ドイツ在住のローゼと申します。
この度、ドイツ人の配偶者としての長期滞在ビザ(Type-D)の更新手続きのためにドイツ語能力の証明書が必要だったため、ゲーテの試験B1を受験しました。
更新手続きの期限から逆算して試験勉強をしましたが、最初の独学だけの受験では失敗し、Sprechenのみ46点で不合格でした。
Sprechenの再受験対策としてVollmondのプライベートコースを受講した結果、79点で合格することができたので、合格体験記を執筆することとなりました。
これからB1合格を目指す方にとって、具体的な学習方法や失敗からの改善プロセスが参考になれば幸いです。
目次
まずは、私のこれまでのドイツ語学習の歩みからお話しします。
ドイツとの出会いは、大学卒業後に趣味で中国語を習い始めて中国へ留学し、その時に現地で知り合ったドイツ人の留学生と結婚したことが始まりでした。
現在は、ドイツの中でもチェコにかなり近い東ドイツの田舎で、くるみ割り人形などの木製工芸品が有名な地域にほど近い場所に住んでいます。

自然が豊かなとても美しい場所で、近場に景色が綺麗なお散歩スポットがあります。

元々語学は専門ではありませんが、外国語を学ぶことは昔から好きでした。
中学から高校にかけて洋楽がとても好きで、歌詞カードを眺めたり、ラジオで音楽番組を聞いたり、英語にはとてもよく触れていました。
ドイツの音楽というとNENAやKraftwerk、マイケルシェンカーやスコーピオンズなどのハードロック系のアーティストとクラシック音楽の作曲家は知っていましたが、むしろミヒャエル・エンデさんのような文学作品の方が自分には馴染みがありました。
10代の頃、当時はまだ全然ドイツ語を知らなくて、まさか将来ドイツ語を学ぶことになるとは思ってもいなかった時に、読めもしないのに『はてしない物語』のドイツ語の原作 Die unendliche Geschichte を書店の洋書コーナーで見つけて購入し、ずっと棚に飾ったままでしたが、ここ何年かでようやく読めるようになってきました。
| 時期 | 学習内容 | レベル | 使用教材 |
|---|---|---|---|
| 2006年〜2010年 | ドイツ語講座受講(東京・週1ドイツ語学校へ通学) | 入門・初級・中級 | Themen Aktuell Kursbuch und Arbeitsbuch 1-2 |
| 2008年9月〜10月 | ゲーテインスティテュート受講(ベルリン・短期留学1ヶ月)週5日×4週コース | 中級 | Tangram aktuell: Kurs- und Arbeitsbuch 3 |
| 2009年11月 | 独検2級合格 | 中級 | 学校の学習内容復習(独習) |
| 2021年11月 | ゲーテA2合格(ビザ申請のため) | A2 | Fit fürs Goethe-Zertifikat: A2 Tipps und Übungen(独習) |
| 2024年8月〜 | ゲーテB1受験対策(2025年夏のビザ更新のため) | B1 | Fit fürs Zertifikat: B1 Tipps und Übungen(独習) |
ドイツ語の本格的な学習を始めたのは、東京のドイツ語学校に通い始めたときです。
入門クラスから始めて、中級にさしかかったあたりで継続的な学習はいったん中断しました。Themenという教科書を使っていました。
そこで学んでいた時に、ベルリンのゲーテインスティテュートに約1ヶ月短期留学したことがあります。
ここではTANGRAMというテキストを使用しました。
生徒は十数人程度いましたが、日本人は自分1人で、後はほとんど欧米出身者、1人だけ韓国の方がいらっしゃいました。B1.1レベルのテキストでしたが、当時の私には、やや難しく感じられました。
ベルリンから日本へ帰国した後に、独検2級に合格しました。
独検2級を取得した後に、東京のドイツ語学校を中級初めくらいのところで止めて、それからしばらくはドイツ語学習は中断していました。
NHKラジオ講座は時々聞いていましたが、ドイツ語学習は停滞したまま、数年間レベルアップしませんでした。
その後、ドイツの長期滞在ビザ申請のためにA2を受験することを決めて、独学で試験対策を行い、合格しました。これが初めてのゲーテ試験受験でした。
試験対策に使用していたテキストはこちらです。
Fit fürs Goethe-Zertifikat: A2 Tipps und Übungen
長期滞在ビザの申請のためにA2を取った後は、DWのDeutsch LernenコンテンツやYouTubeなどで細々と勉強を続けていました。
試験対策として改めて学習を再開したのは、初めてB1を受験する数ヶ月前くらいからでした。
2024年8月頃から週に数時間程度、練習問題を解いて回答を見ながら独学を始め、5ヶ月ほど対策しました。
対策本はこちらを使用しました。
Fit fürs Zertifikat B1 Tipps und Übungen
具体的にやっていたのは、次のような内容です。

DW Deutsch lernenのFacebookをフォローしているとフィードに穴埋め問題が流れてきます。
毎日5〜6問のクイズが投稿され、翌日にまとめてその日の回答が配信される仕組みで、これがとても役立ちました。
YouTubeには、時々ドイツ語字幕が選択できるものもあるので、自分の興味関心がある分野で、好きなチャンネルの動画を視聴するのも良いと思います。
私は、うさぎの動画やガーデニングやナチュラルライフ、ヨガなどの自分が時々みているチャンネルで、字幕だけドイツ語に変更したりしていました。
他には、音と文字と意味をつなげることを意識しながら、画像検索でイメージを掴むようにしました。
そして、2025年1月にB1を受験しました。
結果は、Lesen/Hören/Schreibenの3モジュールは合格、Sprechenのみ46点で不合格でした。

Sprechenだけ不合格だった原因を考えて、再受験のためにどうすべきか、原因や学習方法、目標を見直しました。
Sprechenでは、特にTeil2のプレゼン対策が不十分だったことが最大の要因だと感じています。
当日の試験では、試験官の先生からの指示も理解できましたし、プレゼンでない方のもう一つの課題(相談しながら何かを決めるような内容)は、日常的に実生活でもある程度やっていることだったので、その課題のゴールは達成できたのではないかと思います。
ところが、プレゼンの「その場で出されたテーマに沿って、課題で要求されている構成要素を盛り込んで実際に相手に向かって話す練習」をやっていなかったので、独学で伸び悩んでいたのをそのままにし、結果的にトレーニング不足で、Sprechenモジュールだけ落としてしまったのではないかと感じます。
B1では
など、意見交換や提案ができる力を求められていると感じました。
試験ではそれ向けに、頻出テーマやそれに応じた定型文等を覚えて繰り返し練習することが必要です。
また「なぜこうなるのか」理由の説明や、意味的には同じでもドイツ語では使い分けがある言葉、日本語にした時のニュアンスの違いなど、細かな説明まで聞いてきちんと理解しながら先に進めたかったので、この引き出しを増やすことが課題だと感じました。
これがそもそもの最大の失敗要因だと思います。
A2を受験した時と同じ感覚のままで、試験対策用の問題集だけの独学で乗り切ろうと考えてしまい、学習計画を立てる前の現状の把握をおろそかにしてしまいました。
この順番で行うべきでした。

3つの課題を踏まえて、2025年2月から約2ヶ月、Vollmondのプライベートコースを受講しました。
3月末の再受験まで、合計で5回程度のレッスンをTomoya先生にしていただきました。
数ある先生の中でもTomoya先生を選ばせていただいた理由は、「ゲーテの検定試験対策」をプロフィール欄に書かれていてB1も対象だったこと、そして日本語が母語なので、詳細な説明をお願いした時に日本語話者の感覚を理解してくださるのではと期待したことです。
まずは、自分の認識と講師の先生からプロ目線で見た時の今の実力がそもそもどうなのか、自分の認識が思い込みではないのか、状況把握するところからやらなければと思い、初回レッスンでは、自分の今を観察するようにしました。
先生からは、基礎知識やベースは概ね出来ているという評価をいただいて、少し安心しました。
その上で、自分なりに必要なことを整理し、やることをまとめました。
レッスンでは、2つのパターンで練習しました。
1つ目は、実際の試験に近い時間配分と内容で、直前にテーマを設定していただき、所定の時間内でメモ書きを作りプレゼンを行うパターン。
本番の瞬発力、間違っても良いのでとにかく止まってしまわないこと、合格ラインをクリアすることに注力しました。
2つ目は、次のレッスンまでの宿題を出していただいて、あるテーマについて自分で事前準備をある程度しておいて、プレゼンをやってみてフィードバックとして修正・改善点をご指摘いただき、さらに同じ意味の他の定型文・言い回しを教えていただくパターン。
じっくりと深く細かく自習することに重点を置きました。
そして2025年3月、再受験でSprechenを79点で合格し、無事に全モジュール合格しました!
前回受験から1年以内の再受験だったので、合格済み3モジュールはそのまま有効でした。

ここからは、合格までの道のりを振り返って特に効果があったと感じる3つのポイントをお伝えします。
高得点を目指すよりも、とにかく落とさないことを優先していました。
途中でわからないところはいったん飛ばして次へ行くなど、70%くらいできれば良しとして、先へ進むようにしました。
基本的な事項をきちんと理解することは重要ですが、試験に合格するために必要なことに注力し、細かな間違いや「覚えられない」という感覚に囚われすぎないように意識しました。
同じ単語を何度辞書を引いても大丈夫です。
精神論になってしまうかもしれませんが、出来ない自分を責めないで、着実に進めることで、少しずつ達成感も向上していきました。
インターネット上の学習コンテンツも有効です。
▼たとえばVollmondのサイトには、ゲーテB1試験対策「Sprechen」練習問題3回分が公開されています(これは使わないともったいないです)。
YouTubeのドイツ語動画では「レベル B1」のラベルがついている動画を探して、字幕を参照しながら視聴したり、速度が比較的ゆっくりなものはリピーティング練習なども行いました。
レベルがB2のものでも、ある程度理解できる動画があったので、そういったものも探して活用しました。
特にスクリプト付きは、自分の聞き違いや知らない単語が確認しやすかったです。
▼YouTubeのおすすめ動画はVollmondのこちらの記事でも紹介されています。
動画を途中で止めながら、出てきた単語を調べて、ノートにメモしていました。

ニュース記事やSNS投稿等、大手メディアが配信しているテキスト文章をじっくりと調べるのも、とても勉強になりました。
おおむね15ワード以内くらいの短い文章を抜き出して、精読しました。
この文章は結局何を言っているのか、意味を考えながら句に分解し、名詞であれば単数・複数、動詞であれば格変化や時制を辞書や文法書を見ながら確認していくと、知識の整理に役立ちます。
私の場合は、前述のDW Deutsch lernenの穴埋め問題を、こうした短文精読の素材としても活用していました。

実は、レッスン受講前にこれが自分では一番の不安材料だったのですが、基礎がわかっているのかわかっていないのか自分でよくわからないという問題に直面していました。
最初にレッスンを受講した時に先生から「基礎はできていると思います」とおっしゃっていただいたことで、後続のレッスンを安心して受けることができました。
まずは、客観的に全体レベルを早い段階で評価していただくこと、自分の立ち位置を知ることは、より効果的に受講するためにとても重要です。
最後に、これからB1に挑戦される方に向けて、自分の経験から伝えたいことをまとめます。
具体的な学習計画を立てる前に、ぜひプライベートレッスンを受講し、自分の現状把握を先にされることをおすすめします。
第三者の視点で先生に客観的に評価してもらってから計画を立てた方が、結果的には一番近道になるのではないかと思います。
どの日程で受験したいのか、無理のない範囲で目標の受験日を先に決めてしまい、逆算して学習計画を立てるのがおすすめです。
今回の私のケースのように、ビザ更新期限のようなリミットがあるという方は、少し余裕を持って、再受験のバックアップ日程を考慮した計画をされると安心して臨めます。
また、試験には早めに挑戦してみることをおすすめします。
実際に受けてみると、「ダメだ」と思っても、意外と得点できていることもあります。
自分の場合、実際のテストでは緊張していたせいもあったのかもしれませんが、どのモジュールも対策本より少し難易度が高いように感じました。
それでも、ダメかもしれないと思いながら3モジュールは合格点が取れていたので、受験してよかったです。
これまで他の外国語を学ばれてきた方は、少し切り離して考えた方が学習がスムーズかもしれません。
自分の場合、英語の基本構造がドイツ語と近いので、ついつい長年勉強している英語の方に引っ張られてしまいがちだったのですが、ドイツ語には形容詞や定冠詞まで変化があり、語順のルールもあるので、英語に置き換えて考えないようにしました。
単語を覚えるのも、ただ辞書に書いてある通りに丸暗記するのではなく、ある程度まとまった長さのフレーズを使ったドイツ語らしい表現を意識して覚えるようにして、日本語置き換え・当てはめ翻訳に連れて行かれないように注意しました。
例えば、haben nur …(◯◯だけある)を日本語に訳す時は「◯◯しかない」と言った方が自然に聞こえることがあります。
Ich habe letzte Nacht nur vier Stunden geschlafen.
そのまま訳すと「昨夜4時間だけ寝ました」となりますが、自然な日本語では「昨夜4時間しか寝ていない」となります。
これを逆にまたドイツ語に戻そうとした時に、否定文を使おうとすると、とてもややこしくなります。それぞれの言語の「らしさ」を知ることも大切なのではないかと思います。
また、辞書を引く時に不定詞(Infinitiv)を探り当てるのがとても大変だったのですが、大昔にベルリンで買った動詞活用表に頻出動詞がまとまった書籍(Pons German Series: Pons Verbtabellen Plus Deutsch)があったので、変化形のあたりをつけて、これを時々参考にしていました。
こういう方はあまり多くないかもしれませんが、身近な環境でネイティブスピーカーに囲まれて生活している方は「普段ネイティブと話しているから大丈夫」と油断しすぎないよう注意を払っておくことも必要だと思います。
自分が間違って覚えていて発音やアクセントが不正確であっても、「ま、わかるからいいや」と相手がいちいち直してくれないことが多々あります。
間違った発音やアクセント、勘違いで覚えている単語や語句(例:vorsagenとversagenのようなそっくりさん)がないか、妙なクセがついていないか、化石化していても自分では気付けないこともあります。
定期的にレッスンの中で先生に指摘してもらって、試験に備えてください。
それぞれのライフステージや、ある一定期間どうしても勉強できない時期もありますよね。どんな形でも良いので、1日1単語だけでも、何かドイツ語に触れる時間を持つことをおすすめします。
「もう無理」と思うこともあるかもしれません。
私のように長期戦になっても、他人と比較しないで、自分のペースでその時にできることをやるのが一番だと思います。

言葉が、世界をひろげる。
世界が、私をひろげる。
その一歩を、Vollmondと。