ドイツ語「副文」とは?語順の仕組みを分かりやすく解説


ドイツ語の「副文」ってなんだと思う?

「動詞を最後に置く文」だよね?

実はそう覚えていると案外つまずきやすいんだ。今回はすぐに副文の仕組みがわかる覚え方をレクチャーするよ!
副文は「動詞を最後に置く文」と考えられがちですが、実はこれだと混乱してしまうケースが多いです。
この記事ではドイツ語講師の私が普段から教えている副文の仕組みを、例文を交えながら分かりやすく紹介します。
目次
副文とは?
主文と副文の見分け方
まずは例文を確認しましょう。
Ich denke, dass japanisches Essen lecker ist.
私は、日本食は美味しいと思う。
*dass :〜ということ(従属接続詞)
この例文の中だと、dass 〜 ist までが副文(Nebensatz)です。
その前の部分 Ich denke, は主文(Hauptsatz)と呼びます。
主文と副文の見分け方は簡単です。
従属接続詞が入っている文は副文、入っていない文は主文です。
上の例だと dass は従属接続詞なので、その後に続いている dass 〜 ist までは副文です。
Ich denke, 内には何も従属接続詞が入っていないので主文と考えることができます。
覚えよう!
従属接続詞=副文を取る接続詞
もしくは、主文=メインの文 / 副文=サブの文として「何をメインで言いたいのか」から考えることもおすすめです。
例えば上の例だと、
「私は、日本食は美味しいと思う。」でメインとなっているのは「私は思う: Ich denke, 」ですよね!
数ある従属接続詞の中でも特に重要なものを以下まとめています。
まずはこれを覚えてしまいましょう!

ドイツ語の接続詞の種類についてもっと知りたい方はこちらの記事がおすすめです▼
絶対間違えない!副文の「仕組み」
ここで、副文の仕組みを紹介します。
この記事を読み終えるまでに、必ずマスターしてほしい大事なポイントです。
覚えよう!
副文=普通の文(=平叙文)で二番目にきている動詞がそのまま文末に移動している文
一体どういうことなのか、例文を使って確認していきましょう。
まず、上の例文中の副文を、平叙文(=普通の文)で表してみます。
Japanisches Essen ist lecker.
日本食は美味しい。
これが副文になると、下のようになります。
(, dass) japanisches Essen lecker ist.
このように、平叙文では二番目に来ていた動詞 ist が文末に移動しているのが分かります。
「二番目に動詞を置く」がドイツ語において最も重要といっても過言ではない文法ルールでしたよね!副文になるとこの動詞がそのまま一番後ろに移動します。他の要素についての変化はないことも注意です。
もう一つの例文でも確認してみましょう。
Ich weiß nicht, ob er heute kommt.
彼が今日来るのかどうか、私は知らない。
*ob:〜かどうか(従属接続詞)
ここではob 以下が副文となります。
この副文を、平叙文で表してみましょう。
Er kommt heute.
彼は今日来る。
これを副文にすると、下のようになります。
(, ob) er heute kommt.
ここでもやはり普通の文で二番目に来るべき動詞が最後にきていることが分かりますね。
大前提として普通の文をしっかり作れることがとても大事です。
喋っている時はともかく、書いて副文の練習をしている時に、自分の答えが全然合わないということであれば、平叙文がしっかり作れているかどうか、一度立ち返ってみてください。
平叙文(基本)をマスターすれば、副文も簡単に作れるようになります!(だってそれを文末にそのまま移動させるだけです◎)
疑問文の場合
主文が疑問文になることも出てくるかと思いますが、副文の語順には影響を及ぼしません。
Weißt du, ob er heute kommt?
彼が今日来るのかどうか、知ってる?
Weißt du, …? が主文なので、最後には「?」がついていることに注意してください。
現在完了形を用いる場合
時制が過去の場合、ドイツ語では過去形の他に現在完了形を用いることができるのでしたね。
完了形を用いた副文を確認してみましょう。
完了形の復習にはこちら▼
Ich weiß, dass du gestern Deutsch gelernt hast.
君が昨日ドイツ語を勉強したことを、私は知っているよ。
ここでも dass 以下が副文となっています。
これを平叙文に直してみます。
Du hast gestern Deutsch gelernt.
君は昨日ドイツ語を勉強した。
二番目は hast ですね。
副文の作り方に則ると、これが文末に来ますので、以下のようになります。
(, dass) du Deutsch gelernt hast.
副文=動詞が最後にくる、という覚え方によりよく起こる間違いは dass du Deutsch hast gelernt などです。
gelernt を動詞だと思っている人がほとんどのため最後に置いてしまいます。
副文=二番目が最後にくる、という覚え方だとこの間違いがぐんと減ります!
助動詞を用いる場合
今度は助動詞を用いて副文を作ってみましょう。
助動詞の復習にはこちら▼
Ich denke, dass er nach Berlin fahren möchte.
彼はベルリンに行きたいんだと、私は思う。
dass 以下の副文を平叙文に直します。
Er möchte nach Berlin fahren.
彼はベルリンに行きたい。
いつも通り二番目にくる動詞 möchte を文末に持ってくると、やはり副文になります。
(, dass) er nach Berlin fahren möchte.
このように、助動詞(=möchte)と本動詞(=fahren)が含まれている文や、先ほどの完了形のように、動詞が複数あるように見えるパターンの副文も存在します。
そのため「動詞を最後に置く文」という覚え方をしていると、混乱しやすくなってしまいます。
副文に苦手意識のある人はぜひ、「普通の文なら二番目にきている動詞が最後に移動している文」と覚えましょう。
分離動詞を用いる場合
最後に、分離動詞を確認しましょう。
分離動詞の復習はこちらから▼
Ich weiß nicht, wann sie morgen aufsteht.
彼女が明日いつ起きるのか、私は知りません。
この場合、 wissen の代わりに kennen は使えないことにも注意してください。
後ろに副文を取る場合、必ず wissen がきます。
また、 wann ではなく wenn を用いるのもよくある間違いです。wann は「いつ」、wenn は「〜する場合」と、異なる意味合いを表します。英語の when と似ているので、引きずられないようにしましょう。
(参考)ややこしい!:wannとalsとwennの違いを整理
wann 以下が副文ですから、これを平叙文に直します。
Sie steht morgen auf.
彼女は明日起きる。
aufstehen は分離動詞なので、平叙文の場合、前綴り auf が文末にきています。
副文にする場合には、いつも通り文の二番目にある動詞である steht を文末に移動させます。
(, wann) sie morgen aufsteht.
綴る時には、分離していた前綴りと動詞は一語で書くようにしましょう。
まとめ
この記事では副文の仕組みを例文を交えながら分かりやすく解説しました。
「普通の文なら二番目にきている動詞が最後に移動している文」という原則は、過去形や再帰動詞など、今回紹介できなかった動詞を使う場合など、どんなパターンの副文にも適用することができます。
覚えよう!
- 従属接続詞をとると、副文になる。
- 副文とは普通の文(=平叙文)なら二番目にきている動詞が文末に移動している文である。
- いかなる動詞(過去形・完了形・助動詞・分離動詞etc…)を用いた副文でも、上記の原則は変わらない。
練習問題
最後にいくつか練習問題を用意しておきましたので、ぜひ復習に解いてみてくださいね。
- 何故あなたたちは、彼がそれをやったと思うのですか?:Warum glauben Sie, dass …?
- 今君が言ったことが、私には理解できませんでした。:Ich verstehe nicht, was ….
- 彼は君が昨日私のところへ来たことを知っているよ。:Er weiß, dass ….
- 彼らが彼のことをあまり好きじゃないにしても、パーティには呼ぶべきだった。:Sie sollten ihn zur Party einladen, obwohl ….
- ドアに鍵を本当にかけてきたかどうか、私は確信がない。:Ich bin nicht sicher, ob ….
執筆:komachi(Vollmondドイツ語講師)
執筆協力:Aozumi
内容・表現チェック:nico(Vollmondドイツ語講師)