darauf? darüber? ドイツ語「代名詞的副詞」を押さえよう!

これらは「代名詞的副詞 / Pronominaladverbien」と言うんだ。
「代名詞的副詞」とは、 dabei, darauf などの da(r)- +前置詞で構成される語句を指します。
少し分かりづらく感じるかもしれませんが、使いこなせると喋るのがラクになる優れものです。
この記事では代名詞的副詞を使いこなすためのポイントを分かりやすく解説します!
目次
代名詞的副詞とは?
代名詞的副詞まとめ
「代名詞的副詞」と言われても、聞きなれない文法用語と感じるかもしれません。
しかし、ある程度ドイツ語に触れた後なら、必ず一度や二度は見聞きしたことのある表現かと思います。
まずは代名詞的副詞を列挙してみます。
② daran, darauf, daraus, darin, darum, darunter, darüber
このように、da- +前置詞 / dar-+前置詞 の形になっているものが代名詞的副詞です。
ちなみに上に列挙した際、意識的に書き分けてみたのですが、
①は、da- +前置詞
②は、dar- +前置詞
と、それぞれ「 r 」の音が入るか入らないかの違いがあることが分かりますね!
②のように、前置詞の頭に母音(a, e, i, o, u, ä, ö, ü)が入っていると dar- +前置詞の形になります。
例:darin の場合、「ダイン」ではなく「ダリン」と発音しましょう。
代名詞的副詞 =「前置詞+ das / es」
では、この代名詞的副詞の頭に付いている da や dar は何を指しているのでしょうか?
これらは、das や es (それ・これ・あれ等)を表している…と考えると分かりやすくなります!
ㅤㅤ私は電車で東京へ行く。
B:Oh, damit fahre ich auch nach Tokio.
ㅤㅤおお、私もそれで(=電車で)東京へ行くんだ!
よくある間違い:Oh, mit das fahre ich auch nach Tokio!
このように、代名詞的副詞は物を da で置き換えて、damit「それで」とシンプルな形で表現することができるんです!
「前置詞+ das / es(=物)」が、「da- +前置詞 / dar-+前置詞」の形で置き換えられているということですね。
では、今度は次の例文を見てみてください。
ㅤㅤ私は彼氏と東京に行く。
B:Schön. Du fährst mit ihm nach Tokio.
ㅤㅤいいね、君は彼と東京に行くんだね。
このように、前置詞の後に「人」を表す言葉が続く場合は、da や dar で置き換えるのではなく、必ず「前置詞+人称代名詞」の形で表す必要があります。
人称代名詞とは?
※この記事で指しているのは以下表の1, 4, 3格部分です。
代名詞的副詞の使い方
代名詞的副詞の使い方は、主に2つあります。それぞれの用法をチェックしていきましょう!
前の言葉や文章の代わりに
まず一つ目に、代名詞的副詞は、前に出てきた言葉や文章の代わりとして使われます。
前に出てきた言葉の代わり
基本的にドイツ語は同じ単語を重複させることを嫌います。
よって、すでに文脈に登場していて、お互いに意味を了承している場合には、代名詞的副詞を代わりに置くことが多いです。
先ほどの会話文でも、Aさんが言った mit dem Zug という言葉を、Bさんは damit で言い換えていましたよね!
また、次の例文も見てみましょう。
私たちは食事をしていた。その際マルクは何も食べなかった。
この例文を、Dabei を使わずに書くと、次のようになります。
Wir waren am Essen. Bei dem Essen hat Mark nichts gegessen.
しかしこの文章だと、Essen という言葉が重複してしまいますよね。
ですので、二つ目の文章では同じ言葉を重複させないために、「〜の際に」を表す bei を使って、 dabei (= bei dem Essen)とまとめています。
前に出てきた文章の代わり
このように単語を受ける場合についてまず説明しましたが、代名詞的副詞はもっと万能です!
単語だけでなく、直前の文をまるごと受けることができます。
次の例文を見てください。
私は今日英語を勉強する。その際に音楽を聴く。
ここでの dabei は、Ich lerne heute Englisch. を丸ごと受けて、「私が今日英語を勉強する際に」という内容を表しています。
前半の一文を das と見立てて、 bei das = dabei となっていると考えると分かりやすいかもしれません。
このパターンを使いこなすために大切なことは、まずはそれぞれの前置詞の意味をしっかりと理解しておくことです。
そうでなければ、伝えたい状態・状況に適した代名詞的副詞を選ぶことができないからです。
上の例文でも、「その際」という内容を表すために、「~の際に」の意味を持った bei という前置詞が使われていますよね!
zu 不定詞句や副文の内容を受けて
二つ目に、代名詞的副詞は、よく後に続く zu 不定詞句やdass副文の内容を受けて使われます。
まず、次の例文を見てください。
私はドイツへ旅行することを楽しみにしています。
この例文では、darauf という代名詞的副詞が、zu 不定詞句で書かれた「ドイツへ旅行すること」という内容を受けています。
まず Ich freue mich darauf で「私はそのことを楽しみにしている」という内容を言った後で、
次に「darauf = そのことを」に当てはまる、「ドイツへ旅行することを」というより具体的な内容を続けています。
ちなみにこの freuen という動詞は本来、sich4 auf + 物4格 freuen(~を楽しみにしている)という形で、名詞を伴って使われます。
しかし、名詞だけで内容を説明すると、どうしても硬い表現になりがちです。
ですので先ほどの例文のように、前置詞の後に名詞を置かず、よく「代名詞的副詞 + zu 不定詞句や dass副文」の形で使われることがよくあります。
▶︎zu不定詞とは?作り方や使い方
▶︎dass副文とは?仕組みの解説
これなら、名詞の格変化を気にする必要もないね!
また、ここで大切なポイントとなるのは、動詞と前置詞の組合せをしっかりと覚えておくことです!
例えば、「~を楽しみにしている」ということを表現したい場合、
freuen の動詞とセットで auf の前置詞が使われることを覚えておかなければ、全く意味が通らない文章を作ってしまうかもしれません。
動詞×前置詞の組合せを、1つ1つ正確に覚えていきましょう!
この他にも、動詞×前置詞の組合せや、名詞×前置詞の組合せで使われる表現が多くあり、この前置詞部分を代名詞的副詞に変えて文を作ることができます。
例文を用意したので、こちらも確認してみましょう。
Bitte informieren Sie mich darüber, ob Sie morgen an der Veranstaltung teilnehmen können.
明日催しに参加できるかどうか、私に知らせてください。
Sie hat Zweifel daran, dass er die Wahrheit gesagt hat.
彼女は、彼が真実を言ったということに対して、疑念を抱いている。
一つ目の例文で使われているのは、人4格 über + 物4格 informieren(人4格に、~について知らせる)という動詞×前置詞の熟語です。
後に続く ob から始まる副文の内容を、darüber という代名詞的副詞で受けていることがわかります。
また、二つ目の例文では、Zweifel an + 物3格 haben(~に対して疑念を抱く)という名詞×前置詞の熟語が使われています。
ここでは、dass から始まる副文の内容を、daran という代名詞的副詞で受けていることがわかりますね!
まずは覚えておきたい組み合わせまとめ
まとめ
代名詞的副詞が使えるようになると、一々単語や文を繰り返す必要がなくなり、洗練された表現になります。
また、説明や描写を付け加えて文を完成させるのにも役に立ちます。
- 代名詞的副詞とは、da- +前置詞 / dar- +前置詞 の形をとる語句のこと
- 代名詞的副詞で「前置詞 + das / es(=物)」の意味を表すことができる
- ただし、前置詞+人の場合は、必ず「前置詞+人称代名詞」で表現する
【主な使い方とポイント】
- 前に出てきた言葉や文章の代わりに使う
→基本の前置詞の意味をしっかりとおさえよう! - 後に続く zu 不定詞句や副文の内容を受けて使う
→動詞×前置詞、名詞×前置詞の組合せをしっかりと覚えよう!
この機会にぜひ基本をおさえておいてくださいね!
執筆:komachi(Vollmondドイツ語講師)
執筆協力:Aozumi
編集:kosuzu(Vollmondドイツ語講師)
内容・表現チェック:nico(Vollmondドイツ語講師)