ドイツ語の資格試験を受けようと思っているんだけど、どの試験がいいかなあ?
実はそれぞれに特徴や違いがあるんだよ。それを知れば、自分に合った試験が分かるようになるよ!
Hallo! ドイツ語講師のkomachiです。
この記事では、代表的なドイツ語検定試験を合計6つ紹介します。
それぞれの試験について、公式サンプル問題のダウンロード先も記載しています。受験を考えている方は、ぜひまずはじめに力試しに解いてみてください。
レベル・難易度の把握と出題形式の確認、向き不向きの参考になります♩
目次
ドイツ語の検定試験には様々な試験がありますが、今日紹介する代表的なものは以下の6つです。
ゲーテ試験, 独検, ÖSD, telc, TestDaF, DSH
それぞれに、内容の違いはもちろん、どの国で通用するかやどの機関が作っているか、どういう人を対象としているか、などといった特徴があります。
だけど私たち日本人が「日本語能力試験(JLPT)」と言われてもいまいちピンとこないように、必ずしもネイティブスピーカーが知っているわけではないよ。
試験を受けるメリットは大きく2つあります。
試験受験は、自分自身のドイツ語に自信がもちたい方やモチベーションキープが苦手な方におすすめです。
「勉強したいのになかなか手をつけられない」という方は、自分自身をあえて追い込む手段としても効果的です。
逆にデメリットもあります。
良くも悪くも合格・不合格をはっきり突きつけられるのが試験です。
がんばればがんばるほど、不合格だととても落ち込みます。逆にその分、合格だととても嬉しいですが・・!
ドイツ語レベルの目安一覧表はこちらです。
CEFR基準の試験に比べて独検の方が易しいと感じる方が多いです。
試験を通過点にしながらレベルアップしていきたい方は、以下の順番で受験していくと難易度的にバランスがいいかと思います。
5級 → 4級 → A1 → 3級 → A2 → 2級 → B1 → 準1級 → B2 → 1級 → C1
各試験の詳細はこれから紹介していくので、ぜひ参考にしてください◎
試験に合格する要素は大きく3つあります。上から大切な順です。
「運なんて関係あるの?」と思う方も多いかもしれませんが、私は当日のコンディションは多かれ少なかれ影響を与えると思っています。
ただそんな「運」に左右されないおすすめの方法があります。
それは、①実力 をしっかり付けた上で ②試験対策 をしっかり行って試験本番に臨むことです。
①②をできる限り高めて挑むと、運の影響を受けづらいというわけです◎
特に①実力は1番大切です。
そもそもの実力がないと、試験対策をいくらしても合格は難しいです。
時々見聞きする勘違いが、「B1試験に合格するためにはB1試験対策をしたらいい」のような考えです。
B1試験に合格するためには、まずはA1〜B1レベルの内容を把握できている必要があります。
その上でB1試験対策を行なって、本番で無事にB1レベルの実力を発揮できると、合格できます。
ではどのくらい勉強したらそのレベルの実力がつくのかという話になりますが、Vollmondで出している大体の平均は以下の通りです。
※言語の習得スピードは個人差がありますので、あくまでも目安として考えてください。
もっと詳しく知りたい方はこちら▼
またこの逆で、仮に①実力があっても、②試験対策をしていなければ合格は難しいことが多いのもまた事実です。
試験の形式に慣れておくと、合格確率がぐんと高まります。
試験対策のための勉強期間は、2ヶ月以上取ることを推奨しています。
例えば8月の試験で合格したいのであれば、5月末までにはそのレベルの内容を終わらせて、6・7月で試験対策を行うのが理想です。
1回で合格できない場合もあるから、スケジュールには余裕をもってドイツ語学習を開始してね!
それでは各試験についてもう少し詳しく見ていきましょう!
はじめにお話しするのは、ゲーテ・ドイツ語検定試験(Goethe Zertifikat)です。
これから紹介する独検と同様に日本でも受けられる試験で、ドイツ語検定試験の中では国際的に1番知名度があります。
Vollmondの試験対策レッスンでも、ゲーテ試験対策をされる方が1番多いです。
「ゲーテ」というのはここでは世界的に有名なドイツ語教育・文化機関のゲーテ・インスティトゥート(Goethe Institut)を指します。
ゲーテ・インスティトゥートが主催している試験を「ゲーテ試験」と言います。
ゲーテ試験を受ける会場は基本的にゲーテ・インスティトゥート内です。
日本では、
のどちらかで受験することができます。
東京または大阪近郊にお住まいの方は受験しやすく、おすすめです。
海外にお住まいの方は、近くにゲーテ・インスティトゥートがあるかどうかぜひ確認してみてください。
実施回数は会場やレベルによって異なります。
日本での傾向としては、大阪よりも東京の方が頻繁に試験が行われており、レベルがA1に近いほど(おそらく受験希望者が多いため)実施回数が多いです。
▼日本会場での詳しい試験日程はこちらの記事で紹介しています。
ゲーテ試験で評価されるのは、読む・聞く・書く・話すの4技能です。
ドイツ語だと Lesen, Hören, Schreiben, Sprechen と言います。
レベルはA1・A2・B1・B2・C1・C2とありますが、全てのレベルでこの4技能が評価されます。
1番初めのA1レベルでもしっかり自己紹介をしたり、パートナーと短い会話を行うことが求められます。
日本の試験は読解がメインなことが多いので、特にスピーキングとライティングは苦戦される方が多いです。
レベルによって合格基準が異なりますが、基本的には全ての力において60%以上の得点率で合格と認定されるレベルが多いです。
ゲーテ試験の特徴は、ずばり国際的に通用するということです!
世界中にあるドイツ語試験の中で1番知名度があり、知っている方が多いです。
例えばドイツの大学に入学する際の語学証明書として使うことができたり、Goethe Institut自体がドイツ人でも知っている人も多い有名な機関です。
ドイツ語圏でも通用する資格証明が必要な人におすすめです。
また日本でも受けやすい試験なので、趣味として受験する人も多いです。
Vollmondでは試験対策レッスンも行なっていますが、独検と並んで(またはそれ以上に)受験者が多いのがこのゲーテ試験です。
A1からC1まで過去にはたくさんの生徒さんが合格されています。
C2に合格している講師もいます♩
色々なレベルの合格体験記をVollmondでは紹介していますので、気になる方はぜひ見てみてください。
このあと紹介する試験は全て国際的な試験ですが、それらの中で日本人のドイツ語学習者が最も受ける試験と言えます。
気になった方は、こちらからサンプル問題をチェックしてみてください。
受験したいレベルを選択→ページ下にある準備「練習問題」をクリック、で見ることができます。
独検は日本で1番有名な試験です。
英語だと英検、ドイツ語だと独検、フランス語だと仏検、語学に興味がなくてもなんとなく聞いたことがある方が多いです。
独検は、ゲーテ検定と並び日本で受けやすい試験です。
夏試験と冬試験の年2回、全国約25箇所で開催されています。
独検には、5〜2級、準1級、1級までの6つのレベルがあります。
5級が最も易しく、1級が最も難しいです。
全ての級において筆記試験と聞き取り試験があり、口頭試験は準1級、1級のみです。
2級までは口頭試験がないのは安心しますよね!
またリスニング音声も、他の試験に比べて比較的易しい(はっきり・ゆっくり)です。
日本ではドイツ語に日常的に触れる機会を作ることが難しいことが反映されているように思います。
ただし文法力・読解力・語彙力はしっかり求められる試験です。
独検は、ドイツ語学習者が最初に挑戦する試験として向いています。
問題文が日本語であり、受験料がそれほど高くないからです。
問題文が日本語になっていると気持ちのハードルが低くなりやすく、落ち着いて試験にのぞみやすいですよね。
受験料は他の4つの試験と比べて、それほど高くないのもいいですね。
例えば5級は 4,500円、1級でも13,500円で受けることができます。
ちなみにこの後紹介するゲーテ・ドイツ語検定試験の一般受験者の受験料は、A1で13,000円、C2では34,500円です。
独検について詳しく知りたい方は、Vollmondに掲載している合格体験記やテスト対策の記事をぜひ参考にしてください。
サンプル問題はこちらからダウンロードできます。
筆記試験・聞き取り試験ともに、どの級も無料サンプル問題が用意されています。
ただし口頭試験の無料サンプル問題は残念ながらありません。
公式過去問題集もあるので実際に受験することになったらこちらを購入するのが効率的です!
日本語の正式名称は「オーストリア政府公認ドイツ語能力検定試験」です。
その名の通り、オーストリア政府が運営するドイツ語検定試験です。
ゲーテ試験と同じく国際的な試験で、オーストリアではもちろん、ドイツでも通用します。
日本での知名度はあまり高いとは言えませんが、日本でも受験することができます。
ÖSDもレベルはA1からC2まであります。
試されるのはコミュニケーションを主体としたドイツ語運用能力で、具体的な試験科目は、話す・聞く・書く・読むの4つです。
サンプル問題は、レベルごと、また技能ごと(筆記試験と口頭試験)に分かれています。
公式HPはドイツ語か英語のみとなっていますが、以下のリンクからチェックしてみてください!
解いてみたいレベルをクリックしたら、画面をスクロールしてください。
見出し「Prüfungsmodule」の「Schriftliche Prüfung(筆記試験)」「Mündliche Prüfung(口頭試験)」から模擬問題(Modellsatz)をダウンロードすることができます。
4つめに紹介するのは、telc試験です。
ドイツ発祥の試験で、ドイツにおいてはゲーテ試験の次に有名です。
「The European Language Certificates」の略で、ドイツの市民学校であるVHS(Volkshochschule)の子会社が運営しています。
実はドイツ語だけでなく、英語、フランス語、スペイン語などといった他の試験も作っています。
先ほども述べた通り、telcはVHSの子会社が運営しているため、地元のVHSなど自分の住んでいる地域で受験することができます!
ゲーテ試験はゲーテインスティテュートがある都市でしか受けられないのに対して、ドイツ語圏に住んでいれば近くで受験できるという利便性がtelcのメリットだと言えます。
試験内容はゲーテやÖSDと同じく話す・聞く・書く・読むの4科目で構成されています。
レベルはA1からC2まであります。
試験のサンプル問題を以下ホームページからダウンロードすることができます。
自分の対象レベルを選択 → Übungsmaterial へ(ちょっと分かりにくいので注意してください)
こちらの体験記も参考になれば幸いです▼
ドイツ語圏発祥の試験です。
ドイツ語学習者以外には知名度が低いですが、語学力証明のためにドイツ語圏でも多くの人が受験しています。
ちなみに DaF というのは Deutsch als Fremdsprache(外国語としてのドイツ語)の略だよ
受験日は全世界共通で年6回設定されており、日本でも回数は少ないですが受けることができます。
日程の詳細はHPより「Testzentrum finden」→「weltweit」→「JAPAN」と期間を選択して確認することができます。
試験内容はゲーテやÖSDと同じく話す・聞く・書く・読むの4科目で構成されています。
これまでの試験と違うのは、受験レベルを事前に選択することはなく、試験レベル自体は1つのみであるところです。
試験で取れた点数に応じて、TestDaF資格レベル「TestDaF-Niveau (TDN) 3, 4, 5」を取得することができます
TDN3はB2レベル、TDN4はB2〜C1レベル、TDN5はC1レベルに相当します。
Test DaFは、熟練したドイツ語レベルの検定試験です。
話す・聞く・書く・読むの4技能が試されます。
A1やB2などといったレベルではなく、この試験はB2からC1レベルをカバーしています。
ドイツの高等教育機関のほぼ全ての学科や課程への入学に必要な語学力の証明になるため、ドイツの大学に正規入学したい人におすすめです(もちろんDaFではなく他の資格試験のC1でも大丈夫なことがほとんどです)。
ただし、音楽大学など専門大学の場合はDaFレベル(B2-C1)ではなくA2やB1など、各大学によって語学基準が違うので、必ず1度自分の志願校について確認しましょう!
ページ真ん中「Beispielaufgaben(サンプル問題)」をクリックしてください。
ページ真ん中「TestDaF-Modelltests(模擬テスト)」をクリックしてください。
最後に紹介するのは、DSH(Deutsche Sprachprüfung für den Hochschulzugang)と呼ばれる試験で、日本語に訳すと「大学入学のためのドイツ語試験」という意味になります。
これまでに紹介してきた語学試験と違い、DSHは民間の会社や団体ではなく、ドイツの各大学が独自に実施しているものです。
DSHはもっぱらドイツの大学において実施され、日本を含む外国から受験することはできません。
各大学、冬学期(10月〜)と夏学期(4月〜)の直前にそれぞれ1回ずつ実施することが一般的です(年2回)。
具体的な実施大学と試験日程については各大学のホームページを参照するのが一番ですが、以下のページにも大まかにまとめられています。
▶︎ DSH TERMINE
試験の内容は、各大学が独自に問題を作成しているため大学により様々ですが、共通しているのは「ドイツ語で大学の講義を理解し、課題をこなすことができるか」という視点に立って問題が作られているという点です。
試験の形式は、話す・聞く・書く・読むの4技能を試すものが一般的です。
また試験の成績はA1〜C2によるものではなく、低い方から順に DSH-1, DSH-2, DSH-3 という3段階によって評価され、基本的にはDSH-2以上の成績があれば、ドイツの大学へ正規入学するのに十分な語学力(C1程度)として認められます。
医学部など一部の課程ではDSH-3を必須としています。
名前の通り「大学入学のためのドイツ語試験」であるため、ドイツの大学への正規入学を考えている人におすすめです。
すでに志望大学が決まっている場合は、その大学で実施されるDSHに合格することが、最も近道であると言えるでしょう。
ただし、ある大学で受験したDSHの成績が、他大学に出願する際にも同様に認められるかは大学によって対応が異なるので、注意して下さい。
また、あくまでも大学進学希望者を対象とした試験であるため、Goethe Zertifikatのような一般の語学試験の代替と考えることは、あまり望ましくありません。
A1〜C2に準じた語学力証明を必要としている人は、別の試験を受験しましょう。
こちらについても、各大学(または附属の語学学校)のホームページを確認するとサンプル問題が手に入る場合がありますが、以下のページにも一部、まとめて大学ごとに掲載されています。
がんばった証として就職活動時などで役立てたい!と思う人も多いかと思います。
日本で就活をする場合、ドイツ語に関係のない企業だと「ゲーテB2合格」など履歴書に書いても、ほとんどの人はわからないです。
逆に独検だと分かってもらえることが多いです(英検でなじみがありますね!)。
私はドイツ語講師を本業にするか一般企業に就職するか迷っていたとき就活をしていましたが、「ゲーテ・ドイツ語検定試験C1合格(独検1級相当)」と書いていました。
この書き方について何か言われたことはなく、むしろ面接でのネタになっていたので、悩んでいる人はぜひ参考にしてください◎
これまで6つのドイツ語検定試験についてお話ししてきました。
まとめると以下のようになります。
試験名 | 受験レベル | こんな人におすすめ |
---|---|---|
独検 | 5. 4. 3. 2. 準1. 1級 | ドイツ語を学び始めて最初に挑戦する日本在住の人 |
Goethe | A1. A2. B1. B2. C1. C2 | 知名度の高い、独検以外の試験に挑戦してみたい人 |
ÖSD | A1. A2. B1. B2. C1. C2 | オーストリア在住の人 |
telc | A1. A2. B1. B2. C1. C2 | ドイツ語圏在住の人 |
DaF | 1レベル(B2-C1)のみ | ドイツの大学に正規入学したい人 |
DSH | DSH-1, -2, -3 | ドイツの大学に正規入学したい人 |
それぞれの特徴を理解し、自分の目的に合った試験を選ぶことができると良いですね。
サンプル問題は、レベルに迷ったときや、向き不向きを知るためにも利用してみてください。
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Vollmondでは、試験合格に向けてがんばるあなたを応援しています。
数多くの試験合格者がいるVollmondで、ドイツ語試験対策を行いませんか?
執筆:komachi(Vollmondドイツ語講師)
執筆協力:梓
編集:Wataru(Vollmondドイツ語講師)