ドイツ語過去完了形|主文と副文で時制が異なる文の作り方
ねえ、この前 Nachdem ich zu Abend gegessen hatte, habe ich einen Film gesehen. っていう文を読んだんだけど、この hatte って何?
それは過去完了形の助動詞だよ。
過去完了形…?
過去完了形は、過去形や現在完了形よりも前の時間を表すときに使うんだよ。その文では、主文と副文の時制が違うんだ!
主文と副文の時制が違う…??
どういうことか、ひとつひとついっしょに見ていこう!
ドイツ語には現在形、過去形、現在完了形…などいくつかの時制があり、そのうちのひとつが過去完了形です。
また、ドイツ語には主文(=メインの文)・副文(=サブの文)という2つの文の種類があり、それぞれの文の指す時間が「主文=現在 ⇔ 副文=過去」のように異なる場合、主文と副文で時制を変える必要が出てきます。
この記事では、ドイツ語の時制の種類・過去完了形の作り方・主文と副文で時制が異なる文の作り方をご紹介していきます!
目次
時制について
ドイツ語の時制
まず初めに、ドイツ語で使われる時制を確認しておきましょう。ドイツ語には、以下6種類の時制があります。
- 現在形
- 過去形
- 現在完了形
- 過去完了形
- 未来形
- 未来完了形
今回の記事ではこのうち、現在形・過去形・現在完了形・過去完了形が登場します。特に、過去完了形の作り方を重点的にご案内していきますね。
現在形・過去形・現在完了形の作り方や、過去形と現在完了形の使い分けについては別の記事でご紹介していますので、こちらをご覧ください◎
主文と副文での時制の違いとは?
主文と副文?時制が違うって、どういうこと…?
さっきの例文をもう一度見てみようか!
Nachdem ich zu Abend gegessen hatte, habe ich einen Film gesehen.
夕食をとったあと、私は映画を見た。
ドイツ語には、主文と副文という文の種類が存在し、それぞれ以下のような役割を持っています。
- 主文=メインの文(単独で、文として成立する)
- 副文=サブの文(主文にくっつき、主文の内容をより詳しく説明してくれる)
副文の作り方については以下の記事で紹介していますので、作り方に不安がある方は先にチェックしておきましょう◎
この主文と副文それぞれの文で表現されている内容が「いつの出来事なのか」が異なる場合に、主文と副文で時制が異なるという状態になります。
上の例文の主文・副文の関係性と時制は以下の通りです。
- Nachdem ich zu Abend gegessen hatte,
→副文・過去完了形 - …, habe ich einen Film gesehen.
→主文・現在完了形
過去完了形は、過去形・現在完了形よりもさらに過去の時間を表す時制です。
「①夕食をとった後に→②映画を見た」という時系列になるので、「映画を見た」よりも前に行われた「夕食をとった」という行動については、過去完了形を使って表しています。
また、上記のような過去完了形と過去形 or 現在完了形の組合せだけではなく、時制の違いを表す際にはもちろん過去形 or 現在完了形と現在形の組合せも使われます。
Nachdem ich zu Abend gegessen habe, sehe ich einen Film.
夕食をとった後、私は映画を見る。
- Nachdem ich zu Abend gegessen habe,
→副文・現在完了形 - …, sehe ich einen Film.
→主文・現在形
「①夕食をとった」というのはすでに行われたこと、「②映画を見る」というのはこれから行うことを指しています。
そのため、すでに行われた①については現在完了形、これから行う②については現在形を使って表しています。
2つの出来事の内どちらかがもう一方より前の時点に起こったときは、時系列を明確にするために、主文と副文の時制を変えて表現するんだよ。
お~なるほど~!
過去完了形の作り方
先ほども述べたように、過去完了形は、過去形・現在完了形よりもさらに過去の時間を表す場合に使われます。
ここで、過去完了形の作り方を確認しておきましょう!
過去完了形の作り方
- hatte+過去分詞
- war+過去分詞
あれ?現在完了形とすごく似てるね?
そうなんだ!同じ完了形だから、過去分詞を使うところは同じで、あとは助動詞 haben・sein を過去形の形にしてあげればOKだよ◎
現在完了形と過去完了形を見比べてみると、以下のようになります。
- 現在完了:haben+過去分詞
⇔ 過去完了:hatte+過去分詞 - 現在完了:sein+過去分詞
⇔ 過去完了:war+過去分詞
ㅤ
主語にあわせた動詞の変化もあわせて確認しておきましょう!
ich | hatte |
du | hattest |
er/sie/es | hatte |
wir | hatten |
ihr | hattet |
sie/Sie | hatten |
ich | war |
du | warst |
er/sie/es | war |
wir | waren |
ihr | wart |
sie/Sie | waren |
受動態の場合
受動態の完了形は、それぞれ以下のように作ることができます。
- 現在完了:sein+過去分詞+worden
例)Das Haus ist vor drei Jahren gebaut worden.
その家は3年前に建てられた。
ㅤ - 過去完了:war+過去分詞+worden
例)Das Haus war vor drei Jahren gebaut worden. Aber letzten Monat wurde es abgerissen.
その家は3年前に建てられたが、先月取り壊された。
主文と副文で時制が異なる文の作り方
ここからは、主文と副文で時制が異なる文の作り方をご紹介していきます。
主文と副文で時制が異なる場合に使われる接続詞は、主に以下の接続詞です。
- nachdem
- als
- sobald
- solange
上記の接続詞はすべて従属接続詞に分類されます。従属接続詞とは、主文と副文を結ぶ接続詞のことです。
このあとご紹介する例文はすべて「従属接続詞から始まる副文→主文」の順番で文が作られています。
この場合の動詞の位置・語順について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
・覚えておきたいドイツ語!wannとalsとwennの違いを整理
>参考目次:
ㅤ【注意】wann, als, wennを使った「副文」の使い方
では早速、ひとつずつ使い方を確認していきましょう!
nachdem
先ほども登場した nachdem は「~したあとで」という意味を持つ従属接続詞です。nachdem を使った文は、以下のように作ります。
覚えよう!
【時系列】
(1) nachdem 副文の内容→(2)主文の内容
ㅤ
【文の時制】
nachdem から始まる副文=過去完了形,
主文=過去形 or 現在完了形
【時系列】
同上
ㅤ
【文の時制】
nachdem から始まる副文=過去形 or 現在完了形,
主文=現在形
①のパターンの場合、nachdem から始まる副文の動詞は必ず過去完了の形を取りますので、覚えておきましょう!
【①の例】
Nachdem ich an einer Sitzung teilgenommen hatte, habe ich das Protokoll geschrieben.
会議に参加したあと、私はその議事録を書いた。
Nachdem das Haus abgerissen worden war, wurde ein neues Haus gebaut.
その家が取り壊されたあと、1軒の新しい家が建てられた。
【②の例】
Nachdem er Feierabend gemacht hat, geht er immer in die Bar und trinkt Alkohol.
仕事を終えたあと、彼はいつもバーへ行き、お酒を飲む。
Nachdem man gekocht hat, muss man Geschirr spülen.
料理をしたあとは、食器を洗わないといけない。
als
als は過去に一度だけ起こった出来事などを指し、「~したとき」「~だったとき」という意味の文を作ります。
過去について述べる際に使われる接続詞のため、主文・副文どちらにおいても現在形は登場しません。
als は以下のような使い方をすることができます。
- 主文と副文の時制が同じ
- 主文と副文の時制が異なる
:時系列は、(1)als 副文の内容→(2)主文の内容 - 主文と副文の時制が異なる
:時系列は、(1)主文の内容→(2)als 副文の内容
主文と als から始まる副文で時制が同じケースも、とても頻繁に登場します!使い方・文の作り方が気になる方はぜひこちらの記事をご覧ください◎
・覚えておきたいドイツ語!wannとalsとwennの違いを整理
では、ここでは主文と副文の時制が異なるケースについて詳しく見ていきましょう!
覚えよう!
【時系列】
(1)als 副文の内容→(2)主文の内容
ㅤ
【文の時制】
als から始まる副文=過去完了形,
主文=過去形 or 現在完了形
【時系列】
(1)主文の内容→(2)als 副文の内容
ㅤ
【文の時制】
als から始まる副文=過去形 or 現在完了形,
主文=過去完了形
【①の例】
Als ich das Abendessen fertig gekocht hatte, ist mein Mann nach Hause zurückgekommen.
私が夕食を作り終えたとき、夫が帰宅した。
【②の例】
Als sie aufgestanden ist, hatte die Prüfung schon begonnen.
彼女が起床したとき、その試験はすでに開始していた。
Als sie am Flughafen angekommen sind, war das Flugzeug schon gestartet.
彼らが空港に到着したとき、その飛行機はすでに離陸していた。
sobald
sobald は「~するとすぐに」「~したらすぐに」という意味を持つ従属接続詞です。
sobald は以下の使い方をすることができます。
- 主文と副文の時制が同じ
- 主文と副文の時制が異なる
:時系列は、(1)sobald 副文の内容→(2)主文の内容
主文と副文の時制が同じ場合は、主文と副文の出来事がほぼ同じタイミングで起こる状況を表します。
Sobald ich mit der Arbeit fertig bin, schreibe ich dir.
仕事を終えたらすぐに、君に(メールなどで)連絡をするよ。
→「仕事を終える」&「連絡をする」のはほぼ同じタイミング
では、時制が異なるケースについて見ていきましょう。
覚えよう!
【時系列】
(1)sobald 副文の内容→(2)主文の内容
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【文の時制】
sobald から始まる副文=過去完了形,
主文=過去形 or 現在完了形
【時系列】
同上
ㅤ
【文の時制】
sobald から始まる副文=過去形 or 現在完了形,
主文=現在形
主文と副文の時制が異なる場合は、先ほどご紹介した主文・副文の時制が同じケースとは違い、副文の出来事が終わったあとに主文の出来事が起こります。
【①の例】
Sobald er die E-Mail geschickt hatte, hat er seinen Kunden zurückgerufen.
そのメールを送ったらすぐに、彼はお客さんに折り返しの電話をかけた。
【②の例】
Sobald ich meine Hausaufgaben gemacht habe, komme ich zu dir.
宿題が終わったらすぐに、君のところへ行くよ。
solange
solange は「~している間は」「~している限り」といった意味を持つ従属接続詞です。
solange は以下の使い方をすることができます。
- 主文と副文の時制が同じ
- 主文と副文の時制が異なる
:時系列は、(1)solange 副文の内容→(2)主文の内容
solange の基本の使い方としては以下例文のように、主文と副文を同じ時制にすることで、2つの出来事が並行して起こっている様子を表します。
Solange meine Tochter Fieber hat, kann sie nicht zur Schule gehen.
熱がある間は、私の娘は学校へ行くことができない。
しかし、solange には以下のように主文と副文の時制を変えて使う表現方法もあります。
Solange du deine Hausaufgaben nicht gemacht hattest, durftest du keine Videospiele spielen.
宿題が終わっていなかった間は、君はゲームをしてはいけなかった。
Solange du deine Hausaufgaben nicht gemacht hast, darfst du keine Videospiele spielen!
宿題が終わっていないうちは、君はゲームをしてはいけません。
覚えよう!
【時系列】
(1)solange 副文の内容→(2)主文の内容
ㅤ
【文の時制】
solange から始まる副文=過去完了形,
主文=過去形 or 現在完了形
【時系列】
同上
ㅤ
【文の時制】
solange から始まる副文=過去形 or 現在完了形,
主文=現在形
この例文を逆に考えると、「宿題が終わったらゲームをしていい」ってことだね◎
補足:bevor の使い方
bevor っていう接続詞の意味は「~する前に」だよね?
bevor を使うときも、主文と副文の時制は変える必要があるの?
実はね、bevor の場合は基本、主文と副文の時制を同じにするんだ!
覚えよう!bevor の使い方
【時系列】
(1)主文の内容→(2)bevor 副文の内容
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【文の時制】
bevor から始まる副文の時制 = 主文の時制
Bevor wir ins Kino gehen, müssen wir das Paket bei der Post aufgeben.
映画館へ行く前に、私達はその小包を郵便局で発送しなければならない。
→副文と主文の時制…どちらも現在形
Bevor wir einkaufen gegangen sind, haben wir eine Einkaufsliste erstellt.
買い物に行く前に、私たちは買い物リストを作成した。
→副文と主文の時制…どちらも過去時制(どちらも現在完了形)
Bevor sie heute zur Arbeit gegangen ist, ist sie drei Kilometer gejoggt.
今日仕事へ行く前に、彼女は3キロのジョギングをした。
→副文と主文の時制…どちらも過去時制(どちらも現在完了形)
主文のあとに副文の出来事が起こっているのに、時制を変えないんだね!
bevor は例外で、主文と副文の時制を同じにする方が自然に聞こえるんだよ!
まとめ
いかがでしたでしょうか?最後にもう一度、大事なポイントをおさらいしておきましょう!
ポイント
- ドイツ語の時制は6種類。
過去完了形は、過去形・現在完了形よりもさらに過去の時間を表す時制
作り方:hatte+過去分詞 または war+過去分詞 - 主文=メインの文、副文=サブの文
時系列を明確にするために、主文と副文の時制を変えて表現する場合がある - nachdem
主文と副文で必ず時制が異なる - als, sobald, solange
主文と副文とで時制が異なる文を作ることができる - bevor
主文と副文の時制は基本同じにする
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執筆・編集:kosuzu(Vollmondドイツ語講師)
内容・表現チェック:nico(Vollmondドイツ語講師)