ドイツ語読解のコツ「スラッシュリーディング」(読解問題つき)

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長い文章を読む時にどうしても時間がかかってしまうんだよね…。
じゃあ、「スラッシュリーディング」を試してみたらどう?

 

ドイツ語と日本語では語順が異なるため、読解をする際、文の意味を理解するのに時間がかかってしまいます。

「スラッシュリーディング」は、そんな悩みを解決する効果的な読解方法です!

 

この記事では、スラッシュリーディングを通して身につく力や、その方法について解説していきます。

スラッシュリーディングとは

スラッシュリーディングとは、文章をスラッシュで区切り、意味のまとまり(句や節)ごとに前から読んでいく方法です。

 

例えば、次のようにスラッシュを引いて、文を読んでいきます。

例) Sie liebt ihre Arbeit, / aber ist auch froh, / wenn diese beendet ist.

  1. 彼女は仕事がすごく好きです / しかし嬉しくもあります / それが終わった時
  2. 彼女は仕事がすごく好きですが、でもやはり仕事が終わると嬉しいのも事実です。

1つめの日本語訳は、ドイツ語の文を前から順に訳したものです。

2つめの日本語訳は、ドイツ語の文を、自然な日本語に直したものです。

 

ドイツ語を読む際、2. のように自然な日本語を考えながら読んでいたら、時間がかかってしまいますよね。

スラッシュリーディングでは 1. のように、ドイツ語と同じ順番で前から読み進めて意味を理解していくので、わざわざ自然な日本語に直すことなくドイツ語が理解できるようになります。

 

そしてこのスラッシュリーディングは、読解だけでなく、リスニング、スピーキングにも効果があります!

重要
スラッシュリーディングで身に付く力:

  1. 長文を素早く読むことができる(速読)
    ドイツ語を語順通りに理解できるようになるので、読解にかかる時間が少なくなります
  2. リスニング力が上がる
    ドイツ語を語順通りに理解できるようになるので、リスニング力にも直結します
  3. スピーキング力が上がる
    意味のまとまり(句や節)を意識することで、ドイツ語を話す際の、文のメロディーをつかむことができます

 

このように、スラッシュリーディングは、読解だけではなく、リスニングやスピーキングなど、様々な分野に応用できる練習法となっています。

スラッシュリーディングのやり方

区切り方の例

では、実際にどこで区切れば良いのか、区切り方の例を見ていきましょう!

① 前置詞や副詞の前

in や auf などの前置詞が出てきた場合は、その前置詞の後に続く名詞や代名詞と一緒に区切りましょう!

また、vor allem などの副詞の前で区切るのも効果的です。

例) In meinem Alltag / fühle ich mich / vor allem / „gemütlich“, […]

私の日常の中で / 私は感じています / 特に / „gemütlich“ と

(私の日常の中で、私が特に„gemütlich“と感じる瞬間があります。)

② 接続詞や疑問詞の前

und や aber, dass や wenn といった接続詞や、wo などから始まる疑問詞節は、文と文をつないでいます。

そのため、これらの言葉の前で区切ると、それぞれの文章が分かれて理解しやすくなります!

例) Sie liebt ihre Arbeit, / aber ist auch froh, / wenn diese beendet ist.

彼女は仕事が好きです / しかし嬉しくもあります / それが終わった時

(彼女は仕事がすごく好きですが、でもやはり仕事が終わると嬉しいのも事実です。)

この例で見てみると、aber という接続詞の前、また wenn という副文を伴う接続詞の前で区切られていることがわかりますよね。

③ 関係代名詞や zu 不定詞句の前

関係代名詞zu 不定詞句も、2つの節をつないでいるので、区切って1つずつ理解しましょう!

例) Es gibt keine Sprache, / die man eins zu eins übertragen kann.

言語はありません / 1対1で翻訳できる

(1対1で訳せる言語はありません。)

上の文では、Sprache という言葉を、die という関係代名詞から始まる文が修飾しています。

ですので、関係代名詞 die の前で一度区切ってあげると、文が読みやすくなります。

④ 長い主語や目的語の前

例えば、形容詞が名詞を修飾している場合などは、主語や目的語がどうしても長くなってしまいますよね。

そんな時もスラッシュで区切ることで、意味が理解しやすくなります!

例) Mein deutsches Lieblingswort / ist „gemütlich“.

私の好きなドイツ語の単語 / „gemütlich“です

(私の好きなドイツ語は„gemütlich“です。)

スラッシュリーディングの注意点

① 細かく区切りすぎない

スラッシュリーディングの目的は、文章を意味のまとまりごとに捉えることです。

そのため、例えば in meinem Alltag といった「前置詞+名詞」など、1つの句(=まとまり)になっている部分を in / meinem Alltag のように区切ってしまうと、かえって意味が分かりにくくなります。

細かく区切りすぎて、その文章がどんな内容なのか逆に理解できなくなってしまった…とならないよう注意しましょう!

②テンポを大事にする

区切りすぎないのも重要ですが、区切るところを考えすぎないのも重要です。どこでスラッシュを入れるか「正解」は特にありません。

練習として、ドイツ語の文章を読むときに自分が読みやすいところにスラッシュを入れていくということに挑戦してみましょう。練習を重ねると、どこで区切ると読みやすいかなど慣れてきます。

テンポを大事にすることで、リスニングやスピーキングのリズムも掴むことができます!

 

練習始めで慣れないうちは先生にスラッシュの入れ方を確認してもらうのもいいかも

 

実際にチャレンジしてみよう!

Mein deutsches Lieblingswort

では、ドイツ語の文章を使って、スラッシュリーディングを実践してみましょう!

テキストの文法・語彙レベルは、A2 – B1レベルです。

次のテキストを使って、シャドーイングをする方法も紹介しています。

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テキスト

Mein deutsches Lieblingswort

Mein deutsches Lieblingswort ist „gemütlich“.

Es ist schwer, es ins Japanische zu übersetzen.

In meinem Alltag fühle ich mich vor allem „gemütlich“, wenn ich zu Hause Kaffee koche und dabei Musik höre.

Unter „Gemütlichkeit“ verstehe ich eine ruhige Zeit für mich selbst, die von niemandem gestört wird.

Ein Lieblingswort von einer deutschen Freundin ist „Feierabend“.

Sie liebt ihre Arbeit, aber ist auch froh, wenn diese beendet ist.

Es bedeutet also nicht unbedingt, dass jeden Abend eine Party stattfindet, also gefeiert wird, aber viele machen es sich dann abends auf dem Sofa gemütlich und manche trinken sogar ein Feierabend-Bier.

Ihr liebster japanischer Ausdruck ist übrigens “しょうがない”.

Er passt sehr gut zu dem Jahr 2020, in dem sie eigentlich geheiratet hätte und endlich wieder nach Japan gekommen wäre – „Tja, machste nichts“.

Es gibt keine Sprache, die man eins zu eins übertragen kann.

Jede Sprache hat ihre eigene Schönheit, Einzigartigkeit und Schwierigkeit.

Deshalb halte ich das Lernen einer Fremdsprache auch heute noch für sinnvoll, auch wenn die Digitalisierung weiter vorangeht und die Übersetzungstools immer mehr fortschreiten.

スラッシュリーディング実践例

Mein deutsches Lieblingswort

Mein deutsches Lieblingswort / ist „gemütlich“./

Es ist schwer, / es ins Japanische / zu übersetzen. /

In meinem Alltag / fühle ich mich / vor allem / „gemütlich“, / wenn ich zu Hause Kaffee koche/ und dabei Musik höre./

Unter „Gemütlichkeit“/ verstehe ich / eine ruhige Zeit für mich selbst, / die / von niemandem / gestört wird./

Ein Lieblingswort von einer deutschen Freundin / ist „Feierabend“./

Sie liebt ihre Arbeit, / aber ist auch froh, / wenn diese beendet ist./

Es bedeutet also nicht unbedingt, / dass / jeden Abend / eine Party stattfindet, /also gefeiert wird, / aber viele machen es sich dann abends / auf dem Sofa / gemütlich / und manche trinken / sogar / ein Feierabend-Bier./

Ihr liebster japanischer Ausdruck / ist übrigens “しょうがない”./

Er passt sehr gut / zu dem Jahr 2020, / in dem / sie eigentlich geheiratet hätte / und endlich wieder / nach Japan / gekommen wäre – / „Tja, machste nichts“./

Es gibt keine Sprache, / die man / eins zu eins / übertragen kann.

Jede Sprache hat / ihre eigene Schönheit, / Einzigartigkeit / und Schwierigkeit.

Deshalb / halte ich / das Lernen einer Fremdsprache / auch heute noch / für sinnvoll, / auch wenn die Digitalisierung / weiter / vorangeht / und die Übersetzungstools / immer mehr / fortschreiten.

スラッシュを元にした日本語訳

私の好きなドイツ語

私の好きなドイツ語は / „gemütlich“です。

難しいです / この単語を日本語へ / 訳すことは。

私の日常の中で / 私は感じています / 特に / „gemütlich“ と / 家でコーヒーを淹れているとき / そこで音楽を聴いている時に。

„Gemütlichkeit“という言葉において / 私は解釈しています/ 自分のためのゆったりとした時間 / それは / 誰からも〜ない / 邪魔される。

私のあるドイツ人友だちの好きなドイツ語は / „Feierabend“です。

彼女は仕事がすごく好きです / しかし嬉しくもあります / それが終わった時。

必ずしもそれは意味しているわけではありません / ということを / 毎晩 / パーティーが開催される / つまり祝われる / しかし多くの人は夜に / ソファの上で / くつろぎ / そして飲む人もいます / その上 / Feierabend用のビールを。

彼女の好きな日本語表現は / ところで「しょうがない」です。

それはとてもぴったりです / 2020年に / その年には / 彼女は本当は結婚していた予定で / そしてまた / 日本へ / 遊びにくる予定だったのです。/ まあ、どうしようもできないですね。

言語はありません / 1対1で翻訳できる。

全ての言語は持っています / その言語特有の美しさを / 独自性を / 難しさを。

なので / 私は思います / 言語学習というのは / 今日においてもまだ / 意味があると / たとえ / デジタル化が / さらに / 進み / そして翻訳ツールが / もっと / 発展していくとしても。

自然な日本語訳

私の好きなドイツ語

私の好きなドイツ語は„gemütlich“です。

この単語を日本語に訳すのは難しいです。

私の日常の中で、私が特に„gemütlich“と感じる瞬間があります。それはコーヒーを入れながら音楽を聴いている時です。

私は„Gemütlichkeit“という言葉を「自分のためのゆったりとした時間」として解釈としています。

その時間は誰からも邪魔されることはないです。

私のあるドイツ人友だちの好きなドイツ語は„Feierabend“です。

彼女は仕事がすごく好きですが、でもやはり仕事が終わると嬉しいのも事実です。

„Feierabend“という言葉は、なにも毎晩パーティーが開催されることを意味しているわけではありません。

たくさんの人はゆったりとソファーでくつろぎ、Feierabend用のビールを飲むこともあります。

ところで、彼女の好きな日本語表現は「しょうがない」です。

2020年にぴったりな表現です。

どうしてかというと、彼女は本当は2020年に結婚していたはずで、また日本に遊びに来る予定だったからです(=コロナでこれらは実行できなかったのです)。まあ、どうしようもできないですよね。

1対1で訳せる言語はありません。

全ての言語は、その言語特有の美しさ、独自性、難しさを持っています。

なので私は、たとえデジタル化が進み翻訳ツールが発展しているとしても、言語学習というのは今日においてまだまだ意味があることだと思っています。

 

まとめ

今回はスラッシュリーディングについてお話してきました。いかがだったでしょうか?

「読解に時間がかかってしまう」という方は、この勉強法で繰り返し練習することで、確実に読むスピードが速くなっていきます!

ぜひ実践してみてくださいね♩

 

読解のコツをもっと教えてほしい!という方は、Vollmondの提供するドイツ語プライベートコースがおすすめです!

先生と1対1の貴重な時間を使って、自分のドイツ語にもっと自信が持てるよう勉強してみませんか?

 

執筆:komachi(Vollmondドイツ語講師)
執筆協力:mizuho
編集:kosuzu(Vollmondドイツ語講師)

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