ドイツ語の受動態は2種類あるって本当?
その通りだよ!
何が違うの??
よし、今日はその違いを勉強しよう!
今回は受動態の文法を徹底解説します!
ドイツ語試験の Schreiben では、この受動態を駆使することによってよりよい文章が書けるようになりますよ^^
大切な文法のひとつなので、じっくりとマスターしていきましょう!
目次
はじめにドイツ語における受動態についてお話します。
受動態はドイツ語で、Passiv といいます。
「△△が(◯◯によって)〜される」といった、受け身の意味を持つ文のことです。
次の例文を見てみましょう。
能動文:Ich esse den Kuchen.
私はこのケーキを食べる。
受動文:Der Kuchen wird gegessen.
このケーキは食べられる。
能動文(受け身ではない普通の文)では、◯◯が主語になり、「◯◯が△△を~する」という意味になります。
これに対し、受動文においては△△が主語になり、「△△が~される」という意味になります。
日本語では大きな違いはないかもしれませんが、ドイツ語には2種類の受動態の形があります。
それが、動作受動(Vorgangspassiv)と状態受動(Zustandspassiv)と呼ばれるものです。
それぞれ詳しく解説していきます!
はじめに動作受動(Vorgangspassiv)について説明します。
動作受動の文は、先程登場した例文のように「~される」という意味を持ちます。
動作受動は werden + 動詞の過去分詞で作ることができます。過去分詞は文末に置かれるので注意してくださいね!
重要
werden + 動詞の過去分詞(文末)で「〜される」という動作受動を表現できる。
受動態にも時制があります。(「〜される」「〜された」というように)
時制は、この werden の形を変化させることによって表現できます。
werden の時制変化をしっかり押さえておく事が大切です^^
ich | werde | wir | werden |
du | wirst | ihr | werdet |
er/es/sie | wird | Sie/sie | werden |
ich | wurde | wir | wurden |
du | wurdest | ihr | wurdet |
er/es/sie | wurde | Sie/sie | wurden |
実際の文章にすると、このようになります。↓
現在形: Der Student wird heute operiert.
過去形: Der Student wurde gestern operiert.
現在形: その学生は今日手術される。
過去形: その学生は昨日手術された
他にも色々な言い方があります。以下は参考までに!
現在完了形: Der Student ist operiert worden.
過去完了形: Der Student war operiert worden.
未来形: Der Student wird operiert werden.
(未来完了形: Der Student wird operiert worden sein.)
どのように受動文を作るのか、改めて例文を見ながら確認していきましょう。
Ich esse den Kuchen.
私はこのケーキを食べる。
この文章は能動文です。
動作受動文を作る場合は、能動文の4格目的語を受動文の主語にします。
Der Kuchen wird gegessen.
このケーキは食べられる。
これが動作受動の基本型になります。
先程の例文でケーキを食べているのは「私」なので、「私によってこのケーキは食べられる」と表現したい場合は(なくても問題はありません)、von +(3格/Dativ=その動作をする・した人物)を入れてください。
Der Kuchen wird von mir gegessen.
このケーキは私によって食べられる。
ポイント
能動態の主語が人(動作主)の場合、受動態では von +(3格/Dativ) 、方法・手段や原因の場合は durch +(4格/Akkusativ)を用いる。
例1) Die Glühbirne wurde von Edison erfunden.
豆電球はエジソンによって発明された。
例2) Mein Vater wird von einem Arzt untersucht.
私の父はお医者さんに診察される。
例3) Der Verkehrsunfall wurde von einem Kind / durch ein Kind verursacht.
この交通事故は一人の子どもが原因で発生した。
例4) Die Tür wurde plötzlich durch den Wind geöffnet.
そのドアは風によって突然開いた。
先程も述べたように、受動文では「私によって」という内容を言わなくても問題ありません。
なぜかというと、受動態は「(誰/何)によって」かが重要ではないまたは明らかではない場合に使われることが多いためです。
詳しくは目次「受動態にする時、しない時」をご覧ください。
次に、状態受動について説明します。
状態受動とは、「〜された状態にある」という結果の状態を強調する受け身表現です。
状態受動文を作る時は、sein + 動詞の過去分詞 を使います。
「〜された状態にあった」と過去の状態を表したい場合は sein を過去形に変化させましょう。
また、過去分詞は動作受動の時と変わらず文末に置きましょう。
動作受動との違いがはっきりわからない、という方もいると思います。例文で確認していきましょう!
① Die Tür wird geschlossen.
ドアは閉められる。
② Die Tür wurde geschlossen.
ドアは閉められた。
③ Die Tür ist geschlossen.
ドアは閉められている状態だ。(→閉まっている)
④ Die Tür war geschlossen.
ドアは閉められている状態だった。(→閉まっていた)
上の文は「ドアが閉められる(ドアは閉まっている途中)」という動作にフォーカスを当てていますが、下の文では「ドアは(既に)閉められている状態にある」という今の状態にフォーカスを当てています。
この2つの受動態の違いは、何に焦点を当てているのか、ということです^^
重要
sein + 過去分詞で「〜された状態にある」という状態受動を表現できる。
上の例文①と②は動作受動の現在形と過去形、③と④は状態受動の現在形と過去形です。
それぞれ微妙な違いがあります。
① Die Tür wird geschlossen.
ドアは閉められる。
② Die Tür wurde geschlossen.
ドアは閉められた。
① は今まさにドアが閉められている途中です。
② は過去に誰かによってドアが閉められました。(おそらく今も閉まっているかも。)
③ Die Tür ist geschlossen.
ドアは閉められている状態だ。(→閉まっている)
④ Die Tür war geschlossen.
ドアは閉められている状態だった。(→閉まっていた)
③ はドアは現在閉まっている状態です。
④ は過去にドアは閉まっていました。(現在は再び開いているかもしれません。)
状態受動はなかなか理解しにくい文法の一つです。
だからといってあやふやにせず、積極的に問題に取り組む等してみて下さいね◎
いくつか状態受動の例文をあげておきます。
Das Fahrrad ist schon repariert.
自転車はすでに修理されてある(状態である)。
Das Fenster ist schön geputzt.
窓は綺麗に磨かれてある(状態である)。
Die Bücher sind mit Staub bedeckt.
本はホコリで覆われている(状態である)。
Der Mann ist schwer verletzt.
その男性は重傷を負っている(状態である)。
(〜状態であった)という過去を表す場合は、sein を変化させましょう。(上記例④参照)
次の文を受動文に書き換えてみてください。
① Ich übersetzte den Brief ins Englische.
私はこの手紙を英語に翻訳した。
② Wir laden unsere Freunde zum Essen ein.
私たちは友人達を食事に招待する。
ポイントは、何を主語にするか、です。
4格目的語にあたる、「この手紙」と「友人達」を主語にして文章を作ってみましょう!
受動文にするとこのようになります。
① Der Brief wurde (von mir) ins Englische übersetzt.
この手紙は(私によって)英語に翻訳された。
※werdenの時制、動詞を過去分詞にすることに注意してください。
② Unsere Freunde werden (von uns) zum Essen eingeladen.
友人達は(私たちに)食事に招待される。
ここで受動態における注意点についてまとめてみます。
時制に注意すると書きましたが、werden を wurde に変えることによって受動態の過去形を表現できます。
その他の単語が(受動態の現在形の場合と)変わる事はないので、過去形や現在完了形で受動文を書きたい場合は werden を変化させるということを頭に入れておきましょう^^
そしてもう一つ、ドイツ語の受動態においては「『誰が』その行為をするか・したか」という動作主の情報はさほど重要ではないということも頭に入れておいて下さいね。
実は日本語に受動文って多いんです!
例えば「昨日彼氏に言われたんだけど…」。これを文法を意識しながら書くと「私は昨日彼氏によって言われました」となり、実は受動文になっています。
しかし、これをドイツ語で言うときは受動態は使わず Mein Freund hat mir gestern gesagt. … と能動文で表現する方が自然です。日本語に訳すと「彼氏は昨日私に言いました」。これは逆に日本語では少し不自然に聞こえるでしょうか?
ではどういった時に受動態を使うのかと言うと、「(誰/何)によって」かが重要ではないまたは明らかではない場合です。
例えば、財布を盗まれた時。
誰に盗まれたか分からない=主語が分からない場合が多い、または「誰が」盗んだかよりも「私の財布が『盗まれた』」ことの方が伝えたい内容として重要な場合が多いのではないでしょうか(^^)
この違いを理解しておくだけで、スピーキングやライティングがぐっと楽しくなります。頭の片隅に入れておいてください◎
受動態は覚えるべきルールがたくさんあって、マスターしたと思っても何度も繰り返し学習するべき文法だと思います。インターネットにもたくさんの練習問題が掲載されているので積極的に取り組んでいきましょう^^
まとめ
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ドイツ語文法は複雑に感じますが、練習あるのみ!
たくさん声に出して、たくさん間違えて、できるようになっていきます♩
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この記事を書いた人: Kaori
大学でドイツ語文学部(Germanistik)を専攻、卒業後ドイツで1年間語学留学しました。私もまだまだドイツ語を勉強中ですが、少しでもお役に立てれば嬉しいです。
一緒にドイツ語を高めていきましょう♪
編集: komachi (Vollmondドイツ語講師)
内容・表現チェック: nico (Vollmondドイツ語講師)