ドイツ語を学習していくなかで、壁に感じる文法の一つが形容詞の格変化(Adjektivdeklination)です。
この記事ではそんな格変化一覧と覚え方のコツを伝授します。
覚えることが多くて混乱してしまうと思いますが、一つ一つ整理すると意外と難しくはないです。
何度も読み返し、練習問題を繰り返してマスターしましょう。Ohne Fleiß, kein Preis(努力なくして成功なし)です◎
この記事のドイツ語レベル:A2以上
目次
そもそも、形容詞はどんな時に格変化するの?
ドイツ語の形容詞の用法には、日本語と同じように
があります。
Der Hund ist klein.
その犬は小さい。
この文章では「犬」の様態を「小さい」という形容詞を使って説明しています(①述語的用法)。
Der kleine Hund bellt nicht.
その小さな犬は吠えない。
対して、こちらの文章では、「犬」という名詞を「小さい」という形容詞で修飾しています(②付加語的用法)。
その際日本語では「小さい」が「小さな」と形容詞の語尾が変化しています。
同じように、ドイツ語でも語尾変化がおきています(klein → kleine)。
これが、形容詞の格変化です!
じゃあどうやって変化させたらいいの?
ドイツ語形容詞は名詞に直接かかる場合、名詞の性別・格・数に応じて語尾変化します。
ここで厄介なのが、無冠詞、定冠詞、不定冠詞によって形容詞の語尾の変化が異なるということです。
冠詞が変化するのに伴い、形容詞の語尾も変えねばなりません。
どのように異なるのか、これから詳しく確認してみましょう!
無冠詞とは、冠詞がつかない場合を指します。
形容詞 gut を活用させるとこのようになります。
上の表を見て「der, die, das の変化に似てる・・?」と気づいた方がいるかもしれませんが、その通りです!
無冠詞の場合、形容詞の格変化は定冠詞類(der等)の格変化とほぼ同じです。
男性・中性の2格のみ(表の黄色部分)+en で終わるのが唯一違う点です。
といっても、2格は使う機会があまりない格なので、「同じ」と覚えてしまってもとりあえずは問題ありません。
なので、定冠詞類の格変化をしっかり覚えていれば、無冠詞の場合の形容詞の格変化は覚える必要がありません◎
覚え方のコツ
【原則】定冠詞類の格変化と同じ
【例外】男性・中性の2格のみ+en
ノートとペンを用意して、下の表を書き写してください。
少し面倒かもしれないけれど、実際に手を動かしてやってみるのをおすすめするよ!
用意ができたら1格以外は埋まっていない表を、定冠詞類の格変化を思い出しながら完成させましょう。
定冠詞(der, die, das)の格変化はこのようになるんでしたよね!
定冠詞類(dieser等)の格変化は定冠詞の変化にとてもよく似ており、このようになるんでした。
あとは、形容詞 gut を定冠詞類 dieser のように変化させていきましょう!(男性・中性2格以外)
はじめにお見せした表が無事完成できていることを祈っています。
男性・中性2格は例外として覚えてください◎
次に、定冠詞類がはじめについている場合を見ていきましょう。
定冠詞類 | |
---|---|
der | この |
dieser | この |
welcher | どの |
mancher | かなりの |
solcher | そのような |
jeder | あらゆる |
aller | 全ての |
▼定冠詞類を忘れてしまった方はこの機会に合わせて復習しましょう!
形容詞 gut を活用させるとこのようになります。
※定冠詞類(dieser, jener, jeder, mancher, welcher)も同様の変化をします。
上の表をよく見てみると、+en もしくは +e しか出てきていないことに気付きます◎
色で分けてみるとこのようになります。
と覚えるのがおすすめです!
覚え方のコツ
【原則】
【例外】男性4格のみ+en
先ほど書いた無冠詞の表の下に、もう一つ以下の表を書き写してください。
先ほどより多めにスペースを取るのがおすすめです◎
形容詞を変化させる前に、まずは定冠詞の格変化を思い出しながら埋めてみましょう!
後で形容詞を挿入できるよう真ん中に間をあけてください。
※ヒント:定冠詞の格変化はこのようになるんでしたよね。
定冠詞が終わればあとは簡単です!
にしてください。
無事に表は完成しましたか?
ルールさえ覚えてしまえば、あとは簡単です◎
次に、不定冠詞類がついている場合を見ていきましょう。
不定冠詞類 | |
---|---|
ein | 1つの、ある |
所有冠詞 | mein, dein, sein, ihr, unser, euer, Ihr, ihr |
否定冠詞 kein | ~ない |
▼不定冠詞類を忘れてしまった方はこの機会に合わせて復習しましょう!
形容詞 gut を活用させるとこのようになります。
複数形は所有冠詞 mein を使っています。
※不定冠詞(kein, mein, dein, sein, ihr, unser, euer, irgendein)も同様の変化をします。
上の表を形容詞の格変化に合わせて色で分けてみるとこのようになります。
先ほどの定冠詞類の表にとても似ていることに気づいたでしょうか?
見比べてみましょう。
と覚えるのがおすすめです!
覚え方のコツ
【原則】定冠詞類の形容詞語尾変化と同じ(基本は+en、単数1格4格は+e、男性4格のみ+en)
【例外】
先ほど書いた定冠詞類の表の下に、もう一つ以下の表を書き写してください。
形容詞を変化させる前に、まずは不定冠詞の格変化を思い出しながら埋めてみましょう!
後で形容詞を挿入できるよう真ん中に間をあけてください。
※ヒント:不定冠詞の格変化はこのようになるんでしたよね。
あとは簡単です!
にしてください。
※ヒント:定冠詞の格変化はこのようになるんでしたよね。
無事に表は完成しましたか?
男性1格&中性1/4格のみ例外として覚えましょう◎
覚え方は人それぞれなので、自分が覚えやすいコツを見つけてくださいね!
繰り返し練習することで定着率もグッと上がります。
以下の空欄を埋めて、日本語訳にも挑戦してみましょう!
無冠詞、定冠詞、不定冠詞のどれなのか、そして何格が入るのかを意識してください。
答えを見る
▼以下の記事では、さらに多くの練習問題を掲載しています。
もっと多くの問題に取り組みたい方はぜひ!
Vollmondで作成したオンライン単語帳もぜひご活用ください。
一回で終わらず何回も問題を解いて、自然に口に出せるくらい繰り返してみましょう♩
日本人は ein Japaner/eine Japanerin ですが、そういえば「ドイツ人」は何というか知っていますか?
実は「ドイツ人」に当てはまる名詞はなく、ドイツ人の男性 / ドイツ人の女性という風に、ein deutscher Mann / eine deutsche Frau と言います。
さらに、これでも間違いではありませんが、この Mann と Frau は通常省略して使います。
省略する際は、形容詞の頭を大文字にして、それぞれ ein Deutscher / eine Deutsche のように書きます。
これを形容詞の名詞化といいます。
厄介なのは、日本人Japaner/Japanerin(名詞)と違ってdeutsch(形容詞)が格変化している点です。
先ほどのein Deutscher / eine Deutscheは、不定冠詞・1格にあたります。
定冠詞をつけると der Deutsche / die Deutsche(そのドイツ人)となります。
der Deutsche は、der deutsche Mann の Mann を省いたもの、die Deutsche は、die deutsche Frau の Frau を省いたものです。
少し混ざってしまいそうですね。しかし決まりを掴めばとても単純です!
格変化は以下の表の通りです。
(この記事で紹介した形容詞の格変化を覚えていれば、この格変化表を覚えなくて済みます♩)
今回は形容詞の語尾変化と覚え方のコツの紹介をしました。
覚えることばかりで難しく感じることもありますが、この壁を乗り越えるとドイツ語って面白いなって思えてきます!
そして大事なのが忘れないように何回も触れることです!
復習としてもこの記事を読み返してみてくださいね。
覚え方のコツ
【原則】定冠詞類の格変化と同じ
【例外】男性・中性の2格のみ+en
覚え方のコツ
【原則】
【例外】男性4格のみ+en
覚え方のコツ
【原則】定冠詞類の形容詞語尾変化と同じ(基本は+en、単数1格4格は+e、男性4格のみ+en)
【例外】
慣れるまでは、「+en が1番多い」と思っておくだけでもとりあえずは大丈夫だよ。少しずつ慣れていこう!
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この記事を書いた人:Kaori
大学でドイツ語文学部(Germanistik)を専攻、卒業後ドイツで1年間語学留学しました。私もまだまだドイツ語を勉強中ですが、少しでもお役に立てれば嬉しいです。
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内容・表現チェック:nico(Vollmondドイツ語講師)