今日は接続法二式の勉強をしよう!
würde とか könnte のことだよね?自信ないなあ…
接続法二式は、多くのドイツ語学習者の方が苦手意識を持つ文法の一つです。
ただし、日常会話では頻出の重要文法事項のひとつ!
特に婉曲表現として、物事を丁寧に(間接的に)言いたいときによく登場するので、「いつも直接的な表現ばかり使ってしまうなあ…」という方は必見です。
目次
はじめに接続法(Konjunktiv)とは何か、どのような場面で使うのかを説明します。
接続法の基本形は2種類あり、不定詞語幹から作られるものを接続法Ⅰ式、過去基本形から作られるものを接続法二式と呼びます。
今回は日常で見聞きすることが多い接続法Ⅱ式(Konjunktiv Ⅱ)に焦点を当てて解説をしていきます!
接続法二式の意味は大きく2つあります。
1つ目は非現実です。いわゆる仮定法にあたります。
「もし〜だったら、〜なのに」のように非現実を想定する仮定的な意味合いになります。
2つ目は婉曲です。
物事をより丁寧に表現できるため、日常生活で使われることがとても多いです。
接続法二式の主な意味
また、この他にも様々な意味で使うことができるので、後程紹介していきます◎
接続法二式は先ほども述べたように、過去基本形から作られます。
ルールを覚えてしまえばそこまで難しくはありませんが、慣れるまでは複雑ですよね。
しかし接続法二式で使われる動詞はほぼ4つに限られているんです!
それさえとりあえず理解しておけば、会話もスムーズになります!
これからその動詞と活用形を紹介します^^
はじめに、接続法二式はどのようにつくるのかを説明します。
① 動詞を過去基本形に
例)kaufen → kaufte
②必要に応じて追加
過去基本形で語尾に-e がない場合は-e を足します。
動詞によってはウムラウト化します。(見分け方もありますが、かなり発展的な話になるので本記事では省略します)
例)
原形 | 過去形 | 接続法二式 |
---|---|---|
gehen | ging | ginge |
sehen | sah | sähe |
bringen | brachte | brächte |
wissen | wusste | wüsste |
例外として、kennen 型の動詞では a が e に変化します。
例)
原形 | 過去形 | 接続法二式 |
---|---|---|
kennen | kannte | kennte |
wenden | wandte | wendete |
brennen | brannte | brennte |
説明を聞くと少しややこしいですね。
しかし実際に使われる接続法二式はほぼ次のものに限られています。
なので次の基本形は何よりもまず先に覚えておくようにしましょう!()内は元となる動詞の原形です。
「えっじゃあ普通の動詞(kaufen, kommen..)を言いたい時はどうするの!?」となった方もいるのではないでしょうか。
そういうときは接続法二式自体には werden または話法の助動詞を使い、動詞の原形を文末に置くことがほとんどです。
詳しくは後ほど説明しています。
接続法二式の活用のポイントは、ich と er / sie の活用は同じ(=接続法二式基本形)になることです。
ich | wäre | wir | wären |
du | wär(e)st | ihr | wär(e)t |
er/sie | wäre | Sie | wären |
ich | hätte | wir | hätten |
du | hättest | ihr | hättet |
er/sie | hätte | Sie | hätten |
ich | würde | wir | würden |
du | würdest | ihr | würdet |
er/sie | würde | Sie | würden |
まずは話法の助動詞の接続法二式を確認しましょう。
接続法二式 | 原形 |
---|---|
könnte | können |
sollte | sollen |
müsste | müssen |
wollte | wollen |
dürfte | dürfen |
möchte | mögen |
話法の助動詞として覚えている人が多い möchte は厳密にいうと mögen の接続法二式であることが分かります。
そのため、möchte には過去形がありません。「〜したかった」と言いたいときは wollen の過去形 wollte を使うんでしたよね!(詳しくはこちら:間違える人が多いドイツ語表現4選)
▼各助動詞の意味に自信がない方は、ぜひこちらの記事で復習しましょう。
ここからは、各助動詞の人称変化活用表を確認していきましょう!
ich | könnte | wir | könnten |
du | könntest | ihr | könntet |
er/sie | könnte | Sie | könnten |
ich | sollte | wir | sollten |
du | solltest | ihr | solltet |
er/sie | sollte | Sie | sollten |
ich | müsste | wir | müssten |
du | müsstest | ihr | müsstet |
er/sie | müsste | Sie | müssten |
ich | wollte | wir | wollten |
du | wolltest | ihr | wolltet |
er/sie | wollte | Sie | wollten |
ich | dürfte | wir | dürften |
du | dürftest | ihr | dürftet |
er/sie | dürfte | Sie | dürften |
ich | möchte | wir | möchten |
du | möchtest | ihr | möchtet |
er/sie | möchte | Sie | möchten |
接続法二式の活用形がわかったところで、次は基本的な使い方の解説をしていきます。
もしたくさんお金を持っていれば、もっと旅行ができるのに!
この日本語をドイツ語に訳すと、
Wenn ich viel Geld hätte, könnte ich mehr reisen.
のようになります。
「もし〜だったら」と言いたいときは接続詞wennを使います。英語の if に近いです。
wenn は副文を取る従属接続詞でしたね。
なので wenn 副文では最後に、後半の文章(主文)では最初に接続法二式が置かれています。※主文と副文は逆でも大丈夫です。
▼「副文って何だっけ?」となった方にはこちの記事がおすすめです。
他の例文も見てみましょう!
もしこの本が興味深いのであれば、私はこれを読むのになあ。
①と②のどちらでも文法的には正しいですが、日常会話では基本的に②のように würde(werdenの接続法二式)を使った表現をします。
先ほど出てきた必ず覚えてほしいリストに läse は入っていなかったのはこのためです。
つまり、sein, haben 以外の動詞を接続法二式を使って現在時制で表現したい場合、基本的にはwürde または助動詞(könnte, sollte, müsste..)+文末に動詞の原形を使います。
別の例文も見ながら、würde の使い方を確認していきましょう!
Wenn sie nicht so müde wäre, würde sie mit uns essen gehen.
もし彼女がそんなに疲れていなければ、私たちと夕食に出かけただろうに。
Wenn ich mehr Geld hätte, würde ich ein neues Auto kaufen.
もっとお金があれば、新車を買うのに。
Wenn ich Flügel hätte, würde ich sofort zu dir fliegen.
もし翼があれば、すぐに君のもとに飛んでいくのに。
würde だけではなく、もちろん話法の助動詞を使うことも多いです。
ただしこの場合は助動詞のニュアンスが入りますので、特にニュアンスを含めたくない場合には würde を使いましょう!
Wenn ich nicht so viel zu tun hätte, könnten wir uns treffen.
私がやることがたくさんなければ、私たちは会うことができるのに。
Wenn du nicht so gestresst wärst, könntest du besser schlafen.
そんなにストレスがなければ、君はもっとよく眠ることができるだろうに。
Wenn der Weg zum Bahnhof nicht so weit wäre, könnten wir zu Fuß gehen.
もし駅までの道がそんなに遠くなければ、私達は歩いて行けるのに。
Wenn ihr besser Deutsch sprechen könntet, würdet ihr mehr Jobs finden.
君たちはドイツ語がもっと上手に話せれば、もっとたくさん仕事が見つかるだろうに。
過去時制を表現する際は、現在完了形を思い出しましょう。
haben / sein+過去分詞でしたよね。
その haben / sein 部分を接続法二式に変えてあげましょう!
Wenn ich vor 5 Jahren viel Geld gehabt hätte, hätte ich ein teures Auto gekauft.
もし5年前にお金をたくさん持っていたら、高い車を買ったのになあ。
Wenn ich damals viel Zeit gehabt hätte, wäre ich ins Kino gegangen.
もし当時時間がたくさんあったら、映画館に行ったのになあ。
ここで紹介した仮定法としての接続法二式を使った色々な例文を、Vollmondのポッドキャスト「Japanischドイツ語カフェ」で紹介しています。
もっと色々な例文に触れたい方はぜひ聴いてみてください♩
使い方①では非現実の仮定的な意味を説明しましたが、接続法二式には婉曲の意味もあります。
より丁寧に表現したい時によく使われます。
フォーマルな場面だけでなく、友だち同士など親しい間柄でもよく登場するため、日常会話でも必須です。
例文を見ながら確認してみましょう!
※各例文1は接続法二式を使用していない普通の文章です。
接続法二式を使って頼みごとをする場合、最後の例文のように vielleicht / mal を一緒に使うとより丁寧なニュアンスになります。
接続法二式を使った定番フレーズもあります。
レストランやカフェで注文する際の定番フレーズです。
Einen Apfelsaft, bitte. などでも通じますが、接続法二式を使うとより丁寧な印象になるのでこちらを使うよう心がけるのがおすすめです!
Ich hätte gern einen Apfelsaft.
リンゴジュースをください。
Ich hätte gerne (eine Tasse) Cappuccino und (ein Stück) Käsekuchen, bitte.
(一杯の)カプチーノと(一切れの)チーズケーキをください。
Ich würde gern mit Ihnen sprechen.
あなたとお話ししたいのですが。
先ほど紹介した例文にもありましたが、Könntest du…? Könnten Sie…? は一つの定型表現として覚えるのもおすすめです。
Kannst du…? Können Sie…? に比べて、より控えめな質問文となります。
Könntest du mir bei den Hausaufgaben von meinem Deutschkurs helfen?
よかったらドイツ語コースの宿題を手伝ってくれない?
Könnten Sie bitte langsamer sprechen? Ich verstehe nicht alles.
もっとゆっくり話していただけませんか?私は全てを理解しているわけではありません。
非現実・婉曲以外にも、接続法二式には様々な意味があります。
ここからは、その他の意味をいくつかご紹介していきます。
まず、特定の話法の助動詞の接続法二式を使うことで、提案や助言をすることができます。
können の接続法二式 könnte + 動詞の原形で「~しよう」のように提案をすることができます。
Wir könnten morgen Nachmittag zusammen in der Bibliothek Deutsch lernen.
明日の午後、一緒に図書館でドイツ語を勉強しようよ。
könnte を使った提案の表現は、ゲーテ試験などのスピーキング試験でも使う場面がたくさん出てきます。
A2レベル以上であれば使えるようになりたい表現です。試験で使えるその他の提案のフレーズについても知りたい方は、ぜひこちらの記事をご覧ください◎
sollen の接続法二式 sollte + 動詞の原形で、「~した方がいい」のように助言をすることができます。
Du isst immer nur Fleisch. Du solltest mehr Gemüse essen.
君はいつもお肉ばかり食べてるよね。もっと野菜を食べた方がいいよ。
sollen(〜すべき)だと強く聞こえるので、人に何かアドバイスする際は sollte を使うことが多いよ!
hätte… + 動詞の原形 + 話法の助動詞(sollen / können / müssen / mögen)で「〜すべきだったのに」「〜できたのに」「〜しなければいけなかったのに」「〜したかったのに」と後悔・非難を表現することもできます。
Wir hätten früher unsere Reise planen sollen.
もっと早く旅行の計画をするべきだったのに(しなかった)。(後悔)
Du hättest das nicht tun sollen.
君はそれをすべきではなかったのに(してしまったんだね)。(非難)
Das hättest du doch schon früher sagen können.
それもっと早く言ってくれたらよかったのに(言ってくれなかった)。(非難)
hätte… +動詞の原形+否定+ dürfen で「〜してはいけなかったのに」という意味でもよく出てきます。
接続法二式についての理解は深まったでしょうか。
最後に大事なポイントをおさらいしておきましょう!
いきなり接続法二式を作ってと言われると、慣れるまで少し複雑かもしれません。
しかし実際に使われるのは紹介した4つの動詞にほぼ限られるので、まずはそちらをマスターしましょう!
Vollmondのポッドキャスト「ココロ踊るドイツ語講座」でも接続法二式の解説・色々な頻出フレーズ紹介を行っています。
▼この記事の内容を音声で復習したい方におすすめです。
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この記事を書いた人:Kaori
大学でドイツ語文学部(Germanistik)を専攻、卒業後ドイツで1年間語学留学しました。私もまだまだドイツ語を勉強中ですが、少しでもお役に立てれば嬉しいです。
一緒にドイツ語高めていきましょう♪
内容・表現チェック:nico(Vollmondドイツ語講師)