違いがよくわかる!ドイツ語資格試験【総まとめ】

この記事では、ドイツ語の有名な資格試験を6つ紹介します。
それぞれの試験について、サンプル問題のダウンロード先も記載しています。受ける試験を選ぶときの参考にしてください。
目次
代表的なドイツ語の資格試験
ドイツ語の資格試験には様々な種類がありますが、代表的なものは以下の6つでしょう。
ドイツ語技能検定(独検)、ゲーテ(Goethe)、ÖSD、telc、Test DaF、DSH
それぞれに、内容の違いはもちろん、どの国で通用するかやどの機関が作っているか、知名度の差、どういう人を対象としているか、などといった特徴があります。
最初に簡単に説明すると以下のようになります。
- 日本で有名なのは?→独検
- 日本で受験したい→独検・ゲーテ
- ドイツで受験したい→独検以外
- 国際的に通用するのは?→独検以外(無難なのはゲーテ)
- 試験科目が4技能なのは?→独検以外
※独検は準1級と1級のみ口頭試験あり - 大学に正規入学するのにオススメの試験は?→Test DaF・DSH
ドイツ語レベル比較表
ドイツ語レベルを英語学習や独検・CEFRで比較した目安です。
もっと詳しく知りたい人は
> ドイツ語レベルとレッスン受講頻度の目安
それでは各試験についてもう少し詳しく見ていきましょう!
ドイツ語技能検定
通称、独検。これが日本では1番有名な試験だと思います。
英語だと英検、ドイツ語だと独検です。
受験地・時期・試験内容
独検は、次に紹介するゲーテ・ドイツ語検定と並び日本で受けやすい試験です。夏試験と冬試験の年2回、全国約25箇所で開催されています。
2022年度の冬試験は12月4日開催で、申し込みは10月21日(郵送)20日(インターネット)までです。
試験内容
次に内容についてお話しします。独検には、5〜2級、準1級、1級までの6つのレベルがあります。全ての級において筆記試験と聞き取り試験があり、口頭試験は準1級、1級のみにあります。
こんな人におすすめ
独検は、ドイツ語学習者が最初に挑戦する試験として向いています。問題文が日本語であり、受験料がそれほど高くないからです。
問題文が日本語になっていると難易度は一緒でも気持ちのハードルが低くなりやすく、落ち着いて試験にのぞみやすいでしょう。
受験料は他の4つの試験と比べて、それほど高くないのもいいですね。例えば5級は 4,500円、1級でも13,500円で受けることができます。
ちなみにゲーテ・ドイツ語検定試験の一般受験者の受験料は、A1で12,000円(2022年11月試験より13,000円)、C2では33,000円(2022年12月試験より34,500円)となっています。
独検について詳しく知りたい方は、Vollmondに掲載している合格体験記やテスト対策の記事を参考にしてください。
サンプル問題
サンプル問題はこちらからダウンロードできます。
▶︎ 独検サンプル問題ページ
筆記試験は、サンプル問題を本番通りの問題数受けることができます。
聞き取り試験は、問題説明や繰り返しを除いた一部の音声を聞くことができます。また口頭試験のサンプル問題は残念ながらありません。
サンプル問題は、レベル・難易度の把握、出題形式を確認し、向き不向きを判断するというような使い方をおすすめします。
実際に受験することになったら過去問題集を買うのが効率的です!迷っている方はぜひまず解いてみてくださいね。
ゲーテ・ドイツ語検定試験
次にお話しするのは、ゲーテ・ドイツ語検定試験(Goethe Zertifikat)です。
先ほど独検の受験料の話で登場したこの試験、独検と共に日本でも受けられる試験です。
受験地・時期・試験内容
受験地は東京または大阪と大都市に限られています。
実施回数は会場やレベルによって違います。大阪よりも東京の方が多く、レベルがA1に近いほど実施回数も多くなります。
▶︎ ゲーテ試験(東京会場)詳細ページ
▶︎ ゲーテ試験(大阪会場)詳細ページ
試験内容
この試験で評価されるのは、話す・聞く・書く・読むの4技能です。このあたりが、国際的に通用するという点や留学したい人に向いているという点に繋がってくるのですね。
レベルはA1・A2・B1・B2・C1・C2とありますが、全てのレベルでこの4技能が計られます。
独検が準1級からしかスピーキング試験がないのに対し、A1でもしっかり自己紹介をしたりパートナーと短い会話を行うことが求められます。
こんな人におすすめ
ゲーテ試験の特徴は、ずばり国際的に通用するということです!先ほどの独検は、日本以外ではほとんど知名度はありません。
それに対してゲーテ試験は、例えばドイツの大学に入学する際の語学証明書として使うことができたり、Goethe Institut 自体がドイツ人でも知っている人も多い有名な機関です。
ドイツ語圏でも通用する資格証明が必要な人におすすめです。また日本でも受けやすい試験なので、趣味として受験する人も多いです。
サンプル問題
このあと紹介する試験は全て国際的な試験ですが、それらの中で日本人のドイツ語学習者が最も受ける試験と言えます。気になった方はこちらからサンプル問題をチェックしてみてください。
▶︎ ゲーテ試験 練習問題
受験したいレベルを選択→ページ下にある準備「練習問題」をクリック、で見ることができます。
Vollmondではテスト対策も行なっていますが、独検と並んで(またはそれ以上に)受験者が多いのがこのゲーテ試験です。A1からC1まで過去にはたくさんの人が合格されています。
ÖSD
日本語の正式名称は「オーストリア政府公認ドイツ語能力検定試験」です。
その名の通り、オーストリア政府が運営するドイツ語検定試験です。ゲーテ試験と同じく国際的な試験で、オーストリアではもちろん、ドイツでも通用します。
受験地・時期・試験内容
日本での知名度はあまり高いとは言えませんが、日本でも受験することができます。
▶︎ ÖSD日本語公式サイト
試験内容
ÖSDもレベルはA1からC2まであります。試されるのはコミュニケーションを主体としたドイツ語運用能力で、具体的な試験科目は、話す・聞く・書く・読むの4つです。
サンプル問題
サンプル問題は、レベルごと、また技能ごと(筆記試験と口頭試験)に分かれています。公式HPはドイツ語か英語のみとなっていますが、以下のリンクからチェックしてみてください!
▶︎ ÖSD 練習問題
画面の右側の「Sample test: Oral exam(口頭試験)」「Sample test: Written exam(筆記試験)」ドイツ語表記なら「Modellsatz Mündliche Prüfung」「Schriftliche Prüfung」から模擬問題をダウンロードすることができます。
telc
4つめに紹介するのは、telc試験です。ドイツ発祥の試験で、ドイツにおいてはゲーテ試験の次に有名です。
「The European Language Certificates」の略で、ドイツの市民学校であるVHS(Volkshochschule)の子会社が運営しています。実はドイツ語だけでなく、英語、フランス語、スペイン語などといった他の試験も作っています。
受験地・時期・試験内容
先ほども述べた通り、telcはVHSの子会社が運営しているため、地元のVHSなど自分の住んでいる地域で受験することができます!
ゲーテ試験はゲーテインスティチュートがある都市でしか受けられないのに対して、ドイツ語圏に住んでいれば、近くで受験できるという利便性がtelcのメリットだと言えます。
試験内容はゲーテやÖSDと同じく話す・聞く・書く・読むの4科目で構成されています。
サンプル問題
試験のサンプル問題を以下ホームページからダウンロードすることができます。
自分の対象レベルを選択 → Übungsmaterial へ(ちょっと分かりにくいので注意してください)
Test DaF
ドイツ語圏発祥の試験です。ドイツ語学習者以外には知名度が低いですが、語学力証明のためにドイツ語圏でも多くの人が受験しています。
受験地・時期・試験内容
受験日は全世界共通で年6回設定されており、日本でも回数は少ないですが受けることができます。
日程の詳細はHPより「Testzentrum finden」→「weltweit」→「JAPAN」と期間を選択して確認することができます。
試験内容はゲーテやÖSDと同じく話す・聞く・書く・読むの4科目で構成されています。
こんな人におすすめ
Test DaFは、熟練したドイツ語レベルの検定試験です。話す・聞く・書く・読むの4技能が試されます。A1やB2などといったレベルではなく、この試験はB2からC1レベルをカバーしています。
ドイツの高等教育機関のほぼ全ての学科や課程への入学に必要な語学力の証明になるため、ドイツの大学に正規入学したい人におすすめです(もちろんDaFではなく他の資格試験のC1でも大丈夫なことがほとんどです)。
ただし、音楽大学など専門大学の場合はDaFレベル(B2-C1)ではなくA2やB1など、各大学によって語学基準が違うので、必ず1度自分の志願校について確認はしましょう!
サンプル問題
デジタル試験
▶︎ Vorbereitung auf den digitalen Test DaF
ページ真ん中「Beispielaufgaben(サンプル問題)」をクリックしてください。
ペーパー試験
▶︎ Vorbereitung auf den papierbasierten Test DaF
ページ真ん中「Modelltest(模擬テスト)」をクリックしてください。
DSH
最後に紹介するのは、DSH(Deutsche Sprachprüfung für den Hochschulzugang)と呼ばれる試験で、日本語に訳すと「大学入学のためのドイツ語試験」という意味になります。これまでに紹介してきた語学試験と違い、DSHは民間の会社や団体ではなく、ドイツの各大学が独自に実施しているものです。
受験地・時期・試験内容
DSHはもっぱらドイツの大学において実施され、日本を含む外国から受験することはできません。各大学、冬学期(10月〜)と夏学期(4月〜)の直前にそれぞれ1回ずつ実施することが一般的です(年2回)。具体的な実施大学と試験日程については各大学のホームページを参照するのが一番ですが、以下のページにも大まかにまとめられています。
▶︎ DSH TERMINE
試験の内容は、各大学が独自に問題を作成しているため大学により様々ですが、共通しているのは「ドイツ語で大学の講義を理解し、課題をこなすことができるか」という視点に立って問題が作られているという点です。
試験の形式は、話す・聞く・書く・読むの4技能を試すものが一般的です。また試験の成績はA1〜C2によるものではなく、低い方から順に DSH-1, DSH-2, DSH-3 という3段階によって評価され、基本的にはDSH-2以上の成績があれば、ドイツの大学へ正規入学するのに十分な語学力(C1程度)として認められます。医学部など一部の課程ではDSH-3を必須としています。
こんな人におすすめ
名前の通り「大学入学のためのドイツ語試験」であるため、ドイツの大学への正規入学を考えている人におすすめです。すでに志望大学が決まっている場合は、その大学で実施されるDSHに合格することが、最も近道であると言えるでしょう。ただし、ある大学で受験したDSHの成績が、他大学に出願する際にも同様に認められるかは大学によって対応が異なるので、注意して下さい。
また、あくまでも大学進学希望者を対象とした試験であるため、Goethe Zertifikatのような一般の語学試験の代替と考えることは、あまり望ましくありません。A1〜C2に準じた語学力証明を必要としている人は、別の試験を受験しましょう。
サンプル問題
こちらについても、各大学(または附属の語学学校)のホームページを確認するとサンプル問題が手に入る場合がありますが、以下のページにも一部、まとめて大学ごとに掲載されています。
おまけ: 日本の就活で使う
がんばった証として就職活動時などで役立てたい!と思う人も多いかと思います。
日本で就活をする場合、ドイツ語に関係のない企業だと「ゲーテB2合格」など履歴書に書いても、ほとんどの人はわからないです。逆に独検だと分かってもらえることが多いです(英検でなじみがありますね:) )
私はドイツ語講師を本業にするか一般企業に就職するか迷っていたとき就活をしていましたが、「ゲーテ・ドイツ語検定試験C1合格(独検1級相当)」と書いていました。
この書き方について何か言われたことはなく、むしろ面接でのネタになっていたので、悩んでいる人はぜひ参考にしてください◎
まとめ: 全部まとめて比較
これまで5つのドイツ語検定試験についてお話ししてきました。まとめると以下のようになります。
独検 | Goethe | ÖSD | telc | DaF | DSH | |
知名度 | 日本で有名 | 国際的に有名(1番有名なのはGoethe) | 大学入学を目指す機関では有名 | |||
試験科目 | 2技能(読む・聞く) ※準1級と1級以外 |
4技能(読む・書く・聞く・話す) | ||||
レベル分け | 5. 4. 3. 2. 準1. 1 | A1. A2. B1. B2. C1. C2 | 1レベルのみ | DSH-1, -2, -3 | ||
こんな人に
おすすめ |
ドイツ語を学び始めて最初に挑戦する人
日本で試験を受けたい人 |
自分のドイツ語力が証明される資格を取りたい人
ドイツの大学へ留学(またはC1であれば入学)したい人 |
オーストリアなどドイツ語圏の大学へ留学したい人 | ドイツ語圏に住んでいる人 | ドイツの大学に正規入学したい人 |
それぞれの特徴を理解し、自分の目的に合った試験を選ぶことができると良いですね。
サンプル問題は、レベルに迷ったときや、向き不向きを知るためにも利用しましょう!
Vollmondにはこれらの資格を持った講師が大勢揃っています。こちらもぜひチェックしてみてくださいね。
> Vollmond講師一覧
執筆:komachi(Vollmondドイツ語講師)
執筆協力:梓
編集:Wataru(Vollmondドイツ語講師)