Sie mir helfen? - よければ手伝ってくださいませんか?
Könnten Sie mir helfen? - もしよろしければ手伝ってくださいませんか?
Könnten Sie mir vielleicht helfen?
*接続法Ⅱ式を使って頼みごとをする場合、vielleicht/malを一緒に使うとより丁寧なニュアンスになります。
覚えておきたい定番フレーズ
接続法Ⅱ式を使った定番フレーズもあります。
hätte gern…:〜がほしい/ください
Ich hätte gern einen Apfelsaft.
リンゴジュースください。
würde gern …. 動詞の原形:〜したいのですが
Ich würde gern mit Ihnen sprechen.
あなたとお話ししたいのですが
Ich möchte … でも、「〜がほしい/したい」と表現することはできますが、habenやwerdenの接続法Ⅱを使った方がより丁寧なので、親しい間柄でない場合はこちらを使うよう心がけるといいかも^^
使い方③ 後悔・非難
hätte… + 本動詞 + 話法の助動詞(sollen/können/müssen/mögen)で「〜すべきだったのに」「〜できたのに」「〜しなければいけなかったのに」「〜したかったのに」と後悔・非難を表現することもできます。
Wir hätten früher unsere Reise planen sollen.(後悔)
もっと早く旅行の計画をするべきだったね。
Du hättest das nicht tun sollen. (非難)
君はそれをすべきではなかったよ。
Das hättest du doch schon früher sagen können.(非難)
それもう少し早く言えたんじゃない?
まとめ
接続法Ⅱ式についての理解は深まったでしょうか。最後に意味をまとめてみましょう!
非現実:もし〜だったら、〜なのになあ。
婉曲:より丁寧な表現
後悔・非難:〜すべきだったのに。
いきなり接続法Ⅱ式を作ってと言われると、慣れるまで少し複雑かもしれません。
しかし実際に使われるのは紹介した4つの動詞にほぼ限られるので、まずはそちらをマスターしましょう!
一緒にドイツ語高めていきましょう♪
内容・表現チェック:nico(Vollmondドイツ語講師)